常識のひっくり返る気持ちよさ 映画『エンリコ四世』 | 音快計画-ヴァイオリン弾きのお仕事とはッ?!-

常識のひっくり返る気持ちよさ 映画『エンリコ四世』

 数日前ですが、『エンリコ四世』見てきました!

 マルコ・ベロッキオ監督の1984年作品、古い映画です。
 主演マルチェロ・マストロヤンニにも関わらず、日本で公開されませんでした。この映画を知っているのは、音楽がアストル・ピアソラで、「オブリビオン」「タンティ・アンニ・プリマ(アヴェ・マリア)」という割と知られているであろう曲が、この映画のために作られたからです。

 個人的に、こういう映画は好きです。人によってはかなり分かりにくい可能性があるとは思います。以前調べたことがあり、筋は知っていたので、何とも言えませんが…
 エンリコ4世と言うのは、11世紀の神聖ローマ皇帝、ハインリヒ4世のことです。世界史を勉強した人はうっすら覚えておいででしょうか?この人が有名なのは、「聖職叙任権闘争」「カノッサの屈辱」で世界史に名を留めているからです。

 しかしこの映画のエンリコは、皇帝本人ではありません。自分をハインリヒ4世だと思っている狂気の男の話、原作はルイジ・ピランデルロ(ノーベル文学賞受賞!)の芝居です。

 正直、まったく筋を知らずに見たかったなあ。二度のどんでん返し、味わいたかった!こういう話、昔とても好きでした。人には根拠もなく正しいと信じている部分が大抵あって、それがひっくり返る瞬間、世界がまるで違って見える!…みたいな気持ちよさでしょうか?

 え、気持ちよくない?笑 僕は新しい世界が見えるのが、とても爽快です。
 もちろん、以前を振り返った時、本当は恥ずかしかったりするけど。でも、その恥ずかしさが気にならなくなったのは、大人になったありがたさ。でも、大人になればなるほど、騙される、裏切られるを除けば、どんでん返しをくらって、世界が広がっていく機会はぐっと減っていく――ように思います。

 残念ながら、ほとんど上映は終わっているようです!関西ではまだやっているらしい!お近くの方、ぜひ!