大人になって始めるヴァイオリン(1)
増えているのでしょうか?大人になって、やりたかった楽器を始める方々。
近年、「大人のための~」という看板を、色々な街の色々な音楽教室で見掛けます。大人になって、自分のやってみたい楽器にチャレンジする。素晴らしいことだと思います!しかし、現実的な問題として、大人になってヴァイオリンを始める人のほとんどが、ほとんど弾けるようになりません。
僕のところに習いに来たり、教えに行った団体にいた、大人になって始めた人たち。そのことごとく、全員がきちんと楽器を持つことが出来ていなかったのです。楽器を持てなければ、行き詰まる可能性は極めて高いでしょう。そして、一度癖がついてしまうと、治すのに長い長い時間がかかります……。
そういった現実を考えると、ヴァイオリンを教えることに関して僕は、大人を教えることに、より役に立てるように思っているのです。
ヴァイオリンが、大人になって始めても上達できない楽器、ということはありません!経験から言って、それは確かです。しかし、大人と子どもでは教え方が根本的に違う。そう思います。特に初歩が違う。
そう思うのは、自身が大人になってからやり直したからでもありますが、それ以上に、全くの初歩、あるいは基礎からやり直す大人を教える経験を、10代の頃から数多く積んできたからです。この辺りは、ストレートに音大に行かず、普通大学に進学し、オーケストラで後輩たちにヴァイオリンを教えていたことの副産物です。
また実際に、大人になってから上達した人たちが身近にいて、体験談を数多く聞けたということも、人それぞれに合わせたレッスンにするための貴重な引き出しとなって、非常に役に立っています。僕にとって大学時代は、思い出ではなく、今のために大切な時間になっています。
さて、大人になって楽器を上達するために、主に二つのことを、僕は考えます。
一つは、子供に比べて大人が苦手なことをあまり使わず、大人が得意なことを使って上達する方法を使うこと。もう一つは、大人になって始めて上手くなった人が、どのようにそうなったかという、数々の実例から、ポイントを見つけることです。
ただし実際のやリ方は、人それぞれに合わせるべきと考えます。身体的条件や、得意不得意、考え方、性格、使える時間などなど、一人ひとり違うからです。あくまで、基本の考え方、に過ぎません。
長くなっちゃったので、つづけちゃいます!