・うららかに棋譜の仕舞ひは父の二歩

           遠き駒音葉桜の影

 

・雁風呂といふ真がなしき嘘もある

        海峡の月まぼろしの枝

 

・青春はリラの黄昏コークハイ

     街騒(まちざゐ)くるむ紫の風

 

・囀りを夜明けの夢にとかし込む

       涙の玉を頬にとどめて

 

・薬の香淡くとどめし紙風船

   おほどかに打つ我がてのひらを