引いてはかえす、さざ波、、、
悲しみも、さざ波のように、引いてはかえす、、、
夜の闇に、深く沈むとき、
悲しみの涙も、涸れ果(は)て、
今は亡き、母を思う、、、
吾を愛せし、ただひとりのこの地上の人、、、
吾を産みし、母、、、
ふりかえる者さえなき、この地上に、
吾、鬼の国に住む、、、
赤子でも、引き裂きて喰わむという、
鬼の国、、、
我が屍(しかばね)を抱きしめる者、なき、、、
長月の雨のつめたく、降りしきる、、、
未来を一瞬、かいま見たり、、、
今宵ひとり、深く息を吸う。
もののけとは、吾のことならんや?
この地上に、ひとり、肩をならべる、者の
居らず、、、
我は、鬼ならずや?
地上の鬼とは、我のこと、ならずや?
そう、ひとり、ごつ、、、
鬼武彦 拝