日本は女性の自殺率が高いらしい。その原因の一つに家父長制や家事、育児の性別分担などの伝統に原因があるようなのです。家父長制の風習がある韓国やインドも女性の自殺率が高いようですね。

日本ではコロナ禍での在宅環境の変化が女性のストレスに影響していることを指摘する専門家もいるようですが、コロナ禍が始まった2020年度の配偶者からのDVの相談件数が前年度の1.5倍になった事も根拠になっているという事です。

日本の生活風習と女性の自殺率のかかわりについては些か疑問に思うところもあるのですがジェンダーギャップ途上国と言われる日本で、その伝統的な価値観に女性を苦しめる要因があるであろうことは僕も同意する部分もありました。

自殺の原因は男性が経済的困窮が多いのに対して女性は人間関係に伴う住環境の悩みが多い特徴があるようです。

それでも女性達の多くはSOSを周りの人達に発信しやすい状況にあり役所に相談する事例も多いようですが、そこで思うように支援対象に該当せずに慰められながらも具体的な助けを得られなかったり支援をする側と支援を求める側のズレを感じて嫌な思いをしたり相談しても仕方がないと絶望していくケース等も多いようです。

自殺の死亡数は圧倒的に男性の方が多いのですが、自殺未遂はある統計(H.27)によると女性の方がかなり多いようなのです。自殺行為に至るまでの時間が男性比べて女性の方が期間が長い傾向があるという実態も垣間見れるようです。

 

‟自殺”という問題は今に始まった事ではありませんが、コロナ禍で鮮明に浮かび上がったのは女性の社会的立場の弱点という気がします。女性の発信力は男性のそれを上回る強さがあると思いますが、イザ社会が混乱した時に追い込まれてしまう弱さもあるように思ったのです。子を産む性という立場からどうしても切り離せない子育てという立場。それが故に実社会との繋がりが希薄になりがちでもある女性の立場を追い詰める事にもなる。そしてそれは私たちの社会基盤の脆弱に繋がるという事でもあるのではないかとも思うのです。

日本は近未来において人口減少に伴う経済活動の不安材料が指摘される中で改めてジェンダーギャップについても皆が意識していく大切な時期になってきているのかもしれない。

 

 

今回、もう一つの側面から窓を見てみたい。

 

 

 かつてのスーパーアイドルの一人、小泉今日子。

現在は舞台演出のプロデュースを始め様々な発信方法を持つ一流のエンタテイナーである。彼女の活動は現在も多岐にわたるものですが、ここでは彼女が近年自身のプライベートを語った一部を抜粋して考えてみたいと思います。

 16歳で芸能デビューしてスター街道を突き進んだ小泉今日子の自立は早かった。それでも彼女が10~20代の頃は憂鬱な時間も多くあったという。根拠のない不安というか何となく黒い雲が頭上にあるような感覚だったという表現が彼女らしい。

そういった時間を払拭する為もあったのか高校を中退した彼女が自身に負い目を感じたくない気持ちと元々の知識欲の強さから「読書の時間」は仕事の合間の数十分の時間さえも有効に使ってきたそうだ。それは30代半ばで新聞の書評を書く依頼を受けるまでに彼女のセンスは同世代よりちょっと背伸びしたところで磨かれていたのだろう。

また、小泉今日子のセンサーは多くの異才の大人たちを捉えたようだ。ファッション界、映画界、音楽界の魅力的な大人社会に好奇心を持ち、そこで出会った大人たちの本棚から面白そうな本を見つけては借りて読む、それは彼女「好奇心の扉」だったのでしょう。

 

 

小泉今日子がエンターテインメントの世界でこれからの表現していきたいしたいことは「過去と未来を繋げていく事」だという。今まで自身がキャッチしてきた魅力的な世界を小泉今日子というフィルターを通して未来に繋げていくという事なのでしょう。2015年に立ち上げた自身が代表取締役を務める「株式会社明後日」にはそういった想いが込められているのだと思います。

 

 

 今回の連続テーマ「無理解な社会と戦う女性」でご紹介した事例は女性の出産や子育てが女性を追い詰める要因になった例が多いのですが、実社会においてジェンダーギャップを考える上で「子を産み育てる女性」という先入観を一度取り払う必要があると思うのです。

小泉今日子は母にはならなかった。それは偶然そうだっただけの事なのだろうと思うのですが、彼女の素敵なところはその境遇を生かして○○をするという発想に向けた事だった。

 子を産む事が出来なかったのではなく、お母さんでは出来ない事が出来るという発想。血を繋ぐのではなくエンターテインメントを通して想いを繋いでいくということだろうか。

 また、彼女の甥や姪との付き合い方に一風変わった感覚を持っているようです。少し変わった生き方をしてきた大人の女性で人生の先輩でおばさんという位置感覚。とても素敵な関係に僕には思えます。

 

生物学的な「生む性」である女性に子育てという役割を社会が求める価値観は変えるべき時期にあるようにも思えます。世界人口の増加がもたらす様々な問題を考えたとき、日本で少子化対策を議論している事に違和感も感じるなかで日本の伝統的な女性の価値観を変えていく事は‟国民”という最も大切な国の資源の潜在的なエネルギーを見直す大切さを感じるのです。

 

★次回のマジックボックス配信は未定(後日報告します)