グッとくる転調



作曲家は、楽曲を盛り上げたり、空気や景色を変えたりする意図を持って、調(キー)を変える=転調という技を繰り出すことがある。


リトグリの楽曲も転調が多い。

正確に言うと転調が多かった。


実は5thアルバムのBRIGHT NEW WORLD(以下、BNW)以降、シングルで言うと「君に届くまで」以降は"転調ナシ"の曲の方が断然多くなっている。


参考までにデータで言うと、

4thアルバムFLAVAまでのオリジナル59曲のうち40曲が転調アリ、19曲が転調ナシ。

7割弱の曲が転調を用いている。


BNW以降は

18曲のうち6曲だけが転調アリ、12曲はナシだ。

転調は3割強。比率が逆転している。


私の主観だが、BNW以降は転調のように手法を工夫することなく、楽曲の迫力そのもので勝負するような"骨太"な曲が増えた。




因みにBNW以降の 転調ナシ12曲とは、


Baby Baby    Gm

ECHO             Em

I Feel The  Light       B♭m

STARTING OVER     D

move on        Em

SPIN              B♭m

Symphony      C

In Your Calling       Cm  

足跡     C

Dear My Friend      B♭

VIVA                G♭

Waves             Am



である。

錚々たる顔ぶれが並んでいる。どれも大物な感があるねえ。ドヤ顔の曲たちだ。

(Symphonyは異色か笑。私は大好きだが)





これらはいいとして、今日取り上げるのは転調アリの曲だ。


今回はリトグリの中でも私の好きな転調をいくつかピックアップしてみよう。

(私の好みですみません🙇‍♂️)



私は複雑な転調やコロコロ変わりすぎる転調はあまり好みではない。

シンプルだがそれでいて転調が非常に効果的、という視点でグッとくるものを3つを選んでみた。





JOY

 作曲はヒャダインさん こと 前山田健一さん


この歌は麻珠がそのピュアなハイトーンで躍動する歌だが、MAYUもまたリードで活躍している。

まだ変声期の前で、高音域をファルセットでかわすことなく地声で歌い上げることができた頃のMAYUだ。今聴くと実に懐かしい。


1番、2番が終わり、麻珠とmanakaのリードが素晴らしいCメロが終わる。


そして落ちサビ。

ここで伴奏はピアノ(エレピ)とドラムのハイハットだけになる。


MAYU から麻珠へのリレー。


MAYU   

I wanna thank for your lo 

 I'm always feeling your heart  

麻珠 

I can do nothing

  nothing but sing this song 


songー からの麻珠の綺麗な高音。

ここからキーGから半音上げG#への転調。


麻珠♪songの最後がシ

麻珠の声で半音あげてド 

このドに伴奏のコードが後追いで被さるイメージ。 


普通は楽器伴奏のコードが半音上がり、そこに声が載るのだが、これは声が先にリードして転調で半音上がり、伴奏が着いてくる。 ここが演出のポイント。


それにしてもきれいに決まった


例えるなら、

浅田真央ちゃんのトリプルアクセルがきれいに決まってピタリと着地した瞬間のよう。


ただの半音上げの転調ではないところがにくい。

"やられた感"が強い素晴らしい転調である。


グッときた。




Evrything could be your chance


作曲はCHI-MEYさん。


こちらも落ちサビ後のただ一回の転調。


1番の後、Cメロ、そして落ちサビへ。

ここで伴奏はピアノ一本になる。


また朝日が昇って…(省略)…

私たちは声の限り 

歌い

 ここでコーラスに全員が加わり盛り上がりがは

 じまる。

つづけよう〜

 ここでドラムを含む全ての楽器が入る。

 特にドラムだ。バスドラムの後シンバルが派手

 に打ち鳴らされる。


そこで転調!  キーDからキーE1音上げ

でサビに突入する。伴奏と歌声が共同で転調を完成させる。


よくある半音上げでなく「1音上げ」というのが実にドラマティックであり効果的である。


転調の瞬間に、力が湧き、涙が溢れる。


バラードの盛り上げはこうでなくちゃ。

実に素晴らしい


グッときた。


……ハッ!   


落ちサビで静まり、そこから一気に盛り上げる

転調…  JOY と同じパターンではないか!

1音上げるか半音上げるかの違いはあれど、基本は同じ。

そうか、こ、このパターンに弱いのか、私は


まさに、やられた感 だ。




③愛しさにリボンをかけて


作曲は木下陽介さん


この曲はキーFA♭が行き来する。

Aメロ、BメロがキーA♭。 

サビ(Cメロ)でキーFにドラマティックに転調する。

またAメロでA♭に戻る、という具合に。


このように繰り返される転調の中で私のお気に入りは、やはり落ちサビの少し後の



かれんリード

きっと 世界中がいま眩しい笑顔と

 やさしい気持ちに包まれ

 煌めく明日が続いていくこと願ってるー


の後キーFからA♭へ戻る転調。


  ……願ってる〜   のかれんの声が残りつつ

  その声を利用して伴奏がA♭に戻る転調。


今度は半音上げでもなく、1音上げでもなく、

1音半上げ」となる。



この転調によって景色がガラリと変わる。


カーテンをサッと開けたら窓一杯に街中のイルミネーションが灯っている景色がパッと目の前に現れた瞬間のよう。

これも、やられた感!


グッときた。



ちなみに、この転調の後は、

May your Christmas Wishes come true…

の かれん、MAYU、アサヒのバックコーラス組と

Merry ChristmasMerry Christmas… 

芹奈(主メロ)manaka(下ハモ)


に分かれて怒涛のハーモニー合戦が広がっていく。


そしてその2組が

最後の♪ana Happy New Year〜♪で合流して

幕を閉じる。


いやー素晴らしい。

素晴らしいしかない。 


個人的には③の転調が一番シビれるかも。




しかし

やはりどこか①②と似通ったパターンだ。

3曲とも作曲家さんは違うが、仕掛けてくる場所は落ちサビ後の盛り上げとして転調を仕掛けてくるようだ。



つくづく私は単純なのだなあ。

作曲家の、このマジックにすぐに引っかかるのだ。 オレオレ詐欺か!





ということで今回は3つの転調に触れてみた。



どの転調も素晴らしいと思いませんか?



3つとも素晴らしい! と思った方は意外と単純なのかもしれません。


いや、素直と言っておきましょう😘