大人から始めてヴァイオリンを弾けるようになること | 音快計画-ヴァイオリン弾きのお仕事とはッ?!-

大人から始めてヴァイオリンを弾けるようになること

 先々週のことになりますが、自分の生徒たちの発表会でした!

 子供たちの上達ぶりは、それはもう目覚しいもので、うれしい驚きをくれました!
 しかし、僕の生徒のほとんどは、大人です。そもそもほとんど宣伝していませんし、細々としたものですが、大人の生徒が多く、そのほとんどが、大人になってからヴァイオリンを始めた人たちです。

 大人たちの上達ぶりが、これまた顕著で、うれしいものでした!
 しかし、大人になってからヴァイオリンを始めることは、難しいようです。大抵ほとんど弾けるようにならない。
 しかし、自分の経験によると、そんなはずはないのです。コンチェルトをバリバリ弾くような人は直接知らないのですが(それでも、高校から始めた人にはいます)、室内楽の第2ヴァイオリンで絶妙なサポートができる人や、アマチュアのオーケストラで第2ヴァイオリンの頭を張っている人はいます。

手始めて一年半!

 なぜヴァイオリンは、大人から始めて上手く弾けるようにならない人が多いのか。教え方の問題ではないかと思っています。
 どうやら、大人と子供では、物事の習熟の仕方が随分違うようです。同じことをするにも、教え方がまったく違う。つまり、こういうことではないかと。

 ――大人にひらがなを教えるとしたら、幼児に教えるのと同じ方法でいいと思いますか?

 何しろ教える側は、3歳、4歳で始めている楽器です。そういう人が、大人に楽器や弓の持ち方から教えるのは、丁度大人にひらがなを教えるような難しさがあるのではないかと思うのです。

 目指すところ、そのためにどういうことを考えるか、何をチェックしながら練習するのかなどを、どれだけ分かりやすく説明できるか。要は、頭で理解してもらって、感覚に置き換えていく作業をしてもらうという、大人が何かを習熟するための、普通のことなのだと思います。しかし、幼児期に通過したことを、大人が理解できるようにメソッドを整理し、説明するのは、想像されるよりは容易ではないのだと思います。

左手左手の形


 自分が大学以降に、楽器の弾き方を根本的にやり直したこと。
 普通大学の学生の時に後輩を教えることでずっと経験を積んだこと。
 様々な経験年数の人たちと一緒に、様々な先生のレッスンを経験していること。
 さらに、テレビ局で、常に分かりやすく説明することに取り組んだこと(おじいちゃんにも、女子中学生にも分かるようにしろ、と言われていた)。
 ある意味では、昔の寄り道としか思えなかった経験が、今、まさに役に立っているのだと、この日、実感できました。

 内容がこれでいいかは、常に検討していますが、まあうまくいっているのだと思います。僕のところで楽器を始めた生徒は、1年半くらいでザイツの5番のコンチェルトに入っている、あるいは終わっています。
 この楽器を好きで、楽しめる人が増えてくれること、そして音楽を愛する人が増えることは、僕にとってとても大切なことです。そのためには、大人になって始めて、きちんと弾けるようになって、もっともっと楽しめる人が、ドンドン増えて欲しい!

 生徒の上達ぶりは勿論ですが、この先やってみたいことを語ってくれたり。それがうれしかった!これから、より力を入れてやっていきたいと、強く思った、9月のある日でした!