LIFE
アルバムAmbitiousの中からこの曲を取り上げてみた。Wow wowというコーラスから入り同様のコーラスで終わる。アカペラ+クラップがよく似合うゴスペル風の曲だ。これは万人に愛されるだろう。ゴスペル風ではあるが泥臭くなく、あくまでも爽やかに仕上げている。耳に抵抗なくすっと入ってくる清涼剤のような曲だ。
まず構成は以下。キーはC♯。
イントロ ♪Wow wow〜
1A ♪急に騒いで〜
1B ♪誰かと違うことは〜
1サビ ♪Beautiful my life〜
2A ♪大丈夫だって〜
2B ♪約束しようよ〜
2サビ ♪Beautiful Sunrise〜
C ♪泣いたり笑ったり〜
落ち&ラストサビ ♪Beautiful my love〜
アウトロ ♪Wow wow〜
典型的なJPOPの構成だ。
1A のミカからキレーーイに4小節ずつリードボーカルを分けている。サビのラストの伸ばすところ以外はピッタリ4小節ずつの歌割り。結海のリード回数が2回とやや少ないのは個人的に納得いかないが、その他のメンバーは3〜4回のリード出番で配置されている。
6人体制になってからこのような均等な歌割りが多い傾向にあるようだ。
ではいつものように流れに沿って感想を。
◾️イントロ
♪Wow wow〜のwowの微妙なカーブ⤴︎、音量の膨らみとしぼみが一体化されており、とても美しいハーモニーだ。wowという音を空間に向かって放り込んでいるようなイメージ。
◾️1A
安定のミカ入り。このことは何度も触れてきているが、ミカリードの入りはもはや定石となっている。
入りは非常に重要なのでミカを当てるのは大正解だと思う。ここでのミカは少し語るような歌い方で聴く人の耳にスーッと入ってくる。地味に歌っているがピッチは完璧。
続くMAYUがいい。♪こと「ばー」じゃ「なーい」や
♪たしかなも「のー」、♪ひと「りー」じゃ「なーい」などの語尾や文節尾(そんな言葉あるか?)のビブラートによる音程維持が素晴らしい。MAYUの声は息の成分が多いので楽器で言うと木管楽器のフルートのようだと常々感じている。金管楽器のようにキンキンとしたものがない。だから心が安らかになるのだ。これがMAYUの声の力だ。この「LIFE」では特にMAYUの歌声が素晴らしいのではないか。
またMAYUリード♪たしかなものー の後に来るバックコーラスの♪Fu--のクレッシェンド(だんだん強く)が良い。
◾️1B
結海リード。MAYUの息の声とは対照的で潤った果汁たっぷりの声だ。この変化もよい。♪だれか「と」でエッジボイス。結海の得意技だが、その置き所がよい。普通は出だしの「だ」でエッジボイスだとおもうのだが。
♪Yeah yeah yeah は何気なく歌っているが、結海の根の明るさがよく出ていて好きかも。 このブロックでもバックコーラスのウーとかアーとかyeah yeah yeahの上ハモなどそれぞれの音量コントロールがうまく、メンバー間の共有も完璧だ。
◾️1サビ
サビは
♪Beautiful my life〜の前半と
♪I wish for your life〜の後半に
分けられ、ほぼ同じコード進行を繰り返す構成となっている。2番以降も同様(歌詞は違うが)。
この曲がメロディアスな印象であるのは、サビ前半で説明すると、メジャーコードが並ぶ中、♪だ「いてあるいていこう」の「」の部分でマイナーコードを使っている影響が大きい。このスパイスで明るさの中に一瞬の切なさや酸っぱさを醸し出している(手法として珍しくはない)。前半のブロックではその切なさのある部分にmiyouの声を持ってきた。なるほどこの声は切なさを増してくれるかもしれない。
サビ前半の中の後半部分はかれんリード。ここは♪歌うたおう未来のため というくらい輝かしいフレーズで、かれんの突き抜ける声が映える。
サビ後半では切ない部分にアサヒを当ててきたがこれは順当だろう。♪震えるせなーかー で世の中のアサラーさんが守りたくなる気持ちでいっぱいになるだろう笑。
一方サビ後半の中の後半は♪大好きだー とミカが高らかに歌う。ミカの優しく華のあるスマイルが目に浮かぶようだ。ちなみにこの♪「だ」いすき「だー」の二つの「だ」はhiC♯のハイトーンだ。「果てなく続くストーリー」でこれより高い(2音=半音が4つ分)hiFを地声で出しているミカだから余裕だ。
♪ぼくはずっとー★大好きだ の★の箇所のコーラスがとても爽快なのだが何と言っているのか?
(We are the oneなのかな?)
このコーラス、個人的に大好物です。
またこのサビで各小節の頭のタイミングで鳴る鐘の音が平和っぽくて良い。何と気持ちの良い曲だ。
◾️2A
miyouリード。毎度毎度申し上げているが、miyouは英語だけでなく日本語までもカッコいい。そのカッコよさの表現の仕方を知らない。口、舌、あご、など口腔全体の構造が違うのか?歌ってみるとわかるが、ここの歌詞をメロディにリズムよく乗せるのは簡単ではない。このノリの出し方は絶品だろ。
続くMAYU、やはり素晴らしい。1A 同様に語尾や文節尾の美。このブロックはMAYU以外に考えられない。
◾️2B
アサヒリード。MAYUと違って文節尾で抜くところが独特だ。♪夢をかなえた「らー」などは少し声を張りたくなるところだが敢えて抜く。これがアサヒ流。
♪Yeah yeah yeah のかわいいこと。ここでもアサヒの笑顔、えくぼの笑顔が目に浮かんで嬉しくなる。
◾️2サビ
MAYUリード。♪ずー「うっとわすれないよおー」でのファルセットが美し過ぎる。ひと昔前のファルセットを多用していた頃の切ない声だ。ここは1番でも言った通りマイナーコードを入れた切ない場面だ。敢えて地声で張らないところが良いのだ。
続くかれんリード。MAYUとは正反対に息を混ぜずに声100%で一字一字を強く歌っている。パワーに溢れたかれんらしい歌い方だ。1番でもこのパートはかれんだったので、よほどマッチしているということか。
2サビの後半リードはまず結海から。相変わらずミックスボイスがキレイだ。♪いけなくてーもー の中で地声からミックスボイスへと変化させているのだが、全く継ぎ目がない。しかも♪もー は全くビブラートをかけずにまーーっすぐ。クセのない結海の歌い方は真似しようとすると実は難しい。
サビ後半の中の後半はアサヒリード。アサヒもまたビブラートをかけずにまーーっすぐに歌う。高音部が上がりきらないようで実は上がり切っているという絶妙な歌声は切なくて切なくて…ここでアサラーさん、きっと泣いてしまうよ。
ロングトーンの切り方は、だんだん小さくしながら消えていくのでなく、同じ音量をキープしておいてあるところで一瞬 声を裏返しながらプツリと切るというアサヒ独特の切り方だ。
この2サビに限ったことではないが、メンバーそれぞれのカラーがあってつくづく面白い。
(コーラス)♪Wow wow とMAYUがコーラスの中の主メロを歌った後に♪Wow wow と追っかけのハーモニーが入る。この上ハモの方がWow wo「w」の部分で6度?の音階を出しているのがフワッとして何とも心地よい。結海? どなた?
◾️Cメロ
リードはmiyou→ミカのリレー。miyouの後ろで聴こえるか聴こえないかくらいの引き算の音量でそっと寄り添う上ハモがステキ。
ミカはまた一段と上手くなった。ここの音域すべてにおいてピッチが正確、声に張りと艶があって素晴らしい。♪ひ「と」つ ひ「と」つ の「と」は瞬間的に巧みファルセットで対応している。これは技術。
んんんん?ここのコーラスをよく聴くと…
♪ひとつ★ひとつ の★の箇所からファルセットの超高音ハモが入っているのだが……。これ、何とhihiA♯
(=A♯5)なのでは?? (前にも申し上げたが私はオクターブの高さを聞き分けるのが苦手) いやあ、メチャメチャ高くないですか?? Bobの♪生きるのはー とか♪うつるのはー のあの高音hiG♯より1音(半音x2)上なのでは?! この穏やかな曲にこのような高音が隠れていたとは… 間違ってたらすみません。
◾️落ちサビ〜ラストサビ
楽器伴奏が止み、クラップ音とアカペラだけになる。
リード(というよりソロ)はかれん→アサヒのリレーだ。何の心配もいらない。安心の二人だ。ここのアサヒのパートは1サビでも2サビでもかれんのリードだった。アサヒ独特の抜きを交えた表現とかれんのパワフルな表現の差が面白い。アサヒパートのラスト♪あしたのた「めー」で伴奏が入る。ここでギアアップの準備をし、次のラストサビへと突入する。その瞬間、ミカリード+ハーモニー♪I wish for your life で半音上げの転調が決まる。キーC♯→Dへの転調だ。
落ちサビ後の半音上げ転調は典型的ではあるが、曲調が素直なので爽快だ。
ミカのリードは何度も言うが、芯があって伸びやかな素直な声、いいなあ。1サビの半音上だから♪せーなー「かー」はhi D。ここでもビブラート無しのまーーっすぐ。
この曲のミカのリード部分は、ミカを一番輝かせる音域ではないか。
仕上げのリードはかれん。♪「だ」いすきー「だー」も同じhi D。力強い余裕のあるハイトーンはやはりビブラート無しのまーーっすぐ。申し合わせでもしたのか、自然に合っているのか…これが日々声を合わせているグループの調和であり一体感だ。
エンディングは伴奏が止みアカペラでの♪Wow wow…のコーラス。wowのハーモニーは微妙なカーブ⤴︎に沿った音量の膨らみがイントロと同様で、美しいハーモニーだ。生ハーモニーで終わるのがまたリトグリらしいではないか。
浦島健太さん、ふるっぺさんはともにAKB48や乃木坂46などの坂道シリーズ、旧ジャニーズ、ラブライブその他多数のアイドルの曲を手掛けた方々。浦島さんはリトグリで言うと「DIVA」の作詞作曲者でもある。
今回はリトグリ向けということでコーラスを活かした曲にしたのか、爽やかなゴスペル風に仕立てていただいた。奇をてらったことはことは敢えてせず、あくまでもシンプルに、わかりやすく素直なに曲を作っている。だから印象は派手ではないのだけれど、人々の心にしっかりと根ざすような曲だと思う。嫌味のないこの優良なテイストは「SING」にも通じるかもしれない。名曲の提供に感謝申し上げたい。
アルバム「Ambitious」リリース直後のSNSの反応ではこの「LIFE」が一番人気だった(ような気がする)のもうなづける。
この曲は、先行して紹介されることなくアルバムリリースされてから初めて聴いてその良さを知る、という最高の幸せをもたらしてくれた。私にとってニューアルバムの嬉しさはまさにここにある。
おそらくこの曲はテレビの歌番組で披露されることはこの先無いと思う。アルバムの隅っこでひっそりと咲く美しい花のような一曲だ。ありがとう、LIFE。