WONDERLAND


4/20、ついにリトグリの6th Album 「Journey」がリリースされた。

今回は唯一の未発表曲である「WONDERLAND」について感想を述べたい。

メンバー3人がいろいろなメディアでアルバムについて話している。
Real Soundの記事からこの「WONDERLAND」についてのメンバーのコメントを引用する。

かれん
不思議な曲。チェロで始まり鉄琴も使われている。メロディに高低差があり展開も激しく、なおかつアップテンポなので歌うのに苦戦。

アサヒ
遊園地のように賑やかだが、コーラスなど早口でとても難しい。

MAYU
疾走感が気持ちいいが歌うとリズムを取るのが難しい。特にDメロ出だし。一歩間違えたら音を外しているように聴こえる。



私の第一印象は、
ミュージカルのよう。華やか。
コーラスが賑やかで楽しい。
そして、メンバーも言っているように、とにかくリズムを取るのが相当に難しい、と感じた。


前置きが長くなったが。曲の構成は以下。
キーはE。これも転調なし。

イントロ   (チェロ、鉄琴)
1番
Aメロ ♪空に浮かんだ〜 MA 
Bメロ   ♪今ここに立って〜 ma
(Cメロ) ♪心はいつだって〜 ア
サビ ♪(描き出せ今)oh,WONDERLAND  かアma
2番
Aメロ  ♪どんな未来が〜  MA 
Bメロ ♪踏み出した一歩〜    ア
(Cメロ) ♪答えはいつだって〜 
サビ♪(見つけ出せ今)oh, WONDERLAND
Dメロ  ♪この旅で出会う〜 MA 
サビ♪(描き出せほら)oh, WONDERLAND




いつもように各リードの小節数をカウントすることを断念した。
この8小節は誰々のリード、と断定することが難しいからだ。

リトグリの場合は、8小節を一区切りにリードが変わっていくパターンが多いのだが、この「WONDERLAND」では、8小節の最後の小節から次のリードの人が入ってきたり、その8小節の中で複数人のリードが入ってきたりしている。

そして、小節の切れ目と歌詞の切れ目も必ずしも一致していない。 
(この辺り、文章では説明しにくいです)




以下、3人のコメントの中のキーワードを織り交ぜながら自分なりの感想を。


イントロは、かれんが言うようにチェロで始まる。
不思議と言えば不思議かもしれない。
チェロ、というか弦楽器で始まる曲などこれまでなかった。
所々で響いている打楽器はドラムの他にティンパニーのようにも聴こえる。
全般を通してオーケストラの雰囲気があり、賑やかなサウンドだ。これまでのリトグリにはない。


Aメロ、♪空に〜 
いきなりMAYUのボーカルにグッと引き込まれる。
2番のAメロもMAYUだ。♪どんな〜 ここも良い。
声の調子がとても良く、ここ数年で一番輝いているのではないか。 
明るい曲調に彼女の滑舌の良さが活かされている。
Wavesの出だしのようにドスの効いたMAYUも良いが楽しそうに歌うMAYUも良いなあー。



Bメロはmanakaのリード部分でCメロはアサヒのリード部分と一応BとCに分けてみた。
本当ならこの短いブロックなら2つ合わせてBメロだとは思う。
が、MAYUがインタビューの中で''Dメロ"という言葉を使っているのでCメロが存在する、ということなのだろう。だから敢えてBとCに分けてみた。

1番Cメロ最後のアサヒのリードで"高低差"が登場する。
サビ寸前の ♪さあ行こうかーahー の箇所。
ミ→シへの上昇。5度上だ。アサヒ、お見事!
ところが、このミ→シに対してそのハモはアサヒの3度上のソからミまで6度上げている。これはMAYUかな? 素晴らしい。
この2人のハーモニーは難度が高くて聴かせどころだ。 


サビ。
メロディは単純だ。
むしろ、メンバーの言う"高低差"やコーラスとの掛け合いが楽しい。

サビでの高低差は、1番では
♪きみだけの と ♪スタイルで と ♪夢を見て
の箇所。
「き」と「み」、「ス」と「タ」、「ゆ」と「め」の高低差は6度の差。ミからレ♭だ。
しかも3連発。
ここもアサヒがすごくキレイに、何事もないように出している。しかも地声だ。
キチンと音程を捉えるのはやはり難度が高い。アサヒの澄んだ声が実に気持ちいい。
難しく聞こえないところがアサヒの実力だ。

2番サビ、最後のサビ繰り返しの同じ箇所はいずれもかれんだ。
こちらも当然、同じ6度差だが、かれんの場合は上がるところでファルセットを使っている。かれんの音域であれば楽勝で地声でも出せるが敢えてのファルセット。
これが、かれんの解釈なのだろう。
それぞれの個性が興味深い。


Dメロ♪この旅で〜 はなるほどMAYUのコメントの通り、出だしが難しい。
その前のかれんの♪輝き出すよ〜 から4小節めの2.5拍めに入る。2拍めと3拍めのあいだ。
そのこと自体はそんなに難しくはないのだが、伴奏がなんの変化もないところが余計に難しく感じるのかもしれない。 伴奏で"はい、ここで入って" という合図がない。だからうっかり入るのを忘れやすい。


それから早口というキーワード。
確かにコーラスの「ラララ」は早い。
特にDメロ後からサビまでの繋ぎのハーモニーが凄まじい。
「ララリラリラー」とか「ルルラリララー」とか
クルクルと言葉も変わるし、早いし…

舌ったらずの私なら「ラララ」だけでももうアウトだ。

しかもハモりながらだよ。
しかも3人?ともリズムもピッタリと合って。 
凄すぎだ。
ここのパートの仕上げは4人が1音ずつ音を重ねていって再びかれんが5音目のキーから5度(シ)の音を重ねて、そこからかれんは3度(ソ)に下がり、逆にMAYUか?はファルセットでキー音(ミ)まで上げている。彼女達の手にかかれば自由自在だね。

さらにそこにアサヒの ♪描き出せほら が元気に重なってくる。
このコンビネーション…こんな複雑なことも簡単そうに楽しそうにこなしてしまうリトグリって…笑えてくる。


この曲のコーラスは全部聴かせどころだ。
リードボーカルよりもこちらが主役と言っても良いかもしれない。
大きな音量でリズムやグルーヴ感を作るノリノリの元気なコーラス。
これも、ぜひともライブで聴いてみたい。




最後に。
Real Soundにのインタビューでかれんによると、
この曲を最後に入れたのは、ここからリトグリの明るい未来に向かって進んでいきたい、という思いを込めたから、ということだ。

良いことだと思う。
いろいろなことを吹っ切って…
これからは明るい未来しかないのだ。
これからもガンガン突き進んで欲しい。

歌割りも一旦解体して3人用に一からやり直している、と聞く。大変なことだと思う。
しかし、彼女たちは困難から絶対に逃げない。

進む決断をしたリトグリを素直に応援したい。
Journeyはそう思わせてくれる素敵なアルバムだ。