大人になって始めた人は、ヴァイオリンを弾けるようにならない?~主観と客観~(2)
大人が、子どもと同じようにヴァイオリンの弾き方を身につけていこうとすると、……これは難しい。大人になって始めたことが、経験年数の差よりはるかに大きな、猛烈なハンデになるでしょう。しかしそれは、……子どもと同じ方法でしようとするから、わざわざ大人には苦手なアプローチでトライしているからではないかと思うのです。
大人は、大人だからこそ、より客観的に観察し、より合理的に考えることができます。それを活かした方法を取ることで、結果は違ってくると思っています。
身体の動きなどのイメージを詳細に持ち、またそれが合理的か、無駄がないかを分析して、あるべき動きを理解する。その動きを丁寧に繰り返してその感覚を覚え、早く良い癖をつける。そういう近道を行くことができます。教える方は、そのイメージを理解する手助けをし、チェックポイントや練習方法を提案することになります。
出来るようになる前は特に、主観と客観の間に随分大きな差があることが多く、それを放っておくと、たちまち妙な癖がついて直せず、そこからもう上達しない、となってしまっていることも多いのではないでしょうか。
例えば、弓が(いわゆる)まっすぐに使えているかどうかは、鏡を見れば分かります。これは、やったことがある人が多くいると思います。
しかし、重要な事は、その先にあるのではないか?
その時、弾いている者は、まっすぐ腕を動かしているつもりがないはずです。関節は円運動しかしないからです。どこをどう動かしているつもりにすると、またその時どういう感覚があると、まっすぐ弓が動くのかを覚え、丁寧に繰り返すことでその感覚を覚える。つまり、鏡を見て客観的にうまくいっていることを確認しながら、その時主観的にどう感じるかを覚えていくことを、練習とするのです。
重力とか、身体の仕組みとかを組み込めると理想的なのでしょうが、それは後々、ということで、いいんじゃないかなあと思っています。
重力とか、身体の仕組みとかを組み込めると理想的なのでしょうが、それは後々、ということで、いいんじゃないかなあと思っています。
こういう練習の仕方だって、簡単ではないと思います。特に初期の段階では、どうしても我慢が必要です。仕事でもないのに、そこまで疲れる作業はしたくないなあ、と思われる方もあるでしょう。
しかし、あきらめる程ではないんじゃないかなー、と思います。経験的には、大人は頭で理解したことしかできるようにならない感触がありますが、理解した内容に関する上達は意外に早くて、最も初期の段階を超えると、子どもの5、6年分を半年くらいで進んでしまいます(途中で妙な癖をつけなければ……)。
今、そしてこれから頑張る大人たちが、さらに音楽を楽しめて、もっと深く好きになってくれたりしたら!それがとにかくうれしいなあ、と思います。
しかし、あきらめる程ではないんじゃないかなー、と思います。経験的には、大人は頭で理解したことしかできるようにならない感触がありますが、理解した内容に関する上達は意外に早くて、最も初期の段階を超えると、子どもの5、6年分を半年くらいで進んでしまいます(途中で妙な癖をつけなければ……)。
今、そしてこれから頑張る大人たちが、さらに音楽を楽しめて、もっと深く好きになってくれたりしたら!それがとにかくうれしいなあ、と思います。