ちょ待って!


なるべくリトグリらしくない曲、だそうだ。

インタビュー記事の中でメンバーが「歌ったら負け」とまで話していた。ということは全編に渡って音階の無いおしゃべりのような曲なのか?

音階すら不明なのであれば私の出番はない笑笑

などと考えながら聴いてみた。


イントロ

なんだ、演奏はしっかりと音楽しているではないか。キーはFのメジャー調。演奏だけ聴くと癒しのイントロ。キーボードとギターが奏でるリズムはボサノバ調だ。


と、すぐにラップのようなおしゃべりのようなメロディ?が入ってくる。♪ダラダラまたマンデー… 

さらにすぐに♪ちょ待って無理無理やば〜い という

音階では捉えにくいメロディが来る。

事前に「歌わない」という情報があったので、ああ、来たこれだー、と脳波を合わせて聴くことができたが、何の情報もなく聴いたらもっと衝撃的だったかもしれない(いや、せっかくならその方がよかったんじゃない?)。

その直後に来る追っかけのような合いの手のようなメロディは音階もハーモニーもしっかりとある。

どうなっているのだ? 俯瞰して構成をまとめると以下のようになっている。いつものように◯の数字は小節数。


イントロ 演奏+コーラス ④

ラップ(しゃべり)  ♪ダラダラまたマンデー… ④

サビ ♪ちょ待って… ④×4回


1A ♪月並み悩み… ④×2回

1B ♪毎日毎日… ④×2回

1サビ ♪ちょ待って…④×4回


2A  ♪ところで最近は…④×2回

2B ♪退屈退屈…④×2回

2サビ ♪ちょ待って…④×4回

♪お届けしたいたいたい ④


Cメロ?(イントロと同じ)

  ♪ダラダラサンデーナイト…④×2回

サビ ♪ちょ待って…④×4回

ending  ♪パッパラツライ…④×2回


勝手にA, B, …とブロック分けしてみた。

A→B→サビという構成、揃った小節数…。この曲は一見、無秩序のようで実はしっかりとした秩序の上に成り立っている。その上で、淡々と敢えてダラダラとおしゃべりが繰り返される。前面に出ているのはおしゃべりだが、バックはしっかりとハーモニーしていて、"リトグリらしくないリトグリらしい曲"と言えるのではないか。ダラダラ感と優しい癒し感が相まって何とも雰囲気の良い仕上がりだ。


キーはF。ベースラインは聴き取りにくいがおそらく、G-C-(A♯)-A - Dの循環。

初めから終わりまでずーーっとこのラインが循環されている。(♪たいたいたいたい〜Cメロ?♪ダラダラサンデーナイト のアカペラパート以外)

 全体が良い意味でダラダラとしているのは緩いしゃべりだけでなくこのずっと変わらないベース(とコード進行)もその要因だ。


あと、気になったのは4回繰り返される♪ちょ待って…の2回めの最後♪割に「合わない」の「ない」の音階だ。このメロディの流れなら♪「合わない」は♪ララド とくるのが一般的だが、こでは♪ドドミ のよう聴こえる。ネジが一本外れたようなヘンテコな雰囲気を作っているメロディラインで、かえって粋だ。

1回目の結海であれっ?と感じたのだが、2回目以降も全部♪ドドミ だったのでなるほど、と思った次第だ。癒し感、ダラダラ感に加えてヘンテコ感もあって、よく作られている作品だと感心する。



私が不思議に思っている点がいくつかある。

サビ後の♪お届けしたいたいたい…のパートとその後。

小節の切れ目で言うと

♪「お届けしたい+たい」までがサビ。ここまでキーF。

次の♪「たいたいたいたい」 ×4回  でハーモニーが重なっていくところの音階。

1回め「たいたいたいたい」D(レ)

2回め「たいたいたいたい」F♯(ファ♯)

3回め「たいたいたいたい」A(ラ)

4回め「たいたいたいたい」C(ド)

となっている。 

D-F♯-A-C(レ-ファ♯-ラ-ド)はコードで言うとD7だ。


余談だが、4回めの4つめの「たい」は7th(セブンス)の音でこれは「放課後HF」のイントロの ♪アーアーアー「アー」アーと同じ使い方だ。放課後HFはキーF♯なのでコードは違うが使い方は一緒。


話は戻る。

ちょ待って!はキーFなのにここだけD7の音階となっており、ここだけ転調していると考えているがどうか?

その前の♪ごちゃ混ぜにしてお届け までは音階不明のただのおしゃべりだ。それが「たいたい」でD(レ)の音に"何となく" まとまっていくのだ。どうなっているんだ? そして今度はそのD(レ)がキーとなりD7のコードを上に重ねていっている。これ、どーなってるの?

そもそもおしゃべりメインの曲で転調って面白すぎるのだが。(これが本当に転調なら)


そしてこの後に演奏が止まり、

♪「ダラダラサンデーナイト…〜辛いで」がアカペラでおしゃべりが展開される。この中で、4小節が過ぎた♪絡まった…で上ハモが重なる。さらにその後♪畳んで…でもうひとつ上ハモが重なっていく。

これって音階不明のしゃべりの上にさらに音階不明のしゃべりが2つ重なって音階不明の3声ハモとなっているのが不思議な世界だ。ハーモニーとはキレイな3度ハモや濁ったテンションコードのハモだけでなく音階不明のメチャクチャな重ね方でもハーモニーに聴こえるのだな、とても斬新だ。


そしてさらに極め付けだ。

その後に♪ちょ待って…のサビが続く。ここは再びキーFだ。

つまりキーF →「たいたい…」でDに転調 → おしゃべりを挟んでキーFにいきなり戻る という構図だ。

この♪ちょ待って でキーFに戻るところがスゴくなくなくなーい? おしゃべりの間に元のキーがどっか飛んでいかないのはさすがリトグリ、音感のかたまり。


おー、テキトーに歌っているようなこの曲の中に結構な技術が詰まっているんだな、と感心しきり。しかもリトグリ自身はこれを技術とすら認識せずに無意識のうちに楽しんで歌っているんだろうから困ったものだ笑 参りました。


という風に、不思議だねー面白いねーなどと思いながら何度も聴いているうちにこの曲の中毒性の罠にハマってしまった。

聴き終わるともう抜けられない。気づくと♪ちょ待って無理無理無やば〜い、と口ずさんでしまっている。仕事中でも脳内にこのフレーズがグルグルと回っている。流行りのハシカよりも感染力は強いかも、何とかしてくれ笑笑


まとめ

ボサノバのような優しい演奏の上で奏でるおしゃべり。時に早口で時にダラダラと。そして急に出てくるハーモニー。無秩序のようでしっかりと秩序を持ったこの曲… 実は名曲ではないだろうか?

いや、どうだろう笑笑 結局のところサッパリわかりません。みなさんはどう感じましたか?