銀座WIN
銀座WIN。
一歩足を中に踏み入れれば、そこは別世界が広がっているのです。
絵、壷、ガラスの置物、巻物……。素晴らしい美術品がそこかしこを彩り、中央にあるのは、大きな丸いテーブル。更にその真ん中に、グランドピアノ。
小松真知子さん、勝さんがいて、その演奏を聴き、タイミングや選曲が許せば、僕も一緒に演奏する。本当に大切な場所でした。それがなくなってしまう。
何としても行こうと、都合がついた日が、先週木曜。その前日、中田チャーさんから電話が!チャーさんは、ここ数年お世話になっている、往年の名手です。8月のタンゴ祭にも、小松真知子&タンゴ・クリスタルと、チャーさんのSin Nombreの2つのバンドで出演しました。
「明日ヒマ?」
「夕方から少し仕事がありますが」
その足でWINに行く予定にしていたのですが、Sin Nombreのメンバーも、その日に何人も訪れるらしいのです。何とッ!
行ってみると、その日の出演者である、小松真知子さん、小松勝さん、ヴァイオリン吉田篤さんがいらして、Sin Nombreの面々、ヴァイオリンのチャーさん、関由美さん、バンドネオン大原一駒さん、ピアノ丸野綾子さん。さらに、ヴァイオリン家野洋一さん、木下麻里さんと、ぞろぞろミュージシャンがいるではないですか!
さらにジャズピアニストの峯野祐次さんがやってきて、口が開きっぱなしになるような、超絶プレイが聴けちゃったり、さらに賑やかになっていきます。家野さん、吉田さん、真知子さんのジプシー音楽も圧巻!チャーさんのヴァイオリンも弾くほどに冴え渡ってました!
店を後にする前、真知子さんがソロでタンゴを弾いているのを聴いて、ああ、と思いました。仕事でご一緒することはあっても、こうやってソロで弾くピアノを聴いて、その音楽、あのリズムや歌を感じることは、もうほとんどないんだなと。
この場所でこうやって、何度となく素敵なミュージシャンの演奏を聴けて、何度感動したことか。そして、それ自体とてつもなく大事な経験だったんだと、改めて思いました。
大切な場所がなくなるのは本当にさびしいけれど、忘れられない音や空気が、鮮明に僕の脳裏に刻み込まれている。それはずっと消えることなく、残り続けるでしょう。きっと同じように、多くの人の頭の中にも。ありがとう、WIN。