アカペラメドレー2026春
リトグリは3/20に恒例のアカペラメドレーをYouTubeで公開した。CDTVライブライブ春の大感謝祭2026のステージて初披露されたメドレーだ。SNSとしてはTikTok?でイントロ部分のみが生歌でUPされていた。今回はまた複雑なのをやるなあ、難しすぎ!と言うのが第一印象だった。
そして3/20のフル公開。蓋を開けて見れば、春らしい淡い色の衣装で爽やかに歌う、素晴らしい春メドレーだった。
メドレーの構成は以下の通り。
例のようにリトグリのキーと原曲キーも記載した。
左にLGMキー 右に原曲キーを記載
(編集しても列がずれてしまいます。ゴメンナサイ)
⓪イントロ(ライラック) B♭ B♭
①ライラック D♭ B♭
②サクラ咲ケ B♭ E♭
③青春フォトグラフ B♭ B♭
④君に届け E B
⑤桜 E D♭
⑥春よ、来い E(B♭m) E(B♭m)
⑦ハナミズキ E E
⑧ending(サクラ咲ケ) E E♭
転調が生じるのは⓪→①、①→②、③→④のつなぎ部分3か所である。他のつなぎ部分は前後が同じキーに設定してあるので比較的易しく移動できる。
⓪イントロ(ライラック) MRS.GREEN APPLE
私はこのライラックの原曲を生まれて初めて聴いた。
こんなイントロなんてこと、全く知らなかった。
だからSNSでのイントロ動画を聴いても全く意味がわからなかった。
なるほど、冒頭の原曲ライラックのイントロをアカペラに仕立てたわけだ。何これ…よくもまあこのイントロを人間の歌声で再現しようと発想したものだよ。無茶だろう。考えた人も相当だが、これを見事に歌い切る方もどうかしてる。変態か⁈ 笑うしかない…。
出だしのリズムがわかりにくく♪ダバダバダバダバが出てきてようやくわかる。あーここが4拍子1,2,3,4の
3,4拍目だ、と。次にわかるのは、出だしは1拍目の裏から入ること。しかし、リズムと小節の頭がわかったからとて、難しいことには何の変わりもない。
途中で突飛な音階が出てくるので全体のキー音もわからない始末だ。全体を何度も聴くと何となくわかってくる。
ぜひ、一人一人バージョンを解説としてどこかの動画でやってほしい。
とにかく、このイントロは神技だと思う。リズム、タイミング、音程をメンバーのコンビネーションでねじ伏せた感じか。やはり変態だ笑
①ライラック (MRS.GREEN APPLE)
イントロの終わりで♪ha-とG♭主音のハーモニーからライラックのキーとなるD♭に移る。キー(1度)のB♭から見ればD♭は4度の音。1度、4度、5度はまあ家族みたいなものだから、一旦4度を出しておいて1度に繋がりやすくしている。これで転調の完成。
ん?同じライラックという曲をなぜイントロは原曲キーで歌って本体(サビ)はキーをD♭に変えているのか?歌いやすいのはこのD♭のはずだから、イントロもD♭にすればよかったのでは?という疑問が沸く。
おそらく、あの変態的な高音のイントロは原曲のまま高音のファルセットで再現すべき、と判断したのだろう。確かにあのイントロが低いと不思議な雰囲気が出ない。うん、転調に納得だ。
さてライラックだ。
リードはかれん。かれん独特の息を絶対に混ぜない発声。だから音域は低いのに張りがある。
バックコーラスは字ハモ隊とウーアー隊に分かれて初めから分厚さを見せてくれる。と、♪ここでね でこの2隊が全員字ハモに合流する。ブワっと盛上がる。
(そこから少しコーラスが聴き取れないのだが) 歌詞の中から♪愛おしく というワードを利用して追っかけのような形でコーラスしている。♪でもないのにー で再び全員字ハモに集結し、♪忘れてしまう僕らはー まで強力な全員字ハモが連続する。
次の♪何を経て何を得て大人になっていくんだろう では♪ダッ という短く強いハモを織り交ぜたウーアー隊と、リードに細く寄り添う字ハモ隊に再び分かれる。この変幻自在なコーラスワーク、しかもハッキリと色付けした強弱を全員が共有できているチームワークが本当に素晴らしい。かれんの強いボーカルに負けない5人の強いコーラスがぶつかり合い融合し合っている。
②サクラ咲ケ (嵐)
「ライラック」の終わりの♪ドゥンドゥンha~ というコーラス、C♯→C→B♭降りてきて転調が完成。このB♭が「サクラ咲ケ」のキーとなる。リードはmiyou強め、結海がユニゾン、以下おおまかにミカとMAYUはユニゾンと上ハモ、MAYU、アサヒが追っかけコーラス。ベースはかれんが務める。かれんのベースがキレッキレ。リズムは単純だが1音1音にインパクトがあるので曲全体のノリがすごい。軽々と走るように流れていくこのベースは確実にグルーヴ感を生んでいる。
endingでこの歌が再び登場することから、この曲が春メドレーのテーマ曲と言って良いだろう。曲が華やかなのでリードをユニゾンを使って強く前に押し出して歌い方も華やかに仕立てている。前面に妹組、後ろを姉組で固める、という何とも微笑ましい構図だ。
ラストの♪前をむーけー の「けー」と同時にかれん、MAYU、ミカが♪tu tu tu tu tu の遊びのハーモニーで次曲へと繋げている。次曲も同じキーなので繋ぎは比較的易しい。とは言うものの、ミカ、MAYUは字ハモから瞬時にこのコーラスへ切り替えているところはさすがだ。ちなみにここ、アサヒは次のリードの準備中だ。
③青春フォトグラフ (LGM)
アサヒのリード。この曲のリードはどう考えてもアサヒ一択だろう。
バックの♪tu tu tu…という3声?の分厚いコーラスがメロディに沿って音程を変えていくパターンだ。
かれんは前半は結海との♪ピース!のコーラスだけに登場するという贅沢な使い方だ。♪笑いすぎて涙が出てきただけ はややソフトなウーアーに切替え、最後の♪出てきただけ の「け」と同時に強烈な♪ダッダッダッダー で一気にクライマックスに持ってきて強いアクセントを付けている。抑揚がうまい。
またこの部分のアサヒ、♪涙が出て…で泣く身振りを
して感情を込めながらも「だけー」はビブラートをわずかにかけて音程が超正確。
ん?おお?気づいたら結海がベース?マジか。
しかもうまい。♪ダッダッダ…さみし までベースラインは上ってきて♪くない で一気に下がるところなど器用にこなしているではないか。これは頼もしい。
最後の♪my 「friend」はキー音のB♭で終わり、その後に半音上のB主音のハーモニー(Bが主音、3度上のハモ付き)が♪fuーと入り次の曲のキー音に至る。これで転調の完成。 いやいや、簡単に書いてしまったが、いきなり半音上がる(単音でなく)♪fu〜のハーモニーがここまでピタリと揃うとは…音感がエクセレント!
④君に届け
リードはミカ。彼女の歌声にはいつも引き込まれてしまう。去年の冬メドレーの時の「ゲレンデがとけるほど恋したい」もそう、春メドレーの時の「春泥棒」の時もそうだった。抜群の存在感。さすがリトグリのセンターだ。
さて、この曲もコーラスは弾むようなキレのあるウーアーで入る。♪君が好きでー で字ハモに全員が集結し、一気にコーラスに厚みを出す。
♪僕のすべて「でー」 でアサヒがC♯まで上がる。
(アサヒの場合は手振りが音程と同期している事が多く、わかりやすい笑笑) この時のMAYUの2段階スライドで落ちていくベースもすごい。この♪「でー」の箇所は普通なら5度のコード(和音)なのだが、このアサヒの上がりやMAYUの動きを見ると、2度のメジャーコードに替えていると思われる。(ホント?)
その後の♪僕にしか からMAYUのベースが階段状に上がってくるラインもオシャレ。上がってきた最後の♪届けたいー の「いー」のコードは何だろうか。濁り具合がとても好きだ。
そして、この最後の♪今君に届けたいー でまた全員が字ハモに集結して一気に盛り上げているところが素晴らしい。
⑤桜(河口恭吾)
一気に盛り上がって突然ピタリとすべての音が止まる。一瞬の静寂。さあお膳立ては整った。
MAYUの独特のハスキーなリードボーカルが入ってくる。MAYUにしか出せない憂いの味がある。
コーラスは最近リトグリが多用している4声のベルトーンだ。メンバー4人が♪ポンポンポンポンと4つの音を重ねてアルペジオのように一つのコードを奏でる。息の合ったタイミングと全員の正しい音程が必要だ。
ここでのポンポンポンポンはmiyou→結海→アサヒ→かれん、の順番だと思うがどうだろうか?
♪僕が の「が」と同時に1回目のベルトーン先頭の音Aが鳴り、その上にE-G♭-Bの3音か重なってく。
♪そばに の「ば」で2回目のベルトーン先頭の音Bが鳴り、やはりE-G♭-Bの3音が重なっていく。
♪いるよ の「よ」で3回目のベルトーン先頭の音C♯が鳴り……と思いきやまたBが先頭で上と同じ3音が重なっていく。4回目も3回目と同じ。
ベルトーンの先頭の音はそのコード(和音)のルート音となる。ベース音と言い替えても良い。この先頭のベース音が1回目、2回目、3回目と階段状に上がっていくような予想を裏切って3回目も2回目と同じベース音を出しているところが曲の憂いを増しているように感じる。 素晴らしいアレンジ。
似たようなアレンジがもう1箇所。この曲ではmiyouがベースを担当しているのだが、最後の♪君「と」ある「い」ていこ「おー」のところ、「と」で4度のA、「い」で5度のB、そして「おー」で1度(キー)のE…でなくまたBなのだ。4度→5度とくれば次は普通1度が来るところを敢えて5度のベース音だ。アレンジがオシャレだ。余韻が残る。miyouもうまいなあ。
また、よく考えるとこのメドレーではベースが曲によってクルクルと代わっているのも興味深い。
⑥春よ、来い (松任谷由実)
前曲の最後、miyouのベース音のBの音が♪はーるーよー の出だしの「はー」の音程になっている。よく出来たアレンジだ。
結海のリードボーカルがまた良い。伸びやかな歌声が曲にマッチしている。伸びやかだから♪愛をー の出だし「あ」のかすかなエッジボイスが効いてくる。ここ1箇所だけというのもくどくなくて良い。さらに、1音1音をしゃくり上げずにストレートに当てていくのも結海らしくて良い。
この曲ではマッシュアップとして⑤の「桜」が挿入されている。MAYUはこの曲では重要なベース担当なので代わりにアサヒが「桜」を歌っている。前に出過ぎずにバックでしっとり歌うにはアサヒだろう。納得の人選だ。④で書いたようにアサヒは手の動きが正直だ。♪桜舞うきせつかぞえ の「つ」で見事にコブシを入れているが手の動きがそのまま同期している。
「春よ、来い」と「桜」の2曲がうまく交差していく様は本当に美しい。コード進行が微妙に違う2曲がこれほどキレイに絡むとは衝撃的だ。これも圭介さんのアレンジの妙。個人的に特に好きなのは⑥の♪こえがす「るー」のB♭の音と⑤の♪歩いて行こ「おー」のEの音が重なって物悲しいハーモニーを奏でるところ。何とオシャレなのか。
それと、結海とアサヒの素直な声が生み出すものの素晴らしさはやはり強力だ。
この曲の終わり、かれんとミカのハーモニーに乗せてベースMAYUの♪ドゥルルン で次の曲に繋いでいる。同じキーなのでスムーズだ。
⑦ハナミズキ
miyouのボーカルが冴える。ファンキーな曲も良いがしっとり系も良い。
出だし1発目♪うーすべに…のリードとコーラスがビシっと決まっていて惚れ惚れする。ここでもMAYUの低音のハモがしっかりと全体を支えている。
一人一人ももちろん素晴らしいのだが、ここでは特にチームワークが生み出す抑揚を感じて欲しい。
♪うーすべにいろの は強い字ハモ(強)
♪かわいい君 は中の強さのウーアーコーラス(中)
♪のね でソフトなベルトーン(弱)
♪果てない夢がちゃんと で中の強さ(中)
♪終わりますよに で強い字ハモ(強)
♪君と好きな で中の強さのウーアー(中)
♪ひとがー でベルトーン(弱)
強→中→弱→中→強→中→弱 と山と谷が繰り返されて心を揺さぶってくる。アレンジも素晴らしいし演じ切るプレイヤーも素晴らしい。
⑧ending(サクラ咲ケ)
♪百年つづきます「よにー」と同時に♪ラララー…の
美しいハーモニーが入ってくる、いや、聞こえてくるという表現の方が良い。聞いたことのある懐かしいメロディがどこからか聞こえてくる…そんな感じだ。だから心にグッと来て涙を誘う。
♪ラララーララのユニゾン組はMAYU、ミカ、アサヒ
♪ウーアーコーラス組はかれん、結海。
あまりにも美しい。
画面でアサヒは途中で♪ラララーララを止める。なぜ?と思ったら隙間を空けずにmiyouがリードを終えてラララ隊に加わっている。見事なスイッチだ。
アサヒが引いたのは、メロディとコーラスの強さの比率を守る、miyouの声をメロディ側で活かしたかった、そしてアサヒは次の準備に入ることが出来る、そのようなメリットと勝手に推測した。
そして、最後の♪ラーラララーの後のベースMAYUの♪トゥン が抜群に効いている。少し溜めた渾身の♪トゥンだ。その時、盟友のアサヒが同時にガッツポーズのように両コブシを降ろすシーンが印象的だ。このシーンは全ガオラーさんが引き込まれるだろう。
MAYUは2回目の♪トゥンでかれんにサインを送る。
「さあ、かれん先生、最後ビシッと締めようぜ」
そしてラスト、アサヒ以外の全員がかれん先生を見つめて♪Ahー(主音ラー)と出すと、満を持してアサヒ(と結海?)が1拍ずらしてa aaaa Ah- (ラーシドラミファ♯)と上ってきて最後の仕上げ♪AHー(主音ソ♯)のあまりにも美しいハーモニーでフィナーレを迎える。
アサヒもついに最後の音でかれんを見る笑
感動のフィナーレではないか。最大の拍手喝采を送ろうではないか。👏👏👏👏👏👏
このメドレーは、出だしの高度なテクニックで人々の興味を引き、軽快な曲で音楽を楽しませ、終盤にしっとり系を並べて最後に音楽の感動を呼ぶ、という流れだ。が、考えて見れば、終盤に入る頃にはイントロの超絶技などはすっかり忘れてあまりに美しいハーモニーに酔いしれてしまった。震えが来るくらいにハーモニーの質が上がっており、そのハーモニーだけで十二分に心が満たされる。
前回のライブ「VOICE」以降、本来の歌声の質、感情をたっぷり込めたハーモニーの質にこだわっているようにも見える。
歌は心で歌うものだとは思うが、やはり "技術の上に成り立つ歌心" は聴く人の心を打つ。
この動画が無料で見られる喜びは大きい。リトグリ、スタッフの方々へ感謝するとともに、この動画が世界により広く伝わることを祈る。