リトグリは5/18のCDTVライブ!ライブ!に出演し、ECHO、You've Got A Friendの2曲を披露した。例によって5人のメンバーが別々の場所から
リモートで歌う形式。
今やリトグリのお家芸となった感がある。
ECHOを歌う直前のナレーターのコメントは
「一糸乱れぬ奇跡のハーモニーに注目」だった。
いやいや、そこまで持ち上げられると照れるなあ、と自分が褒められているかのような感覚。
▪️ECHO
ECHOはアレンジを変えてきた。
冒頭、いきなりバイオリンとエレピがメインの美しいイントロがきた。また本間さんのオルガンが良い味付けになっている。
ECHOはバリバリの短調であるが、このイントロは長調だ。ECHOのEmに自然とつなげるためにEmの平行調であるGがキーだ。
(キーEmとキーGのスケールは同じ音階で構成されている。
だからEmからGへの転調は耳が何の抵抗もなく受け入れてくれる。 私は平行調の転調は転調のうちに入れていない。同じキー、調だという扱い)
いかん。たった8小節のイントロで解説が長くなってしまった(>_<)
とにかく美しいイントロなのだ。
で、ECHOは ほぼ"THE FIRST TAKE"のアレンジだった。イントロとうまくつなぐために冒頭の
♪Wo-wowo Wo-wowo……♪はなかったが、その後の構成は同じ。
伴奏にバイオリンとオルガンが加わったのが違い。
歌の出来は最高だったのではないか。
コーラスがやや小さくて聴き取りづらかったが、
全体的に音程が取れていた。これまで完全に上がりきれない事が多々あった。
この曲の最大の見せ所である
manakaの♪One for all〜♪ と
かれんの♪All for one〜♪ の箇所も今回は完璧と言ってもいいレベルだった。
やはりこの2人、特にmanakaが安定した時のリトグリは無敵だ。
このECHOは素晴らしい!
▪️You've Got A Friend
つくづく、かれんとmanakaはマジメだと思う。
音符どおりに歌唱する、というか… ピアノが歌っているかのような直線的な歌い方をすることが多い。
ピアノは"ド・レ" を弾けば"ド・レ" の音が出る。
当たり前だ。
が、逆に言うとド・レの音程しか出ない。
これに対して人間の声はドからレの間の無限の音程が出せる。アナログというかリニアに音程(周波数)を調節できる。
トロンボーンもそうかもしれないし、フレットのない弦楽器もそうかもしれない。
だからこそ人間の声は正しい音程を捉えて歌うのは難しいのだ。
かれんとmanakaはきちっと、まじめにこれをこなす。
芹奈はちょっと違う。
かなりリニアに声をあやつる。
ドとレの間の微妙な音階を使って歌に表情をつける。これは芹奈の真骨頂だ。
このYou've Got A Friendを聴いて、まずその違いを思った。(ハーモニーは置いといてリードについて)
曲の構成は以下のとおり。
Aメロ manakaリード
♪When you're down〜8小節
Bメロ かれんリード
♪Close your eyes 〜8小節
サビ1 manakaリード
♪You just call out 〜8小節
サビ2 芹奈リード
♪Winter, Spring, Summer or Fall〜8(7)小節
Cメロ かれんリード
♪ Ain't it good to know〜8小節+2小節
落ちサビ1 芹奈リード
♪You just call〜8小節
サビ2 manakaリード
♪Winter, Spring, Summer or Fall〜8(7)小節
ラストサビ かれんリード
♪You've got a friend 〜8小節
シメ manaka
♪ You've got a friend〜 Hu〜
一回目のサビ2の芹奈。
何という丸みを帯びた情感豊かな歌い方なのだ。
一番極端な丸みは ♪And I'll be there♪ の箇所。
かれん、manakaの直線的な歌い方と対照的で面白い。
落ちサビの芹奈。
ここはもっと激しい。
♪I'll come running,running〜 の箇所だ。
シとドの間の微妙な音階を駆使して感情を表現している。芹奈は強弱の表情も素晴らしいが、音階を自由に使うセンスは抜群だ。
かれんやmanakaも歌の幅をどんどん広げてきているので微妙な音階も使うのだが、やはり基本は直線的である。
この点では芹奈の右に出るものはいない。
尚、誤解のないように言っておくと、
直線的な歌より丸みのある歌の方が良い、とか まさっているとか言ってるわけではない。
直線的な良さはいくらでもあるし、そちらの方が良い時は多々ある。
このYou've Got A Friendは言わずと知れた
キャロルキングの名曲だが、原曲は飾らない素朴な歌だ。
キャロルキング自身もシンプルな歌い方なので余計に、対照的な表現をした芹奈の歌に関心して、こういう視点で書いているわけだ。
私の好きな故Donny Hathawayもこの曲をカバーしている。
単独でも歌っているし、Roberta Flackともデュエットしている。
どちらにおいても"彼流"の表現をしている。その世界は素晴らしい。完璧だ。
芹奈も"芹奈流"をハッキリと持っている。
彼女は彼女なりの魂をその歌に吹き込んで新しい世界を造る力を持っている。
ハーモニーは何より調和が必要とされるが、調和だけだと幅がない。
リトグリに芹奈がいる意味は大きいのだ。