AGARE!!!!!!


アルバム「BREATH」の新曲(未発表曲)の中からこのアゲアゲソングを取り上げてみる。

アゲアゲと言ってもそこはリトグリ。コーラスがふんだんに取り入れられていたり、メインボーカルが小刻みに入れ替わっていたりで難度は高い。そして何よりこの曲の持つ中毒性によって何度もリピートさせられてしまうのだ。


構成は以下のように勝手に決めるのだが、このブロック分けは人によって解釈が変わってくるので、あくまでも私の独断。サビが2段構成になっているところがこの曲の特徴である。

◾️構成

・イントロ(サビ1)  ♪上がれ…  8小節

・1A     ♪踏み出したとこから…8小節

・1B     ♪hear Try try try…  8小節

・1サビ1 ♪上がれ…             8+2小節

・1サビ2 ♪等身大だって…    8+8小節

・2B'       ♪大それたり…     8+2小節

・2サビ1 ♪上がれ…            8+2小節

・2サビ2 ♪桃源郷だって…    8+8+1小節

・C       ♪どう足掻いたって…8+1.5小節

・ラストサビ2  ♪等身大だって…     8小節


2番の始まりを2B' としているのは、そのメロディがAでもBでもなく、でも敢えて言うとBメロの方がまだ近いので2B'としてみた。Cとしても良いのかもしれない(その場合は後のCがDとなる)。



◾️イントロ(サビ1)

いきなりアカペラのコーラスから"上がれ"と入る衝撃的な始まりだ。しかも多重のコーラスなので当然だが全員の"記憶音感"が必要だ。♪上がれ のところが上ハモ&下オクターブユニゾンかな? で、♪Fly high

のところが上オクターブユニゾン&下オクターブユニゾンの3重構造という鬼のような音域の広さを要するコーラス。

下オクターブの超低音はMAYUか?? 

いきなりすごっっ! 

また、この曲はもちろん4拍子(1,2,3,4の4拍で1小節)なのだが、♪上がれ、ジャン が1,2,3と3拍分でこれが2回続くので、出たしだけ聴くと3拍子の曲かと思った。しかし、続く♪この鼓動(おと) が2拍分なので 3+3+2=8拍でちょうど2小節となる。

リズムに一工夫してあって面白い。


◾️1A/1Bメロ

♪踏み出した… リードはアサヒから。隙間なくMAYUが♪昔々の… と被せる。同じく次のメロディでかれん→アサヒ→かれんと隙間なく被せてくる。しかもかれんの♪I don't want …は裏ノリのリズムはキレッキレ。この3人なら、繋ぎで"もたって"ノリを損なうことはまず無い。姉組10年のコンビネーションだ。


この曲では♪ドン-ドン-ドッドッドというバスドラムが印象的だ。この♪ドン-ドン-ドッドッドで4拍分=1小節。はじめの2拍でドン-ドン。後の2拍でドッドッド。後の方は2拍分の中で3回を等間隔に打つので2拍3連のリズム。バスドラムの2拍3連が1回きりで出てくるのはわかるが、これがずーっと連続するのは珍しい。ファンキー感が出る一方で、歌詞のリズムとパスドラムのリズムがバラバラなのでより複雑になり、歌う方は歌いにくいと思う。

(♪ホワイトラビット…とか、♪私「らしく」描きたい… のように歌詞も2拍3連なので、パスドラムと同期している箇所も中にはある)

Bメロやサビになるとさらに厄介だ。

例えばBメロではmiyou中心の♪Try try try…や♪痛 タ タ タ…は裏ノリのリズムだ。この裏拍子とバスドラムの2拍3連が重なっているので余計に複雑に聴こえる。スタジオ録音ではなく、これをライブでやろうとすると難度が高まるだろう。ただ揃えば良いというわけではなくノリ、グルーヴを出す必要がある。

また、音の飛びもある。

かれんの♪I don't want to hear…では初めの「I」に対して最後の「hear」は1オクターブ上の音。この駆け上がり方はさすがかれん。またミカの♪私らしく描きたい のパートも音符が上下に動くのて正確な音程を捉えるのは簡単ではない。

◾️1サビ1

1回目の♪Fly high の後、結海の♪もっと上ーー の高音がまっすぐでキレイ。 2回目の♪Fly high…はやはりかれんの中低音がかなり強いのがわかる。息を絶対に混ぜないぞーという発声はパワフルだ。

♪信じちゃっていいかmyself のミカ、英語とか違う言語の発音のようでカッコいい。メロディ的にはずっとmid2E(=E4) 、つまりずっとミの音を平坦に出しているだけなのに何故こんなにカッコいいのか⁈ 


◾️1サビ2

・miyou からの、♪踊れや…ミカ→ ♪shout it… MAYU → ♪Alright…かれん のリレー、

・アサヒからの、♪ハレルヤ…かれん → ♪shout it…MAYU → ♪Alright…かれん 

の細切れリレーが素晴らしい。ここも隙間を空けずにピッタリのタイミングで次々と歌詞が流れていく。

miyou中心の♪rat tat tat…をバックに♪ここからー

のキレイなファルセットは結海で次の♪どこまでもー…の強いファルセットはMAYU?


◾️2B'

miyouと結海の早口は完璧。その後の♪もっとー…からのアサヒ、MAYU、かれんの絡みも1番以上に完璧。

◾️2サビ1

♪I got it… は1番同様にミカリードだが、歌詞が英語になった分、よりカッコいい感あり。♪もっと上ー

の高音はここではアサヒ。

♪もっと欲張っちゃっていいかmyself のmiyouは激しくカッコいい! 何これ。 この発音は他の人にはムリ。

ラジオ番組「しらスタのボイトレディオ」でおしらさんがmiyouの母音の発音を分析し、絶賛していたが、

なるほど、母音が独特なんだ! でもどう違うかを文章で表すのは無理で、声に出す以外に方法はない。

だから「カッコいい」としか表現できない。残念。


◾️2サビ2

ここの前半、MAYUの♪端から端まで…がいい。

1音1音に強さがある。MAYUのリード部分は多くはないが、MAYUらしさが十分に発揮されている。


ここの後半、1番だと♪rat rat rat… だったが、2番では♪Oh-oh-ohohohoh--- というコーラスとアサヒのフェイクの絡みとなっている。

迫ってくるようなリズムに乗った、この分厚いコーラスは最高だ。

アサヒの♪追い風…の「追い」と「か」は何と1オクターブの飛びだ! 次の♪追い越そう も同様の音飛びだが、この♪追い越そ「おーー」はミックスボイスか? え?アサヒがこんなに強いミックスボイスを出したことあったっけ? すごっ! この強さのせいでコーラスも含めたこの「おー」の1音がものすごく分厚く聴こえる。「Pages」の♪Let's goーー は地声中心の分厚さだったが、これはファルセットやミックスボイスなど高音での分厚さを感じる。このコーラスとアサヒの絡みを聴くだけでもこの曲の価値はあると思う。


◾️Cメロ

miyouの♪どう足掻いたって…の気だるい低音が良い。そしてさらにMAYUとオクターブ上ハモ(誰?)の♪一瞬一瞬…の無機質なコーラスが作り上げるCメロの世界観。コーラスの完成度が高過ぎてビビる。音階はA(ラ)のみ。ずーっとラだけで横ばいの単純なオクターブユニゾンのコーラスなのだがゾッとするほど美しい。音量を敢えて抑えながら逆に迫り来るような緊張感を出している。

Cメロで落ちサビ的に見事に沈んだ、と思ったら、いきなりミカのパンチ力抜群の♪本能掻き鳴らせー…だ。素晴らしい。文字通り、本能が起き上がり拳を上げたくなる。感情が振れる。気合いを入れて力強く歌うミカの表情が目に浮かぶようだ。


この2サビ2の後半のコーラスからCメロの沈み&浮きは、私的に聴きどころだ。

で、再び盛り上がったところで、いよいよ次のラストサビに突入だ。


◾️ラストサビ 

♪等身大だって最大級の… 

MAYUーアサヒーMAYUーかれん

ミカーかれんーMAYUーかれん 

それぞれの長さが

2小節ー1小節ー0.5小節(2拍)ー0.5小節(2拍)

という小刻みなリレーだがグルーヴ感を損なうことはない。

ラストは裏ノリのコーラスとかれんの追っかけのようなリード、そして同様にコーラスとアサヒの♪羽ばたけるFly high⤴︎ というせり上がり。この最後の♪羽ばたける の「た」は最高音hiE(=E5)。この高さの音は曲の中で何回も何回も出てきているが、全てファルセットまたはミックスボイスだったが、このアサヒのラストボーカルのみが唯一の地声だ。

そしてFly high⤴︎のところB(シ)→D(レ)まで音階を上げていく。そして最後の最後はアサヒ特有の声の裏返りで終わる。この裏返りはアサヒが高音だとかロングトーンだとかで頑張った時に出る印みたいなものだと私は捉えている。曲のオーラスの音がアサヒの頑張り印というステキな終わり方だ。リトグリの多くの曲で、アサヒの裏返りで終わる曲は多分なかったはずだ。この終わり方は余韻かすごい。



さて、

最後まで聴いてきて、この曲の中毒性の要因は

・メロディラインがマイナーペンタトニックスケールで成り立っていること

・裏ノリのリズムが印象的なこと、

この2点だと感じた。

マイナーペンタトニックのスケールはキーEの場合、原則として、E G A B D E(ミソラシミ)の5音で主メロディが構成されている。F(.ファ)とC(ド)が無い。

和風で言うと"ニロ抜き短音階"だ。もちろん先頭の♪上がれの「あ」のように例外の音(C=ド)もあるけれど、原則、この5つの音だけで出来ている。 

この5音を回せばどこか人をくったような中毒性のあるメロディができ上がる。 そこにハーモニーと裏ノリ中心のリズムの味付けをしたところがいかにもリトグリらしい。


ただのアゲアゲソングではなく、リトグリが歌う以上は、やっぱりそこに技術がたくさん詰まっているのだ。リズム、タイミング、コンビネーション、音量コントロール、ハーモニー、オクターブユニゾン、そして、ノリノリの中でも雑にならない確かな音程…。

タイトルは「AGARE!!!!!!」と遊んでいるが、中身は大まじめな曲だ。


もうBREATHツアーが始まっているが、この曲は歌ってくれたのだろうか?きっと歌っているに違いない。

数々の技術を出し切っていることをライブで確認したい。そして何より、このアゲアゲソングを楽しみたい。