百物語の国
8月16日午前1時近く。それは、真夏の暑い夜のことでございました。
怪しいお寺の本堂に集まりしは、老若男女ちょうど10人。これまた怪しいことこの上なく、その周囲には100本のろうそくが立てられ、微かな風に煽られ、怪しくゆらゆらときらめいていたのでございます。
10人は、代わる代わる話をします。一つ話が終わるごとに、一本ずつろうそくが吹き消される。
数時間が経ち、ついに100本目のろうそくを吹き消す時がきます。その瞬間、辺りは闇に包まれ……
百物語~!
たまたま帰宅してテレビをつけたら、まもなく始まりました。教育だと思っていたら、NHK総合でした。あれ?確かにチャンネル番号が3になっていたような気がするのに。……何かいたのかな~?
出演者は、講談師の一龍齋貞水さんに、加賀美幸子アナ。俳優陣から、蟹江敬三さん、小倉久寛さん、国生さゆりさん、松下由樹さん、半田健人さん、溝口琢矢さん。活動弁士の山崎バニラさん、声優の緒方恵美さん。そうそうたるメンバーです!
ドラマじゃありません。基本的に朗読するだけです。それが、凄い……
ただ朗読を映すだけだから、尚更、芸自体の凄みが伝わります。映像で驚かせることに眼目がない分、話の奥にあるものが、何だか伝わってくるみたい……
尊敬する友人からのメールに書いてあり、唸ったのは、怪談は日本の文化でなかろうか、ということでした。なるほど~
きちんと見ると、これが実によくできた話なのです。
怪談の何が怖いのか。僕の感覚ですと、そりゃもう人間が怖い!幽霊を生むのは、人が人にする卑劣な行為。なぜ、こんなヒドイことができるかと思うけれど、これがまたありそうなことばかり。理解できない、心の深遠にあるもの、それが恐ろしいのかもしれません。日本人は、有史以来、異常なほど祟りを信じているようなのに、「人間」が怖く見えるのが、興味深い。
ところが、ここまで書いていながら、物語が半分の五十も行く前に、なぜか意識不明になり……100本目のろうそくが消える瞬間など、全然見ることが出来ませんでしたとさ。
いつの間にか眠ってしまうことなんて、これまでなかったのに、なぜだろう。おそろしや、おそろしや……