Ralph Towner - ANA(1997) | 全ての音は音楽か

全ての音は音楽か

色々書いたりつぶやいたり。音楽の話ばかりです。

1.The Reluctant Bride
2.Tale Of Saverio
3.Joyful Departure
4.Green And Golden
5.I Knew It Was You
6.Les Douzilles
7.Veldt
Seven Pieces for Twelve Strings
8.Between The Clouds
9.Child On The Porch
10.Carib Crib (1)
11.Slavic Mood
12.Carib Crib (2)
13.Toru
14.Sage Brush Rider
 
Ralph Towner(classical and 12-string guitars)
 
Recorded March 1996
Rainbow Studio, Oslo
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Produced by Manfred Eicher
 
ラルフ・タウナーのアルバムです。
 
完全なソロギターの録音の作品です。1から7まではクラシックギター、8から最後の曲までは12弦ギターで演奏しています。
 
寂しげな表情を見せる1。悲しげな2はどこかの民話に音楽をつけたようです。明るい光がさすような3。憂い顔から少し笑みが見られるようなイメージの4。何となく不思議なイメージが漂う5。風になったように軽く飛び越えていくような感じもあります。6もスピード感がありますが、どこかシュールな感覚もあるように思いました。7は恐らくプリペアードギターでの演奏。パーカッシブです。8からは12弦ギターです。ナイロン弦だったものがスチール弦になるので、響きや印象も全く違います。8で静かな幕開け。抽象画を描くような9。10はアタック感が強く、8と9よりわかりやすい演奏です。厳しさや鋭さを感じる11。10と同じように明るい12はわかりやすい曲と演奏だと思います。1本の捻れ曲がった鋭い直線が怪しく光る13。軽快な14はとてもリズミカルな曲と演奏です。
 
物語を読むような、詩情に溢れるクラシックギターの演奏に比べ、後半は前衛、難解というイメージになってしまうような気がします。しかしいくら難解とは言え、こういう形で12弦ギターを表現するのはさすがラルフ・タウナーという感じもします。
 
両極端に思えてしまうような内容でも、ほとんど違和感なく同時に存在してしまいます。統一性がありすぎるからなのか、それとも全くイメージが違うものの中に共通する美の感覚があるからでしょうか。
 
ジャズなのかクラシックなのか。そんな事にとらわれずに聴きたい一枚です。
Ana/Ralph Towner