dreamer 


manakaソロプロジェクト第一弾として「dreamer」が披露された。


ほおーーーーーーー、 そう来たか。
驚きだ。 
作曲&編曲まで自分で手がけた?初心者だと… ?

私の作曲初心者のイメージはアコスティックギター片手に簡単なコードを付けていかにもぎこちないメロディを歌う……そんな昭和なイメージしかない。

ところがどうだ、これは。
長年、作曲を手がけた方が
"今回は肩の力を抜いて作りましたー"的な、完成された曲…そのように受け止めた。
私の持っていた初心者像とはまるで次元が違う。


これがmanakaらしい、というのか。
一般的なJPOPやロックに慣れ親しんでいる私にはとても不思議な世界だ。
浮遊感のある不思議なメロディ。
本人が"歌い上げない"とコメントしていたが、まさにフワフワが心地よい曲だ。

どうか、1回で諦めずに何度も何度も聴いていただきたい。
ジワっと良さが出てくる曲なので。



ベースラインが面白い。
ド→ラ♭→ラ→レまたはラ♭  

このラインが繰り返され曲の多くの部分を覆っている。どこかつかみどころのない、しかし何となくまとまっている何とも不思議な世界を作り上げている。

感心するのは、個性的で自由であるのに完成度が高いことだ。
キーはC(ド)(ハ長調)というところまでは初心者らしいというか、どストレートなmanakaらしい。

がしかし、ベースライン、そこに乗ってくるメロディライン、曲の構成、歌い方、全てにおいて個性的で自由な感じだ。
それでいてよーく練られている。

この曲が良いのか?好きなのか?は別として、すでに相当の"味"を出していることに驚きを隠せない。
繰り返し言うが彼女は作曲編曲の初心者なのだ。



構成は以下。  ◯の数字は小節数
(著作権を意識して歌詞は頭の部分のみ記載)
-----------------------------------
イントロ
前奏 ④
♪お伽噺なんて〜 ⑧x2

1番
Aメロというのか?
♪移り変わりゆく〜 ⑧
♪このまま遠回り〜  ⑧

サビ
♪dreamer走る背中〜 ④
♪dreamerはしゃぎ疲れ〜 ④

間奏 ⑧

2番
A'メロ
♪水面にxxxx light? ⑧

サビ2
♪dreamer〜 ⑧

サビ
♪dreamer走る背中〜 ④
♪dreamerはしゃぎ疲れ〜 ④
♪dreamer + フェイク
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まず、イントロから不思議だ。
打ち込みの世界はこういうものなのか。

打ち込みのリズムと隙間がない歌詞のために少し小節の頭が取りにくい。

この歌詞、特にAメロは文字数が多く、音の空間を言葉で埋め尽くされている。
まるでふわふわとしたラップだ。

この文字数をメロディへうまく詰め込み、リズムを見事に作り上げ、それ歌い上げるのは明らかに才能だ。


♪あと何周も の部分、なん「しゅう」の箇所でメロディの音階が上がる。(ミ→ラ)
単語の途中であるにもかかわらず。
この辺の自由さが非常に良い。

また、
♪まだ帰り「たー」くないよ
ここの「たー」がミでなくミ♭。
アンニュイなマイナー的な音を選択しているところがオシャレだ。
この音階はサビの中にも何度か出てくる。
(オルタードのテンションとも言えるのか?)

8小節の間奏も面白い。
(manakaが編曲もしているので、間奏も含む全ての音に興味が出てくる)
ボーカルが終わり、間奏に入るといきなり足跡的な音や宇宙スペース的な音。
後半からはmanakaの左右の細い人差し指でキーボードをたたく仕草とともに何とも不思議などこか滑稽なメロディが流れる。 面白い。

2番のAメロがまた秀逸だ。
1番とは所々が違うのだ。だから「A’メロ」と書いた。
ここは
・韻を踏む歌詞
・突然入り込むフワリとしたメロディ
(♪一瞬で xxxx way??)とか
(♪点と点はつながる xxxx for you???  )とか
歌詞はよく聴き取れないので適当ですxxxxゴメン。
だけど…才能だなあ。

そして個人的に2番A'メロと並んで秀逸だと感じるのはサビ2と書いたパート。
♪dreamerという歌詞とフェイクだけで成り立っている8小節だ。

え?いつの間にそんなにセンスあるフェイクを?

これまでmanakaのフェイクは選択するメロディが素直過ぎて正統派のイメージがあったが、ここでは微妙な音を出している。これがまたフワリとした世界を作り上げている。素晴らしい。

ということで2番A'メロとサビ2はmanakaの才能が溢れているパートだと思う。

ここまでで聴く方を十分にこの世界の中に引きずり込んでいるので、最後のサビは、もうmanakaのペースで流すだけ。

そしてラストの絹のようなにソフトなフェイク。
儚い感じで終わる。

はあ〜
何度も何度も繰り返し言うが、初心者だよ?
恐るべき21歳だ。


またビデオが良い。
ストレート黒髪のmanakaが自然にdreamerを口ずさむだけのシンプルな絵。


私は個人的にこのような浮遊感的な曲は好まない。
たまに聴いて良いな、とは思うがCDを購入したり
ダウンロードしたり、というところまで至らない。
が、この曲は別。
応援するmanakaと言うことももちろんあるが、この先この才能がどこまで行ってくれるのか、という期待をもちながら聴いていきたい。

できればmanakaの幅広い音楽の中から少しソウル的な曲もやって欲しいと思うのは妄想か。

とにかく驚いた。
今後も注目だ。