したたかな中国 その3 | onjbのブログ

onjbのブログ

ブログの説明を入力します。

 中国では移動の自由がありません。原則として戸籍のある場所にしか住めず,農村戸籍は,全人口の3/4となっています。1/4の都市戸籍との間では,今でも教育や就職・医療・社会保障など条件が異なります。

 都市戸籍は,老後の保障として年金制度が整備されている一方,農村では極めて低額の年金です。そのため,都市部と農村との経済格差は大きく,都市部へ出稼ぎ労働者があふれています。農村戸籍の者が出稼ぎに行く場合は,暫定居住証が必要で,管理費も納めなければなりません。

 経済発展を遂げる中国では,大規模開発が盛んですが,そのため,農民などは住まいを奪われている現状があります。そこに居住したいといくら反対しても,そこに住めないように孤立化させた挙句,わずかばかりの移転補償で強制移動させられます。

          

 

 司法に関しては,警察は,政府や党を非難する者に対しては,速やかな逮捕が行われています。逮捕されると厳しい拷問によって,自白が強要されます。死刑は判決後,数日以内に実施されます。控訴して逆転できる例はわずかです。

 公開処刑については,テレビ番組で生中継することもあります。銃殺刑が用いられますが,遺体の臓器移植が行われるため,器官を傷つけないような銃殺となります。

 政府が嫌うチベット仏教のダライ・ラマに次ぐ高位のパンチェン・ラマの生まれ変わりとされた当時6歳の少年は,政治犯として逮捕されました。長い間消息不明となっていましたが,2016年になって初めて中国当局に拘束されていることが分かりました。そこでは,徹底した思想教育が行われていました。

 獄中でノーベル平和賞を受賞した劉暁波さんは,ノーベル賞の発表後,逮捕され刑務所に入れられて一切の自由を奪われました。

 2010年,中国において基本的人権を守る非暴力の取組みが評価され,劉暁波さんは世界の注目を浴びました。これに対し,中国政府は,ノルウェーのノーベル賞委員会に,「劉暁波に授与すれば,中国とノルウェーの関係は悪化する」と圧力をかけました。

 ノーベル賞委員会は「中国の人権抑圧に目をつぶれば,世界の人権の基準を下げることになる」「経済的利益のために,人権という普遍的価値基準を下げることがあってはならない」と言って,中国に「人権」の改善を強く求めました。

 結局,彼は解放されないまま,獄中で病気になりましたが,政府の厳しい監視が続き,2017年に亡くなりました。さらに,奥さんも中国政府の監視のもとに置かれ,長い間人権を踏みにじられました。

         

 天安門事件について見てみましょう。

 1989年6月4日,北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していた武器を持たない民衆に対し,政府は軍隊を投入して発砲し,多くの尊い若い命を奪った事件が天安門事件です。この残酷な事件はテレビで放映されましたので,世界中から激しい非難が沸き起こりました。

 中国政府は,今でも天安門事件については,大変神経質になっており,6月4日前後になると,大規模な警戒を行います。天安門事件の後,犠牲者の遺族は30年以上にわたり,国から厳しい弾圧を受け,苦痛を味わっています。様々な嫌がらせや犠牲者遺族の支援者らを拘束して,自由を奪うなど人権抑圧は繰り返されています。

 その一方で,天安門事件で子供を亡くした親の会(「天安門の母」)の主要メンバーの家を個別に訪問して,真相究明を求める活動の停止を条件に,示談金の支払いの打診もありました。

 習近平指導部は,弾圧を正当化して,「金銭決着」で全てを終結させ,真相究明を封じ込めようとしましたが,親の会のメンバーたちは受け入れを拒否し続けているため,今では政府の監視下にあります。

 習近平の指示のもと,中国政府は天安門事件を風化させる「忘却政策」を続けており,SNSでも関連ワードの検索や発信を強く規制しています。

 昨年6月,事件で犠牲となった学生たちの親の会「天安門の母」は声明を出し,共産党創建100年を迎えることに触れ「党と政府が誠意と勇気を持って物事を正し,大虐殺の責任を取ることを期待する」と訴えましたが,声明を掲載した親の会のサイトも中国からは閲覧制限が掛けられ,徹底封じ込みが行われています。今年も6月には徹底した警戒が行われることでしょう。

          

 

 中国政府は,自国の利益のみを優先しますから,南シナ海で利害が対立するベトナムの船舶へ意図的に追突(2014)したり,日本に対しては,毒入り餃子事件や尖閣諸島での船舶への追突,中国軍機の接近等々敵愾心を剥き出しにする行為なども見られています。

 領空侵犯や尖閣諸島などへの領海侵入は,当たり前のように頻繁に行っています。

 そうした行為について,中国政府は,公然と嘘をつき,責任を一方的に相手国になすりつけ,さらには威嚇します。中国同様,ロシアや北朝鮮も都合の悪いことは,嘘をつき相手国に罪をなすりつけることを常套手段としていますので,信頼して対応することは不可能な国と言えます。         

 

 また,中国は,サイバースパイによって,米国で開発していた最新鋭ステルス戦闘機 F35の設計などの機密情報を盗み出して,中国製のステルス戦闘機の製造を行いました。今は,さらに高い性能を有する戦闘機の製造を行うと共に,宇宙からの攻撃も念頭に軍備を増強させています。

 プーチン同様,武力行使強行派の習近平ですから,軍事費を毎年増額し,近代兵器を整えてアメリカとの戦争に備えています。この国がロシアや北朝鮮と組み,さらに経済力に物を言わせて,諸外国を取り込んでいけば,混沌とした世界情勢の闇は一層深くなり,常時最悪の事態を想定した対応をしていかなければならなくなります。

 そこで,世界が武力行使を許さないという意識の共有化を図ることが大事になります。戦争は人類の滅亡につながる最悪シナリオですから,覇権主義は認めないということをまずは国連総会で決議して,世界の総意にする必要があります。

 そして,武力行使に走る国は,徹底した制裁があることを決議し,時間がかかっても世界が一体となり平和に向けて前進するように努めることが大切になります。

 今こそ,平和な世界の実現に向けて,日本がリーダーシップを発揮する時です。唯一の核被爆国である日本が,世界から核を排除するための積極的行動を起こし,大きな声を上げて,戦争の無意味さ,悲惨な現実に目を向けるよう発信していって欲しいと強く願っています。