思う所あって久しぶりに買ったジン。

 

最近はクラフトジンの勃興に目を見張るものがありますが、自分の思う所はその反対、

衰退ジンといえるオールドトムジンが飲みたかったから。

 

ボンベイやギルビー、ゴードンなど世界的に主流のドライジンは19世紀に生まれましたが、それ以前にも原始的な蒸留器で作られるジンがあった。

それは税金逃れのために密造&密売が蔓延する、アングラで不健康なスピリッツで、その販売形態から「オールドトムジン」と呼ばれた。

なんでも密売業者が潜む家屋にはネコの看板が掲げられ。

購入者がその家屋の近くで「ネコちゃ~ん」と呼びかけ、密売業者が「ニャ~」と応えると売買の準備が完了。

看板のネコの手の部分に代金を置くと、ネコの口の部分の鉛パイプからジンが流れ出てくる。

それを瓶やカップで受け止めて販売完了♪

 

当然品質がよろしくなかったので、この頃のジンは当分など添加した甘めのものだったとか。

 

ズブロッカで有名なバイソングラス入りのウォッカも、蒸留技術が未熟だった時代のスピリッツの調味に香りの強い草を添加していたし、蒸留器が原始的な時代のお酒は味が微妙だったのでしょう。

 

タンカレーもジンのブランドとして有名ですが、創業者チャールズ・タンカレーが1830年に良質なジンを目指して作ったのが始まり。

ドライジンを主流に作り続けてきましたが、チャールズが所有していた最初期のレシピを元に1999年に発売したジンがタンカレーマラッカ。

蒸留器はさすがに新しい連続式と思われますが、甘みと柑橘味を強化したとか。

この時期のレシピだとオールドトムに一応近しいというワケで、オールドトムジンを使うカクテルに、より適したスピリッツとなる。トムコリンズのレシピはは本来オールドトムですが、大体はドライジンで代用してる…

 

2001年に製造終了しましたが、2013年に限定数量で再販されたとも。

しかし2014年にはタンカレーから、そのものズバリ「オールドトムジン」が限定販売されたり。

後者を旭川の酒屋さんで見かけたので、どうもネット上で情報が錯綜しているような?そうでもない(/ ノε`;))??

 

ともかく現在、マラッカは通常販売に昇格し、トムコリンズを気軽に飲めるようになりました!めでたしめでたし♪

 

 

まぁともかく、思う所のジンの代用品(※後述)を味見しますよ!

 

 

………「Puss!! Puss!!!」(/ ノε`#))「Mew!!!」

 

 

 

英語で「ネコちゃ~ん」は「Puss」

「ニャ~」は「Mew」となります。勉強になりますね♪

 

それはともかく味のレポもまじめにやりますか!

ネット上の情報通りにシトラス系の、特に皮を絞ってピピっと飛び散った汁の香りが感じられ。

今まで飲んだ700ml1300円クラスのジンは、フルーツ感が若干製菓フレーバーだったのに対し、ちょいプレミアムな本品(1000ml3000円ちょっと)はフレッシュフルーツな香りが爽やか。

カクテルでも普及品のドライジンに差を付けてくれそうな味わい。


ボタニカルでは草の匂い……セロリをかじった時の青くささが強く感じられる。

基本フレッシュな植物フレーバーで構成されている印象。


 

しかしネット情報にある、甘みが強いとかはナシ。

ジェームズボンドもニッコリな、う~んとドライなマティーニも作れると思います。

 

クラフトジンほど価格はお高くないし、有名ドライジンの次のステップとしては最適ですね。

もちろん、より本物に迫るトムコリンズを作る・こだわるのにも入手性がよろしくて適している。

 

 

 

さてコチラは今年春先に酒屋さんで購入した、代用オールドトムジン。

元々は19世紀にロンドンでジンを作っていたボーズ(Boord’s)社のオールドトム名義のジン。

オールドトムジンは1960年頃に一旦絶滅したのが通説。

この会社がアメリカに移ってから、再度オールドトムジンを販売するようになった。

 

ネット上の情報ですが、2000年代少ししてボーズ社の生産マネージャーが話したところによると、中身はオールドトムスタイルという訳ではないそうです。


飲んだ人もドライジンという感想。

 

 

タンカレーのオールドトム・マラッカの他に、2000年初頭からオールドトムジン復刻の機運が高まっていたそうで、本品もその流れに乗っていたのではなかろうか?

なにしろ2000年では、どこも洗練された現代的な蒸留器しか稼働させてませんからねぇ…

味わいだけでも頑張って寄せてもらえると楽しいやね♪

 

 

蒸留器の製造能力という意味では、ニッカのカフェスチルで作られた"カフェジン"が、現状いちばん古いジンのスタイルを再現してくれているのかも。

 

 

 

ボタニカルと糖分を調整した、オールドトムカフェジンとか作られたら、ニッカに世界中のバーテンダーから注文が来そうですな(/ ノε`))ケケケ♪

 

 

 

 

 

〇あの幻の蒸留所??

カフェスチルで思い出しましたが、8年前にブログで扱ったイギリス焼酎"舶来紳士"も、カフェスチルで蒸留してるんだよな…

スコットランドのグラスゴーで蒸留・瓶詰していると表記あり。

スコットランドでカフェスチルを稼働させているのはロッホローモンド蒸留所が有名ですが、所在はハイランドだし導入は2007年。

舶来紳士は流通時期こそ不明ですが、ニッカウヰスキーアクアのように割って飲むスタイルを推奨してる辺り、90年代末から21世紀初頭っぽいんだよなぁ。

 

ローランドでカフェスチルを稼働させていて、2000年前後までスピリッツを供給していた可能性があるのは、キャメロンブリッジ蒸留所。

近年はグレーンウイスキーに主軸を移し、20世紀末にはジンも製造するようになったキャメロンブリッジですが、所在地はエジンバラなので該当せず。

 

次の候補はストラスクライド蒸留所。

グラスゴーのグレーンウイスキー蒸留所で、あの幻のキンクレイス(モルト)蒸留所に併設していた。

しかしこちらはカフェスチルではなくカラムスチルなので該当しないんだな…

 

そして最有力はカースブリッジ蒸留所。

グラスゴー所在で1983年に閉鎖するまで、カフェスチルでグレーンウイスキーを作っていました。

閉鎖時期と舶来紳士の流通時期に時間的な開きがありますが、蒸留して放置していたスピリッツアルコールを日本の会社がお安く買いこんだのではと推測。

蒸留所の建物は90年代まで残っており、会社自体は2011年まで存続していたという情報も。



今のような熱狂的な時代でもなければ、ウイスキー原酒なんて放置されて適当な買い手に丸投げなんかもありそうだし…

 

 

まぁ閉鎖蒸留所のスピリッツかも?は希望的なお話ですが、ウイスキー冬の時代の各メーカーの苦闘はよく知られたところで。

今回入手したボーズジンのように面白いアルコールが、時代に翻弄されてどこかの酒屋さんに、まだひっそりたたずんでいるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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