株分けは株をふやす大事な手段なので、しっかりとやり方を覚えるようにする。

パフィオはメリクロン(茎頂培養苗)ができないので、株の数をふやすためには、株分けによるしかない。

株を分けるときはていねいに鉢から抜き、古い用土を静かに取り除くこと。

パフィオの根には根毛という細かい毛が生えているので、これを傷つけないようにていねいに取り扱わないといけない。

分けた株を植えつけるときも、根を折らないように静かに行わないとダメだ。

シンビやカトレアなどは体に養水分の貯蔵タンクがあるため、少々乱暴に扱っても、すぐに新しい根が出てくるが、パフィオにはタンクがないので、根を大事に扱うよう、くれぐれも注意したい。

いったん、根を折ってしまうと、回復までに半年かかることもある。

もちろん、植えかえのときも同じ。

根を傷つけないように、静かに新しい鉢に移してやるようにする。
パフィオは地生ランなので、デンドロやカトレア、ファレのような着生ランとは用土、植えかえの点で多少異なるので、注意しないといけない。

用土としては水苔が多く使われている。

最近はバークにピートモスやパーライトを混ぜたものなども使われているが、素焼き鉢に水苔植えが一番ポピュラーだ。

一時広く行われたプラスチック鉢に軽石植えは、このごろはあまり行われていない。

植えかえに当たっては、今までの用土と同質のものがよいので、作業を行う前に用土を少し取って確かめるようにしたい。

植えかえは生長初期、通常は春の中ごろに行うと根づきやすく、失敗が少ない。

株分けも同じころに行う。

パフィオは毎年植えかえや株分けを行うことはタブーだ。

花が咲かなくなるからだ。

西口一希(ガーデニング)
花芽は春から伸びてきた芽の中央から出てくるが、前年生の芽で、前年未開花のときには、今年の花芽とともにこれからも花芽が出て、伸びてくることがある。

花芽が確認できるのは、初冬のころで、最低温度が15度あるとそのまますくすくと伸び、正月に咲くこともあるが、多くは1月中旬からの開花となる。

7度で越冬すると、開花するのは3月ごろになるので、この点は他の洋ランとよく似ている。

ただし、デンドロのように花芽を作るために低温にあてたり、乾燥させたりする手間はない。

自然の条件のもとで育てていると、いつの間にか花芽ができてくる。

花は開花後、50~60日間楽しめる。

また、一つの花茎に4~5輪の花を次々と咲かせるタイプのものは、60日以上観賞することができる。

花は冬から春にかけて咲くものが多いが、夏咲きの系統もいくつかある。

夏咲きのものは冬~春咲きのものに比べて花もちはやや悪い。

西口一希(ガーデニング)
パフィオは春から秋の中ごろまでの間が本格的な生育期で、生育期の終わりころに来年伸びるための新芽が株元に発生し、秋の終わりから春までの間は生長を休止するという生活サイクルをもっている。

花は休止期に咲くものが大半で、株さえ充実していれば、毎年開花する。

春、気温の上昇とともに昨年の秋に出た小さな芽が生育を始める。

春になってから急に出た芽ではないために、休止期から生育期への移り変わりはわかりにくい。

まず、新しい葉が小さな芽の所から伸び出し、半月ほどたってから、新根が前年秋に完成した株の根元から出てくる。

これらを確認してから肥料を与え始め、新芽を早く伸ばすようにする。

この新芽を、秋までの間に葉数が四枚になるぐらいまで大きく育てると、初めて花芽ができてくるので、肥培管理は注意しないといけない。

肥料は1000倍に溶かした液肥を10日に一回の割で与える。

春になったら新芽をよく観察し、少し伸びたかなと思うころに最初の肥料を与える。

肥料は9月中~下旬に打ち切るようにする。

この液肥だけでもよく生育し、開花するが、株が小さいときはこの他に、油かすの固形を与えたほうがよい。

油かすは新根が3~4㎝伸びたころに与える。

西口一希(ガーデニング)