風をあつめて テレビ短縮版
(2021FNS歌謡祭)
もちろんこの曲は知ってはいた。
はっぴいえんどの曲だ。
正直、細野さんが淡々と歌う歌…知ってはいる、というだけの歌だった。
実際、History of Pops 70sのステージでもmanakaとMAYUのコンビで歌ったのも客席で観たが、その当時はこの曲の良さが私にはまだわからなかった。
しかし今回、松本隆さんの作詞活動50周年トリビュートアルバム「風街に連れてって!」の中に収録されている「風をあつめて」をMAYU、アサヒ、manakaがカバーするというし、また、SNS上での評判もすごく良いのであらためてこの曲についていろいろとネット検索をしてみた。
歌詞の解釈はいろいろだった。
1971年当時の失われていく東京を歌った歌だとか、いろいろ。
松本さん作詞のこの歌詞は文学的、やや幻想的で、これを細野さんが淡々と歌うこの曲は確かに味があることが今更ながらにわかった。
繰り返し聴くうちに味が濃くなってきた。
これだから音楽は面白い。
音楽は流行った数ヶ月の使い捨てではないのだ。
さて、リトグリは7/14 に2021FNS歌謡祭で
風をあつめて を披露した。
アルバムの3人バージョン以外に4人バージョンも演るのかあ、大変だな、こりゃ。
声を張り上げて歌うと雰囲気が壊れるこの曲を
リトグリがどう捌くのか、楽しみであった。
FNS歌謡祭での構成は以下の通り。
2番はカットされている。キーはE♭ 。
原曲キーはEなので半音下げてオクターブ上を歌っていることになる。
1番
Aメロ manakaリード
Bメロ manaka
サビ manaka
3番
Aメロ MAYUリード
Bメロ かれん
サビ かれん
*AメロとBメロの境がなく、このような分け方は 適さないかもしれない。Aメロとサビしかないのかもしれない。
間違っているかもしれない点、ご了承ください。
■1番
まずmanakaのリードボーカル。
100点ではなかろうか。
この曲の世界観を崩さずに、淡々と歌っている。
Aメロ ♪しみだらけ「の〜」の箇所は無機質な感じが醸し出されている。
ピッチはある程度正確に保ちながら、それよりも所々に抜いたり、無機質な雰囲気を出したりする方を大切にした歌い方だ。
抜いたことによってピッチが不安定になるのとは大きな違いだ。
かと思えば、サビの
♪「かー」ぜーをあつーめてー、の「かー」はmanaka特有の空に突き抜けるような天性の声が
活きており、個性も失っていない。
他にも感心したことがある。
原曲をよーく聴き込んでいるのがよくわかる。
さすがに細野さんを尊敬しているだけあって、その歌い方を継承しているのだ。
例えばBメロの、
♪もやごし「にー」の 「にー」の音階と
♪海をわ「たー」るのが 「たー」の音階は
最高音で同じC5 (ド)だが、
♪もやごし「にー」は、 音の頭から一発でドの音階をしとめている。
一方、♪海をわ「たー」る は、1音下のシ♭あたりからせり上がってドに到達している。
これ、原曲通りだ。
また同じくBメロ
♪見えた「ん」です の「ん」がハッキリと「ん」になっている。 これも原曲通り。
「ん」は普通はハッキリとは歌わない字。
やはり原曲を意識しての発音だと考えている。
その他、
Bメロの最後というのかサビの始めというのか、
♪それでぼ「くー」も の「くー」の瞬間的なクレシェンドがとても素晴らしく、感心してしまった。この短い時間での音量コントロール!
芯のある天性の声に加えて、このようなこまかな表現方法まで持っているのは非常に心強い。
とにかく…
この1番のmanakaのボーカルは素晴らしい。
サビ ♪かぜをあつめて のコーラスも良い。
難しいハモではないが、とてもキレイだ。
♪あおぞらをーかけたいんです の箇所のコーラスは無しにしてラストの
♪あおぞら「をー」 で再びコーラスが入る。
この「をー」のハモの中でソ♭の音が聴こえる。
これはアサヒだろうか?
この音が効果的。
マイナーのような響きで物悲しい雰囲気を出している。
■3番
Aメロ MAYUのリードボーカルが良い。
個人的にはMAYUは力を思い切り抜いた口ずさむような歌い方が好きだ。
この曲もそれができる曲だ。もっと力を抜いてもよいくらいだ。
君といれば でもそうだったが、もう少しMAYUに長くリードを取らせてもらえないだろうか。
MAYUは長く歌うほど乗ってくるからだ。
期待したい。
Bメロ 音源ではここはアサヒのリードだが4人バージョンではかれんがリードを取った。
さすがにかれん、うまい。
が、個人的にはこの曲にはアサヒの方が合っているように感じる。ここは好みの問題かな。
サビ 1番は ♪あおぞらをーかけたいんです の箇所のコーラスは無しだったが、3番ではここにもコーラスを入れている。
この意図は何だろう? …終わり感を出したいのだろうな。
などとついついマニアックなことを考えてしまう私をどうにかして。
そんな事を考えてるうちに3番が終わり、曲が終わってしまった。
と、最後に見せ場があった。
4人揃った丁寧なお辞儀。深々と。 お見事!
若いグループがこう礼儀正しいと嬉しくなってしまう。どこまでもおじさんキラーだ。
ちなみに、アルバム収録のフルバージョンの音源を私はまだ持っていない。
ミューズノートでオンエアしてくれたので、その聴き逃し機能で何度かは聴くことができた。
(今は聴けない)
音源フルバージョンのending コーラスはとても気持ちが良かった。
やはりアサヒだと思うが、5度の音を半音上げてオシャレなアレンジになっていた箇所があったことを記憶している。(オーギュメントと言う…多分)
非常に心地よかった。
しかし音源を手に入れて聴き直すと、また時間が経って間が抜けてしまうので、取り急ぎテレビ短縮版の感想だけで投稿することにする。
ちょっと内容がナイヨーだけど許してね。
フルバージョンを聴くことがあれば、また感想をあげてみたい。