アカペラメドレー2025冬
12/19、リトグリは「アカペラメドレー2025冬」をYouTubeやSNSで公開した。考えてみれは2025年はまだアカペラメドレーを出していなかったんだねー。「雲の感触」や「You Dont Know Nothin'」があったのでアカペラから離れた感覚はあまりなかったが、メドレーとしては確かに今年初めてだ。
メドレー構成は以下。
原曲キー LGMキー
①Subtitle G G♭
②再会 Gm(B♭) Gm(B♭)
③愛しさにリボンをかけて F F
④冬が終わる前に C C
⑤冬がはじまるよ Dm→D F♯m→F♯
⑥ゲレンデがとけるほど恋したい B C
⑦雪の華 B(A♭m) B(A♭m)
⑧ハピネス D D
今回は8曲(Mash up除く)も歌っている。これまでは6曲だったので嬉しい限りだ。
メドレーの時は毎回書いているキーの話を今回も前置きとしてしておく。キーが変わるとそこに"転調"が生じる。楽器伴奏の誘導無しに声だけで転調するのは難しいし、これがハーモニーでつなぐとなると至難の業だ。このブログでは曲と曲のつなぎにも触れておきたい。ゆえに、つなぎの説明のところだけは音楽的に理屈も捏ねることになるがご容赦いただきたい。(そこは読み飛ばしてください)
では流れに沿って見ていこう。
①Subtitle(Official髭男dism)
リードはかれん。原曲キーG♭に対して半音上げてGの設定だ。かれんは最近特に凄すぎて無双状態が続いている。この曲においても存分にその凄みを発揮している。
♪言葉は…からの♪pon pon pon ponというアサヒ→結海→ミカ→miyouの4人によるベルトーンの展開がいきなり素晴らしい。ponと歌うたびに泡が生まれるようなソフトタッチだ。しかも音を低い方から上に積み重ねていくのは慣れているが、高い音から下に重ねていくのは難しいだろ?これほど柔らかいタッチでしかも下っていく音階なのにリズムもピッチも音量も完璧。恥ずかしながら2番目とか3番目の♪ponを試しに自分で歌ってみたけれど難しすぎて笑ってしまう。まずリズムが難しいし、ピッチなどとても取れない。0点でした笑。
♪夢中になればなるほ「どー」に のところから揃ったコーラスが鳴るがハーモニーがとてもキレイ。♪消えてし「まー」うけどー の「まー」で一気にコーラスの音量が上がってゾクっとする。♪託されたお「もー」い「がー」でも同様に音量が一気に上がる。全員の意思が一致した結果だ。こういう一体感も私の思うグルーヴのひとつ。この「がー」ではコードがメジャーが強調されているので尚更強く押し出て聴こえる。原曲でもここはメジャーだが、このアカペラの方がより輝いて聴こえるアレンジだ。♪君の胸を震わすのも のコーラスの♪da da daのキレ! キレはキレでも分厚いキレとでも言うか…全メンバーの声が1点に集中されている重みとキレの軽快感が両立していて凄みを感じてしまう。
最後♪愛が届くまでー の後に♪G→E♭というコーラス(の主音)で繋いでいる。この最後のE♭こそが次の曲の出だしの音階となっている。
②再会(Lisa & Uru)
リードはmiyou、下ハモがミカ。他のメンバーはバックコーラスという構成。前曲からの繋ぎとしては、メジャーからマイナーへの変化はあるが同じGを主音とする曲どうしなのでそれほど抵抗はない(あ、前曲でキーを半音上げていたのはこのためかもしれないな)。それにしても、2人がいきなりハモり出し、しかもピッチが正確なのはさすがだ。♪降りしきるゆ「きが」の「き」と「が」、音階が4度飛ぶのはまあよくあるとしてもハモッて飛ぶのは簡単ではない。しかもすました顔してやっているので見ている方は難度に気付かない。
バックコーラスの♪tuーtu tu 「tu」の4番目の「tu」は裏のリズムでこれもキレている。最後、コーラス(の主音) ♪F-A-G(ファ-ソ-ラ)と移って次の曲へ繋いでいる。主音はかれん。
③愛しさにリボンをかけて(リトグリ)
前曲最後の♪Gは愛リボのキーであるFに対して2度、そして歌い出しの♪「いまい」とーしさに の「いまい」が5度の音階。2度→5度(ツーファイブと呼ばれる)のコード進行はその後に主音(この場合はキー音のF)へと戻る定番の移り方だ。(文章では説明がとても難しい。要するにキーの違う2曲の繋ぎ方の工夫がなされている、ということ)
さて、愛リボだ。
メドレーにおいて、カバー曲の中に1曲だけオリジナルを入れるのは初めてだろう。今後もこの方式は取り入れていただきたい。
♪今いとーしさに…は結海リード。純度の高い歌声で伸びが非常にキレイ。字ハモはMAYU,miyouの低音コンビ。当たり前だが前の曲よりもテンポがスローになっている。そうか!さっきのかれん主音の繋ぎのコーラスはキーを変えるためだけでなくテンポも変換しているんだ、とここで気付く。うーん、よくできている。さすがかれん様、テンポも支配する。
♪いまい「とー」しさに の「とー」で安定した厚いコーラスが入る。ここからはコーラスの音量コントロールにも注目だ。どこを盛り上げているのか、全員の感性は合うのか…。ここでは音量は中の上と言った感じか。
♪very merry christmas …の結海の声は完全地声だろうか、ミックスボイスだろうか?調節がうますぎてもはや境目がわからない。
リードはミカへ。何と柔らかい歌い方なのか。この柔らかさはどうしたら出すことができるのか。
♪きらめく光がつつんで のMAYUの下ハモサポートか素晴らしすぎる。リードを引き立て、かつハモの存在もある絶妙な引き算コントロールだ。
リードはかれんへ。miyouのペースの字ハモがよく効いている。♪抱きしめてるーきっとー のかれん、うまいなあ。息を出さずに100%声でパワフルだ。
リードはアサヒへ。♪世界中でいまー… でコーラスの音量はだんだん強さを増していき、♪すませばー でアサヒがフワッと抜くのに合わせてコーラスも音量を絞る。リードボーカルへの寄り添い方がすごい。ぜんの感性がひとつになっている証だろう。
♪窓をかけるベルの音が…で同期のMAYUがしっかり下ハモ。もうこのあたりのMAYUには泣けてくる。
アサヒの視線は空中のベルの音を追っかけている。どうやらアサヒには宙を飛ぶサンタのソリが見えるらしい(カワイイ)。 ♪聞こーえるー の伸びはストレート+ラストの声裏返り、これアサヒ流。
この曲の最後でまた次の曲への繋ぎのコーラスが入る。主音で言うと♪C-B♭-A♭-A-G と推移していく。さいごの♪Gは次曲のキーから5度の音でMAYUの歌い出しの音階でもある。MAYUはこの音をそのまま出せば良い。リードを優しくナビゲートしている技ありのコーラスだ(もっとも、MAYUにはナビゲートは不要かもしれないが…)。
④冬が終わる前に(清水翔太)
リードはMAYU。これはMAYUに合った音域だろう。
前の繋ぎのコーラスは転調へと音階をナビゲートしてくれたがテンポまでは変換していないので、ここはMAYUがテンポを作り上げている。
miyouのベースラインはMAYUの1音1音の移り変わりとは別のタイミングで動いていて面白い。
♪神様どう「かー」はいかにもMAYUらしいビブラートでピッチを安定させている。♪会えますように のところ、かれん、ミカ、アサヒによるユニゾン+オクターブユニゾンがキレイ。
最後の繋ぎはかれん、結海、miyouによる♪G→Aという進行で次の曲のキーDmの5度をつくることで移動しやすいようにしている。テンポもここで変換している。
⑤冬がはじまるよ(槇原敬之)
リードはアサヒ。ルンルンだ。♪冬がはじまるよ の下ハモはいきなり難しい。これ、素人がやったら間違いなく"つられて"歌えないやつだ。ここのコーラスは厚み自体はそれほど感じないが、字ハモ+♪tu tuのハモという2つのハーモニーの共演になっていて素晴らしい。他のグループではそうそう真似できないであろう。
♪油断させない「で」のアサヒの一瞬の歌い方と手の振りはあざといくらいの可愛さで、おそらくアサラーさんの8割くらいは倒れているかも笑笑。
最後のコーラスでの繋ぎは驚愕だ。いきなりかなり強めの♪ダラララ。前曲との音量の差に驚く。まるで爆弾を落としたような迫力だ。この辺りのメリハリも聴く方を飽きさせない工夫だと思う。そしてこの♪ダラララの主音は次の曲のキーBをいきなり出している。繋ぎもへったくれもない次のキーへの瞬間移動という力技だ。かれん、MAYU、結海、miyouによる攻撃だ。(この時、アサヒはリード、ミカは次のリードに備えている)
⑥ゲレンデかとけるほど恋したい(広瀬香美)
リードはミカ。♪絶好調 真冬の恋…キーは原曲より半音下げているものの、その高音域のすばらしこと。
♪スピードに乗って… の中低音もしっかりと芯を捉えている。♪乗って の歌い方は何度見返してもすごい。♪とけるほ「どこーい」の「ど」は中低音でmid2E(=E4)、そして「こーい」は高音でhiE(=E5)だ。つまり1オクターブの音飛びだ。広瀬香美さんもご自身の音域が広いので作る曲も容赦がない笑。
しかし、そんな難度の高い曲ではあるが、ミカは1音1音を丁寧にこなし、ピッチも完璧で高音もきちんと音程の真ん中まで上がり切っているので聴いていて爽快、いやもはや快感が走る。声の張りや艶も素晴らしい。♪ブレイクすんぜん… で優しい笑顔を見せているが、ここはまたE4の中低音に戻ってからのフレーズ開始なので頭の「ブ」は音程を取るのは容易ではない。それから「すんぜん」でコブシを回しているが、これは原曲の広瀬さんの歌い方を落とし込んでいる。
♪幸せのゴー「ル」でミカらしく少しフォールさせているが、ここもほぼ原曲通りの歌い方だ。
♪「う」たってほし「い」のー の「う」は再びhiE(=E5)だが顔色ひとつ変えずに出している。さらに「い」でのコブシはやはり原曲をお手本にしているのだが、これは難度の高いコブシの回し方だ。ミカは優しくにこやかに歌っているが、きちんと原曲を深く研究し練習しまくっていることがよくわかる。このミカのリードボーカルは最高の域に達していると思う。ミカの歌に興奮してリードボーカルのことばかり書いてしまったがもちろんコーラスも素晴らしい。
♪スピードに乗って… の時間差でMAYU-結海-かれん-miyouが音を重ねている(こういうのもベルトーンって言うのか?) ♪ブレイクすんぜん しあわせのゴール
の間のmiyouのベースラインの動きは音階が激しく飛んでいて難しいことをやっている。
この曲はリードとコーラスが高度に噛み合った優秀作品ではないかな。またまた広瀬さんご本人に聴かせてあげたい。きっと喜ぶに違いない。
⑦雪の華(中島美嘉)
前曲からの繋ぎは一切ない。すべての音が消え、いきなり結海のソロボーカルから入る。なるほど、同じキーBだから違和感なくすんなり入ることができる。
お、そうすると「ゲレンデがとけるほど恋したい」のキーを原曲B♯からBに半音下げたのは「雪の華」と一緒にしたかったからかもしれない。しかもリードボーカルの高音域も緩和されるし…一石二鳥のアレンジだ。
ということで、ここはドラマティックにいきなり結海の声から入ったんだね、きっと。いやあ、それにしても美しい声だ。美しすぎる。ピッチか完璧。♪雪のはなをー の消え入るような儚い声…もうこの時点で結海ワールドにすっかり呑み込まれてしまう。コーラスもちゃんとリードに寄り添う優しいハーモニーが美しい。この感じが♪ふたり寄り添って眺めているこの時に幸せが まで続く。そして次の♪あふれだす で一気にコーラスは膨らんで ♪「あ」まえとか弱さ のコーラスも♪Ahーーと大音量になる。特にはじめの「あ」の時のインパクトは素晴らしい。
次の♪じゃない てまた抑える。というような抑揚が素晴らしく、ここにリトグリのハーモニーの凄みを感じてしまう。
そして!次の♪あいしてる の深い深い優しさのハーモニーは何だ!まさに鳥肌モノてしょ。ここ、10回くらいリピートしてしまった。もちろん結海のリードもこのハーモニーに乗ってあまりにも美しい歌声で最後まで丁寧にこなし切っている。結海の歌、あらためて良いなあ。
この作品もリードとコーラスの抑揚が絶妙に絡み合っており、この曲の持つ独特の世界観を表現できていると思う。いつまでも聴いていたい。
⑧ハピネス(AI)
前曲の最後の♪思ったー の最後の音階B(シ)からコーラス(の主音)は1音下がってA(ラ)を出す。MAYUが効いてるなあ。このラは「ハピネス」のキーDに対して5度の音。5度の音とキー音は親戚みたいなもので移動しやすくなる。これで転調の完成。
空気が一転して♪ランラン という元気なコーラスから入る。かれん、ミカ、アサヒだ。キレがいい。そのコーラスに乗ってリードはmiyou。上ハモが結海、下ハモがMAYU、という字ハモ隊が絡む。この時点でもう素晴らしい。♪リード+字ハモが3声、♪ランラン のコーラスが3声(3人だけど音階は主メロと下ハモの2つ??)でハーモニー同士が絡んでいるシーンは私の大好物。
♪君が笑え「ば」、すべてがよくな「る」この手「で」その手「で」 のところ、細かいがmiyouは語尾で瞬間的にコブシのようなフォールを入れている。これがmiyou流だ。最後の♪つなが「るー」のハーモニーがあまりにもキレイなのでもう少し伸ばしてほしかったが、すぐにMash upに入る。
◾️Mash up
③「愛リボ」の♪今いとーしさにー からMash upが始まる。リードはかれん…ん!前曲の最後♪つなが「るー」はA(ラ)の音だが、これとは全く何の関係もない♪いま=CC(ドド)の音を出している。かれん、さすがです。この唐突な音の変化は絶対にかれん様の出番笑。この出だし、あまりにも変態的でおそらく聴いてるみなさん、違和感しかないでしょう。
Mashupは先頭に出てくる曲のキーが基準となり、続々と出てくる曲も同じキーとなる(全部同じキーだから同時にに歌える)。ここでは先頭の「愛リボ」を合わせて全部の曲のキーはFとなる。
続いて④「冬が終わる前に」 ♪世界中の誰より…は何とmiyouリードだ。さっきはMAYUが歌った曲なのに…。そして先ほどのCではなくやはりFだ。
ところで、出だしのかれんと一緒にベースラインを出しているのは誰だ?miyouはこのリードだし、画面をみるとMAYUてもない。ミカか結海のどちらかか?
②「再会」♪離れていても…はミカリード。先ほどはミカは下ハモでmiyouがリードだった。
このあたりからMash upらしく曲が入り乱れて入ってくる。②の入りの後すぐに⑤「冬がはじまるよ」の♪冬がはじまるよ…と先ほどと同じアサヒリード。その後すぐに⑦「雪の華」♪今年最後の雪の華を…と先ほどと同じ結海リードがそれぞれ入る。その後さらに①「Subtitle」の言葉は…で再びかれんがリード。さらに⑥「ゲレンデがとけるほど恋したい」♪真冬の恋…はMAYUリードだ。これで①〜⑦が出揃った。ここまでカオス状態であるが、すべてがキーFの上に乗って1フレーズだけ登場させるという荒技だ。
さあ、そして仕上げ。miyouがキー音F(ファ)のペース音を出すとその上に同時にミカがいよいよ最後の⑧「ハピネス」の♪ラーラーラーララーをやや小さく重ねている。2回目の♪ラーラーラーララーではミカにアサヒと結海が加わり威力が強まる。そしてラストの3回目はかれんとMAYUも加わり、全員での♪ラーラーラーララーの最強大合唱ユニゾンでこの大作は幕を閉じる。
バラバラの状態から♪ラーラーラーララーがどこからともなく聴こえて来て、最後はその大合唱で終わるというお見事、あっぱれなフィナーレだ。
素晴らしい。拍手喝采です。
全体を通してミカ、結海、miyouの妹組がその個性や実力を存分に発揮し、MAYUの職人技、アサヒの万能ぶりが光り、そしてかれんが要所要所をリードしている、という理想的なかたちを作り上げたメドレーだと思う。
あーーー、生で聴きたい!聴く機会はないのだろうか?どこかのTV番組でやってくれることを切に祈る。