先の選挙において日本の政治情勢は、第2次高市政権という強い政治力の誕生で一つの転換点を迎えたようです。
高市総理が「国民の審判」を大義に通常国会冒頭での解散を断行したことは、自民党が持つ複雑極まりない「権力闘争の歴史」に裏打ちされた、政権を取る為には「小異を残して大同につく」決断をする強さを如実に示した様相に見えた気がしました。 対する野党勢力は、2024年に自民党が衆参過半数割れというチャンスに恵まれながらも、その後は政権奪取の為という決断力に欠け、結果として強いリーダー不在のまま、野党としての立場からステージを上げる事の出来ない脆弱さを露呈したように思います。先の選挙でも「中道改革連合」という新たな動きがありましたが、「裏金問題」や「予算審議回避」という野党従来の良識に基づいた糾弾する姿勢に変わらない印象がありました。野党の主張には民主的な信頼性や良識が散見されるのですが、国家を託し得るような「力強い未来ビジョン」が国民に届いていないのが現状のような気がします。政権を取る程のエネルギーを感じないということでしょうか。もう一つ言うと、中道という概念も弱かったかなと思いました。
もし、僕が政権交代を狙う野党の立場で選挙原稿を書くとしたら、このような感じになります。
「皆さん、目を覚ましましょう! 今、世界を動かしているのは、「理想」ではありません。大国の自国ファーストを推し進める「力」ではないでしょうか!
現与党政権は言います、「強い日本を作る」と。 確かに、聞こえの良い、素晴らしい言葉です。しかし、皆さん、現実はどうですか? 我が国はどこまで行っても、核を持ち、広大な領土を持つ「大国」にはならないのです。
日米同盟はどうですか、日本とアメリカが対等に立っているように見えますか? アメリカは世界で最も強い国です。
日本を同盟国として配慮している事で成立している現実から目を背けてはならないのです。中堅国家である我が国が、
大国(米中ロ)に向かって真正面から「正論」だけをぶつけて立ち向かう。 そんなものは、外交ではありません!リスク管理もできない、ただの自国の立ち位置を見誤った愚策ではないでしょうか!
私達が目指すのは、世界が一目置く、「絶妙なハンドル捌きを見せる・日本」です! 中国やロシアといった隣の大国に対し、対立ではない「日本との互恵関係を崩すと国益を損なう、日本がいなければ困る」という、抗えないメリットを作りだして交渉に当たる。これこそが、国益を最優先した本物の交渉術ではありませんか!
時には日米安保条約という「盾」を最大限に使いながら、中国とは戦略的に互恵関係を維持し、ロシアが国際社会で火花を散らすその真っ只中に立ち、どちらにとっても「日本との関係の旨味」を実感してもらえる関係の構築。 この絶妙な、そしてしたたかな「立ち回り」こそが、中堅国家・日本の国益に繋がるというのが私たちの政治戦略なのです!
皆さん!正義感や理想だけで、私たちの経済や子供達の未来を守れますか? 今の日本に必要なのは、理想論ではない。 「国益を最大化」するという成熟した大人の政治なのです。知恵があれば、戦略があれば、この国はもっと豊かになれる。もっと強くなれる! 私達に、その「成熟した政治」を、したたかな外交をやらせてください! 共に、中堅国だからこそ最強になれる、新しい日本を作っていきましょう!」
上記のスピーチの視点は身の丈で想定すると中堅国であるわが日本は、何よりも利を取る為にしたたかな政策を取るべきだと思うのです。僕には中国共産党は、とても戦略的で賢明な動きをしているように見えます。たとえば、日米安全保障を自国への戦略に対して徐々に中和しようとしているのではないでしょうか。トランプ政権との戦略的互恵関係を少しずつ進展させることで、日米安保の実効性を徐々に弱めようとしているように見えます。
仮に日中間で局地的な紛争が発生した場合、最前線で対処するのは自衛隊であり、アメリカは本格的な戦争状態に至らない限り、最小限の支援にとどめるよう誘導されていく可能性があります。中米間で戦略的互恵関係が深化すれば、日中間の戦略的互恵関係の優先順位は相対的に低下するとういう絵を描いているのではないでしょうか。
このような状況下で日本は米中の狭間に立たされる状況も想定していかなければ、思わぬ貧乏くじを引きかねないと思うのです。特にトランプ政権下においては、日米中の三角関係の様相も想定した上で、より賢明な立ち回りが求められると思うのです。
日本は米中両国に対して、より賢明な立ち回りが必要な状況だと思います。アメリカに対しては、同盟関係の「旨味」を共有する姿勢を常に念頭に置き、内外に向けて日本外交の強みを示していくべきです。
一方、中国文学には「求同存異(大同を求め、小異を残す)」という言葉があります。中国に対しては、「さまざまな対話にオープン」といった対等な立場を強調するのではなく、中国共産党の面子を立てる姿勢に改め、積極的な対応を通じて「大同」を引き出すことが得策ではないでしょうか。例えば、靖国神社に総理大臣として参拝するなら、中国の面子を立てるやり方もあるでしょう・・・
更に視点を世界に広げてみると、現在の不安定な国際情勢の中で、国際連合の機能不全は深刻な問題となっています。常任理事国による拒否権の行使は「大国主義」の象徴であり、人道危機や紛争に対する調停能力を著しく損なっています。確かに、国連の途上国支援機関などは依然として重要な役割を果たしていますが、安全保障という中核的な分野において、国連の「ブレーキ役」としての機能不全が露呈したと言えるでしょう。
今年1月、カナダのカーニー首相はスイス・ダボス会議の演説で、世界秩序の断絶を背景に、「ミドルパワー(中堅国)」が交渉のテーブルに着かなければ、自らが“メニュー(捕食対象)”に載せられると警鐘を鳴らし、結束を呼びかけました。
カーニー首相の発言が示すように、米・中・ロといった大国の戦略的利益によって世界秩序が不安定化する中で、中堅国が結束できれば理想的です。しかし、日本の野党勢力が政権交代のチャンスであるにもかかわらず、なかなかまとまらなかったように、強いリーダーシップを発揮できる国や人物が中堅国から現れるのは、現実的には非常に難しいことだと思うのです。
実際、大国の対立軸(D10やAUKUSなど)から距離を置き、中堅国主導で調和を模索する動きも見られますが、そこにも各国固有の事情や立場があり、強権的な大国の「力」に対しては、やはり脆弱な面が否めないのが現状です。
人間社会の最小単位である「家庭」を例にとっても、そこには人権や愛情といったリベラルな理想が働いている一方で、重要な意思決定の場面では、経済力を持つ親が一種の「権威主義的」な影響力を行使することも少なくありません。
人類は今後も進化を続けていくことでしょう。しかし現時点では、リベラルな理想に基づいた「調和された社会」を維持できる規模には限界があるように思われます。家庭という最小単位から、せいぜい「中堅国家」程度までが、その上限ではないかと感じざるを得ません。それを超える巨大な共同体を統治しようとすれば、結局は権威主義という原初的な力に回帰せざるを得なくなるのではないでしょうか。
「人類は未だ、民主的なプロセスのみで巨大な物事を解決できるほど成熟していない」という現状を踏まえると、日本は調和のとれた「ミドルパワー国家」として成長させていくのが最善の道筋なのだと思います。
最期に、現在の国際社会でどのような枠組みがあるのかITで抽出してみました。
・D10(Democracy 10)構想【G7(日・米・英・仏・独・伊・加)に、オーストラリア、インド、韓国を加えた10か国】
・Quad(日・米・豪・印)
・AUKUS(米・英・豪)
これらの組織はロシアや中国という大きな対立軸を生み出すため、分断と硬直を招きます。
大国を含まない集合体
G4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)と連携しているUfC(イタリア、パキスタン、メキシコ、エジプト、スペイン、トルクメニスタン、カナダ、アルゼンチン、韓国)は、国連改革においてコンセンサスを共有しています。
また、スイスがコーディネーターを務めるACTは27か国から構成されており、以下のような地域別の内訳となっています:
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欧州14か国:スイス、オーストリア、デンマーク、エストニア、フィンランド、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ノルウェー、ポルトガル、スロベニア、スウェーデン
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中南米5か国:チリ、コスタリカ、エクアドル、ペルー、ウルグアイ
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アジア・太平洋5か国:ヨルダン、モルディブ、ニュージーランド、パプアニューギニア、サウジアラビア
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アフリカ3か国:ガボン、ガーナ、ルワンダ
このACTは、ジェノサイドや人道に関わる問題に対して、安全保障理事会の常任理事国が拒否権を行使せず、迅速に行動すべきだとする「行動規範」を作成・提示しています。
また、自由貿易協定であるCPTPP(日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ベトナム、マレーシア、ペルー、ブルネイ、そして2024年に加わったイギリスの計12か国)や、経済・文化連携を進めるASEAN(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア、東ティモールの11か国)も、注目すべき枠組みです。
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