【石川県立図書館】4層円形書架で360度本に囲まれる圧巻のデザイン、金沢の新名所 | 図解アイツタキガイド

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石川県立図書館は建築家だけでなく、様々な分野のデザイナーが総結集し、濃密な空間を実現した堂々たる日本一の美しすぎる図書館である。印象的なのは、本の円形劇場というべき、青い天井のドームの下に広がる、4層吹き抜けの大きな閲覧空間だが、自分好みの過ごし方を可能にする100種類に及ぶ多彩な椅子も見逃せない。思いがけない本との出会いをもたらすシステム、空間のナビゲーション、散りばめられたアートや工芸、最上部に並ぶ貴重書、遊具的なこどものエリア、広場、モノづくりや食文化の体験スペースなど、現代的な場や仕掛を備えている。 

 

■開放感のある閲覧空間

 新しい図書館は地上4階・地下1階建てで、最上部まで吹き抜けの円形閲覧空間となっています。3階には館内を大きく横切るブリッジが架けられていて、そこから見渡す図書館内部はダイナミック。 ブリッジの途中は、オシャレな人の自宅のようなインテリアが配置されていて、非日常的なスペースに。低めの本棚には、アート・ファッションに関する雑誌が並べられています。

ゆったりと座れる椅子に腰をかければ、上下左右どこを見てもこの建築を感じられる、贅沢な瞬間が訪れます。 吹き抜けを囲むように配置された円形の書架が、段状に何層にも重なるように配置されています。この空間を「円形劇場のよう」と例える人は多いです。 各階をつなぐ階段とエレベーターに加えて、1階から3階の円形閲覧空間は緩やかなスロープでつながれていて、すべての本棚まで車椅子やベビーカーを押して移動できます。 本棚に沿ってぐるりと散策しながら、感覚的に引かれる本と出会うことができます。 

 

■約30万冊を開架 様々な本に出会える場所

 開架冊数は約30万冊、図書館全体では100万冊以上の蔵書数があります。 円形閲覧空間の本棚には、12のテーマごとにセレクトした身近でなじみ深い本が約7万冊並べられています。

 

 子どもを育てる/仕事を考える/暮らしを広げる/文学にふれる/自分を表現する/身体を動かす/好奇心を抱く/生き方に学ぶ/本の歴史を巡る/里の恵み・文化の香り~石川コレクション~ 

 

・世界に飛び出す 世界の国別に歴史・文化・文学など多様な本が並び、その国のすべてを知ることができます。 

・日本を知る 日本にまつわるあらゆるテーマを総合的に集めました。和文化、外国人から見た日本、日本論、方言、旅行案内、物語の舞台など、日本について知りたい方や各地を旅したい方にあらゆる情報を提供します。 

 

円形閲覧空間の外側の本棚には、一般的な図書館の分類順に本が並んでいるので、「この分野の、こんな本が読みたい」とお目当ての本がある場合はダイレクトに探すことも可能。日常生活のちょっとした調べ物や学校の宿題に役立ちそうな本から、趣味の読書、本格的な研究に使える古文書まで。量だけでなく幅広い内容の本に出会える場所なのです。 

 

■自分好みの過ごし方を可能にする多彩な椅子

 館内には約500もの閲覧席が設置されていて、図書館を利用するスタイルや好み、その日の気分に合わせて使い分けられます。 勉強や調べ物にピッタリなデスクや、窓の外を眺めつつ本を読める窓辺の半個室の席、リラックスできるソファ、歩き疲れた時に腰をかけるスツールなど、100種類以上の閲覧席があり、館内を歩いていると、たくさんの個性豊かな椅子に出会えます。 デスク席にはコンセントが差し込めるものもあり、パソコンでの作業も可能です。 館内には北欧やイタリア、アメリカなど、世界で長く愛されている椅子や、加賀五彩を使った特別仕様の椅子もあります。また、色分けされたブロックごとに、椅子やソファの色が調和されているなど、家具も図書館の見どころの1つとなっています。 

 

■東西南北のゾーンを加賀五彩で色分け

 本棚の他にも館内には、さまざまなスペースがあります。迷ってしまうのではないか、目的地につかないのではないか、と心配になる人もいるかもしれません。 各階は東西南北でブロック分けされ、加賀五彩(北:古代紫、南:臙脂、東:草、西:黄土、4階全域:藍)で方角が色分けされています。 天井からはフラッグで、通路や家具も色分けされ、自分が今、どのブロックにいるのかわかりやすく示されています。 天井部分には、加賀前田藩の成巽閣(せいそんかく)「群青の間」をモチーフにした、ブルーのカラーが採用されています。 ブラウンを基調とした壁面や書架に、天井のブルーがアクセントになっています。 本を探している時や、閲覧席以外のさまざまなスペースに行きたい時も便利です。 

 

■バスでも車でも電動レンタル自転車でもアクセス良好

 バスは金沢駅から北鉄の路線バスが出ていて、最寄りのバス停は「崎浦・県立図書館口」と「石川県立図書館」、運賃はともに250円ですが、スイカなど北鉄バス以外が発行する交通系ICカードは利用不可。

金沢市の公共シェアサイクルサービス「まちのり」のポートもあるので、こちらが便利です。 まちのりは全国のバイクシェアサービス(ドコモ)と連携していて、対応エリアの東京11区・横浜・川崎・仙台・広島・大阪・名古屋・奈良でクレジットカードのアプリ会員登録すればそのまま金沢市内でも電動サイクルが利用できます。金沢駅からは所要30分で、275円。兼六園からは所要13分で165円でした。 

 

■金沢の観光ルートに加えてみる

 金沢の観光名所は列挙してみると廻遊式庭園の兼六園、近江町市場、金沢城公園、ひがし茶屋街、主計町茶屋街、武家屋敷跡 野村家などの他、バスで日帰りも可能な世界遺産の白川郷など江戸時代から続く街並みや庭園が多いのですが、特に兼六園の前後にこの図書館に行くのもお勧め。似たような観光地巡り疲れから一旦離れて、青い天井のドームの下に広がる大きな空間の下で、観光の下調べの他、椅子も多く、リフレッシュできます。金沢市の公共シェアサイクルサービス「まちのり」を利用すると兼六園からは所要13分2キロで165円でした。 

 

■JR東の金沢キャンペーンの提案

 桜や紅葉が映える京都の社寺に焦点を当てたCMで有名なJR東海のキャンペーン「そうだ京都、行こう。」が今年30周年を迎える。「自然や社寺だけでない京都を紹介したい」とし、街並みや近代建築といった新たな魅力発信に力を入れる。ならば、JR東日本も金沢キャンペーンで街並みや近代建築といった新たな魅力発信を打つことを提案したい。 北陸新幹線の外観の特徴といえば「ブルー」だ。先頭から屋根にかけて深い青色が採用され、強い印象を与えた。

客室では、グリーン車に「群青色」を使っている。床とシートを濃く、深みのあり、なおかつ鮮やかな青とした。グリーン車の「群青色」は、金沢市内の「成巽閣(せいそんかく)」がモチーフになったとのこと。成巽閣の「群青の間」と、そこに続く書見の間は、天井や壁に色鮮やかな群青色をあしらっている。

そこに配された装飾や工芸品などの組み合わせは、車体色の「空色」と「銅色」の組み合わせにも影響しているかもしれない。 

 

ここ石川県立図書館も同様で、天井部分には、加賀前田藩の成巽閣(せいそんかく)「群青の間」をモチーフにしたブルーのカラーで、その下は地上4階まで吹き抜けの円形閲覧空間を囲むように配置された円形の書架が、段状に何層にも重なるように配置されています。ブルーに光る天井ドームが宇宙船やプラネタリウムにも感じらる斬新なデザインです。

 

 金沢駅兼六園口の近未来を思わせるガラスドームと木造の鼓門は全国的に知られてる近代的かつ城下町らしい雅さを備えたデザインだが、北陸新幹線の青に採用された成巽閣(せいそんかく)「群青の間」と石川県立図書館は全国的知名度は無く、金沢キャンペーンに採用されれば、この斬新な建築は視聴者に強烈な印象を与え、金沢への旅行者も増えるでしょう。 

 

なお、「成巽閣」は加賀藩11代藩主で前田家12代当主の齊廣(なりなが)が、奥方のために建てた別邸だ。兼六園の中央にある。後に齊廣の息子の13代当主齊泰(なりやす)が、母のために装飾を施した。その建物が現在も残されている。群青色は加賀藩前田家の他には許されなかったという。高貴であり、質素に見えて豪華な群青色は、加賀藩前田家を象徴する色として、現在も金沢市の高級旅館などで採用されている。