2024年マイベストアルバム50選 | 「道草オンラインマガジンonfield」

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2024年は急激な円安が進むなか、高騰する輸入アナログ盤の購入がグッと減ってしまいました。また、ライブはスタンディングが辛くなってきたので(とくに前座がある場合)着席の興行を優先、加齢と付き合いながら、それなりに楽しんだ1年でありました。

 

今年いちばん驚いたのはChappell Roanの大ブレイク。フェスでのステージがキッカケで一気に名が知られるようになったと理解していますが、あれよあれよという間に2023年リリースのアルバムや楽曲が1年遅れでチャート上位にランクインしました。シンデレラガール(レディ)という言葉を久しぶりに思い出しました。あとはOasisの再結成発表、もビッグニュースですかね。来日公演のチケットが買えなかったから、ふてくされてますけど。

 

マーケティングと音楽理論を学んだAIによって音楽が工業的に生産される、そんな時代が来るとか来ないとか、という話もあるなかで、誰にも作れないオリジナリティあふれる作品を創作してくれたアーティストたちには、改めて感謝したいです。偶然ですが今年も男女比がほぼ均等になりました。なお1枚だけ2024年作ではないものを挙げていたので差し替えました。

 

まずは表彰式の写真から。

 

 

●1位~10位

 

1 ビリー・アイリッシュ - ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト

Billie Eilish - Hit Me Hard And Soft

楽曲の素晴らしさ、歌唱の素晴らしさ、そしてお兄ちゃんのサポートによるトラックの格好良さで、後々までビリーの最高傑作として刻印されるアルバムだろうと感じました。1stフルアルバムには随分驚かされて耳慣れするまで時間がかかりましたし、007のテーマソングでの変身ぶりにも驚かされました。経歴を経ながら間口を広げてきた彼女の、現時点での集大成ともいえそう。

 

2 ザ・キュアー - Songs of a Lost World

The Cure - Songs of a Lost World

ロックバンドの底力を見せつけた渾身の作に脱帽。同じリズムやリフの繰り返しが多いのに、ジワジワと高揚感を形作っていく楽曲の構成の見事さに職人技を感じます。まさかまさか、キュアーのアルバム(16年ぶり14枚目)がマイベストに入る時代がやってこようとは。11月時点ではベスト50に入れるかどうか迷っていましたが、年末にかけて急上昇でした。

 

3 フォンテインズD.C. - ロマンス

Fontaines D.C. - Romance

これもロックバンドの底力を感じた力作。過去アルバムは直線的に感じられて今ひとつピンと来ていませんでしたが、今作は陰影がクッキリしてきて立体的な音構成になりましたね。プロデューサーの腕前もあるのかな。フジロック2024(当アルバムリリース前)でレッドまでの移動をパスしたことは、とても後悔してます。

 

4 Bill Ryder-Jones - Iechyd Da

Bill Ryder-Jones - Iechyd Da

The Coralの元ギタリスト、ビル・ライダー・ジョーンズによるソロ5作目。ぼそぼそ声で美メロがほとばしる、とても優しくてピースフルで多幸感のあるアルバム。1月発売のこの作品が夏前後から大好きになってベスト10候補に早々と入っていました。こんなに高評価で良いのかなと思っていましたが、海外音楽サイトでも高評価のサイトがあり、やっぱりね、そうだよね、と仲間を得たような気分でした。

 

5 Friko - ホウェア・ウィーヴ・ビーン、ホウェア・ウィ・ゴー・フロム・ヒア

Friko - Where We've Been, Where We Go From Here

日本ではSNSで火がついた感じのFrikoデビュー盤。やっぱり、こういう爆発力のあるロック、皆が求めていたよねという感触。SNSでの評判を受けてだと思うけど、早速招聘を決めてくれたスマッシュにも感謝。海外ではまだ評判が広がっていないのかな。「Big in Japan」になりませんように。

 

6 Ezra Collective - Dance, No Ones Watching

Ezra Collective - Dance, No Ones Watching

Ezra Collectiveは2023年に、Jazz系では初めてマーキュリー賞を受賞したバンド…というのは今年になってから認知した話ですが、ファンク、スカ、R&B、ダンスミュージック、アフロなどの要素が良い感じにブレンドされていて、僕的にはポップなフュージョンの一種として楽しみました。クルマで流していることが多かったかな。

 

7 Real Estate - ダニエル

Real Estate - Daniel

オフタイムに安らかな気持ちで楽しめるロック。繊細に紡がれたシルキーな声とギターの音色が心地よくて、なんか心がザワザワしてくるなー、という時にたびたび助けてもらった作品。


8 Beth Gibbons - ライヴス・アウトグロウン

Beth Gibbons - Lives Outgrown

お気に入りになるには少々時間を要しましたが、儚げなBethの歌声と多様な音で構成された当作品は、唯一無二の世界感を構築していて、聴けば聴くほどクセになっていきました。フジロックでBethの佇まいを観てから、さらに愛おしく感じるようになりましたね。Potishead時代のMDも引っ張り出して交互に楽しみました。

 

9 Adrianne Lenker - ブライト・フューチャー

Adrianne Lenker - Bright Future

Big Thiefのボーカリスト、エイドリアンのソロ2作目。基本的に1stの延長線上にある作品ですが、コロナ禍で寂しげな環境で作られた1stよりも温もりや手触りが感じられたように思います。

 

10 The Last Dinner Party - プレリュード・トゥ・エクスタシー

The Last Dinner Party - Prelude To Ecstacy

ロンドンから彗星の如く現れた新人女性バンド。ゴスっぽいイメージなのかなと思いきや、フジロックでは意外にもカジュアルで、5人それぞれのファッションや持ち味もバラバラながら一体感があったのが印象的。今年前半のヘビロテでした。

 

●11位~20位

 

11 Newdad - マドラー

Newdad - Madra

アイルランド出身の新人バンドのデビュー盤。Frikoとほぼ同時期にSNSで話題になったと記憶しています。シューゲーズ系のサウンドと突き抜けた女声ボーカルの相性が抜群。


12 Tigran Hamasyan - The Bird of a Thousand Voices

Tigran Hamasyan - The Bird of a Thousand Voices

アルメニアのJazzピアニスト、ティグラン・ハマシアンの新作は一時期のチック・コリアを思い出すフュージョンで驚いた。エキゾチックなメロディに彩られたシアトリカルな作品。

 

13 デュア・リパ - ラジカル・オプティミズム

Dua Lipa - Radical Optimism

ダンサブルな女性シンガー系統ではCharli XCXのアルバムが大評判ですが、僕は断然こっち。ポップミュージックとしての完成度が高い。ともかく楽しいです。来日公演行きたかったなあ。

 

14 Serpentwithfeet - グリップ

Serpentwithfeet - Grip

ジャケットも含め、男の色香がムンムン漂う濃厚セクシーなR&Bアルバム。僕は異性愛者のつもりですが、彼のアルバム好きなのよね。今回は1曲目の「アハ」でノックアウトでした。

 

15 ビヨンセ - Cowboy Carter

Beyonce - Cowboy Carter

黒人女性シンガーとしては初めてカントリーチャートで1位を獲得したと話題のビヨンセの新作。幅広い音楽ジャンルを扱いながらも全てを自分色に染め上げたところは大御所の貫禄。過去の求心的な作品よりは、こちらが好みかな。オリビア(豪州)の「ジョリーン」もカバーしてるけど、全体的にザ・アメリカ、って感じがする。

 

16 グリーン・デイ - セーヴィアーズ

Green Day - Saviors

4年ぶりの新作は往年のサウンドと勢いが復活した感じで結構好きなんだけど、あまり話題にならなかった。これもベテランバンドの宿命なのか?

 

17 Erika de Casier - スティル

Erika de Casier - Still

R&Bにカテゴライズされるんでしょうが、独特のトラックメイキングがトリップポップぽくて中毒感があります。

 

18 ホールジー - ザ・グレート・インパーソネーター

Halsey - The Great Impersonator

名だたる女性ポップシンガーとは明確に一線を画した、ロックシンガーとしての矜恃が窺える作品。

 

19 Gruff Rhys - Sadness Sets Me Free

Gruff Rhys - Sadness Sets Me Free

おじさんボソボソ声の優しいボーカル。Bill Ryder-Jonesと共通する部分もあります。こちらはSuper Furry Animalsのフロントマン。


20 ブリーチャーズ - ブリーチャーズ

Bleachers - Bleachers

心憎いほど(憎たらしいほど)ツボを押さえたポップロック。職人仕事ですね。

 

●21-30位

 

21 English Teacher - This Could Be Texas

English Teacher - This Could Be Texas

いかにも玄人受けしそうなクセ強めの新人バンド。10周くらいしてようやく好きになれました。

 

22 Tierra Whack - World Wide Whack

Tierra Whack - World Wide Whack

振れ幅の大きいバラエティ感が面白い。こういう、音で楽しめるヒップホップは好きですね。歌メロも良い。6年ぶりの2ndだそう。

 

23 ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ - ワイルド・ゴッド

Nick Cave & The Bad Seeds - Wild God

大御所18枚目のアルバム。ドラマティックな構成がどんどん研ぎ澄まされてきている印象。完成度が高い。

 

24 Clairo - Charm

Clairo - Charm

親近感のある、ゆったり系の女性ボーカルシンガーは数多いですが、ここはアレンジの面白さで一つ抜け出した感じ。

 

25 Jessica Pratt - Here In The Pitch

Jessica Pratt - Here In The Pitch

70年代というよりも60年代後期の雰囲気が漂うアシッド・フォーク。中古レコード店で隠れ名盤を掘り当てたような感覚。

 

26 Benson Boone - ファイアワークス・アンド・ローラーブレイズ

Benson Boone - Fireworks & Rollerblades

シングルヒットを連発、新しいシンガーというよりもソングライティングが巧い新人の誕生を感じました。

 

27 Pearl Jam - ダークマター

Pearl Jam - Dark Matter

特段の目新しさはないのだけど、いつものガツンとくる音とボーカル。フジロック待望バンド。

 

28 Us - アンダーグラウンド・ルネッサンス

Us - Underground Renaissance

フィンランドから現れた新進ギターロックバンド。これもまたFriko、NewDadの流れがありますね。日本だけのリリースなのかな?

 

29 Pale Waves - Smitten

Pale Waves - Smitten

従来作に比べてちょっと大人しいかな、という印象もありますが、いつものヘザー節を楽しみました。

 

30 Ride - インタープレイ

Ride - Interplay

轟音シューゲーズバンドの再結成3作目。いつもにも増してポップな美メロに魅せられました。

 

●31-40位

 

31 Taylor Swift - ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント: ザ・アンソロジー

Taylor Swift - The Tortured Poets Department: The Anthology

「Folklore」路線の最新作。Taylor旋風も一服という感じがなきにしもあらず。そろそろ新しい展開がほしいかな。

 

32 Iron & Wine - Light Verse

Iron & Wine - Light Verse

Fiona Apple(最初はMiley Cyrusの声だと思ってた)が参加した楽曲が凄く良いので、これだけでも価値あり。

 

33 The Vaccines - Pick-Up Full Of Pink Carnations

The Vaccines - Pick-Up Full Of Pink Carnations

皆さん覚えてますか、The Vaccinesのこと。2011年デビューの中堅ですが、初期衝動を取り戻したかのような痛快な作品ですよ。

 

34 Faye Webster - アンダードレスト・アット・ザ・シンフォニー

Faye Webster - Underdressed at the Symphony

鼻にかかった魅惑的なボーカルと、スライドギターが効いたゆったりムードのアレンジが今回も楽しめる。

 

35 Cassandra Jenkins - マイ・ライト、マイ・デストロイヤー

Cassandra Jenkins - My Light, My Destroyer

女性SSWの括りに入るのでしょうが、とても壮大な音世界を構築していて、ロック姉御的な佇まいが目に浮かびます。

 

36 Charli Xcx - ブラット

Charli Xcx - Brat

2024年のアルバムベストの類で圧倒的な支持を得た作品。その温度感が今ひとつ分からず、音を聞いている限りでは、このへんの位置かなあと。

 

37 beabadoobee - This Is How Tomorrow Moves

beabadoobee - This Is How Tomorrow Moves

楽曲自体はデビュー時よりも弱い印象ですが、リスナーにおもねず自分と真っ直ぐに向き合っている感があって、これからもムダな背伸びをせずにやってほしいなと。

 

38 Kings of Leon - Can We Please Have Fun

Kings of Leon - Can We Please Have Fun

安定のKings of Leonに満足ですが「Sex on Fire」のようなキラーチューンもほしいところ。


39 Jack White - ノー・ネーム

Jack White - No Name

ギターのうねりが爆発するギターロックど真ん中のアルバム。こういうスタイルは久しぶりかな。


40 米津玄師 - LOST CORNER

Kenshi Yonezu - LOST CORNER

邦楽アルバムでは唯一のベスト50入り。アレンジのバラエティ感がとても面白かった。ベースのブリブリ具合はやや過剰か。

 

●41-50位

 

41 Tyla - タイラ

Tyla - Tyla

アフリカンなビートに乗せたダンスチューンが新鮮に感じられました。

 

42 Magdalena Bay - Imaginal Disk

Magdalena Bay - Imaginal Disk

女性シンガーだと思ってたら男女デュオなんですね。SNSでの評判で聴き始めて気に入った作品。


43 Nilüfer Yanya - My Method Actor

Nilüfer Yanya - My Method Actor

セクシーなアルトボイスが魅力。


44 Laura Marling - Patterns in Repeat

Laura Marling - Patterns in Repeat

小春日和のような、ほの暖かいフォークソング。

 

45 Rosali - Bite Down

Rosali - Bite Down

何やらサイキックな感じがするアートワークですが、Aimee Mannを思わせるインディフォーク。

 

46 Sleater-Kinney - Little Rope

Sleater-Kinney - Little Rope

ベテランのオルタナロックバンド、11枚目は適度にエッジが利いてて楽しい。

 

47 Cindy Lee - Diamond Jubilee

Cindy Lee - Diamond Jubilee

かなりクセの強いインディロックです。ダウンロードのみでしたが年末にSpotifyに登場。

 

48 Julia Holter - サムシング・イン・ザ・ルーム・シー・ムーヴス

Julia Holter - Sometyhing in the Room She Moves

万人にお薦めはしませんが、こういう遊び心のある作品(不穏な音ともいえる)が、ルーチンな日常の句読点になったりもするんですよね。


49 Peggy Gou - I Hear You

Peggy Gou - I Hear You

とても心地よいエレクトロミュージック。DJスタイルのライブは好みませんが音源は好き。

 

50 Villagers - That Golden Time

Villagers - That Golden Time

いつものVillagers節ですが、今作はとくに胸に染み入りました。メロディ良し、バックの音もふくよか。


●ベストソング●

Billie Eilish - Birds of a Feather

アルバムを聴き始めたばかりの最初の頃だったと思うけど、クルマでラジオをかけたときに(松任谷正隆さんの番組だっけな)たまたま、この曲が紹介なしにオンエアされて、耳が釘付けになったことを覚えています(当時運転していた道路の位置まで覚えてる)。メロディもアレンジも格好良いし、唄も巧い…しばらくして、あ、ビリーだと気づきました。曲の後半に出てくる音、あれはシンセなのかな。ちょうどDavid Bowieのラストアルバムのラスト曲に挿入されたハーモニカみたいな効果で、とてもセンチメンタルな気分になる。帰宅してから歌詞の和訳を見て、さらに衝撃を受けました。

 

●番外編●

Cat Power - キャット・パワー・シングス・ディラン:ザ・1966・ロイヤル・アルバート・ホール・コンサート

Cat Power - Cat Power Sings Dylan: The 1966 Royal Albert Hall Concert

Cat Powerは他者が書いたオリジナルソングのカバーが大の得意技。何をやってもCat Power色に染め上げてオリジナル曲のような輝きを放つ、それが不思議で不思議でたまりません(たぶん声色と彼女の醸す雰囲気のせいかな)。これはディランの伝説のコンサート、初めてエレキを使って観客からブーイングを浴びたという、ロックの歴史に残るエピソードが生まれたコンサートのライブ盤と同じ会場(正確には異なるらしい)で、同じ曲順で、同じような編成で(前半アコースティック、後半エレキ)カバーしたという、企画力の勝利のような作品です。昨年11月発売らしいので今回のベストからは外しましたが、期間内だったらベスト3は確実な名作。

日本ではHostess Club Weekenderでの伝説のライブ(いろんな意味で!)で評判を落としたのか、しばらく来日していませんでしたが2025年にはディランのカバーで来日します。とても嬉しい。

 

●ベストライブ●

〈単独公演〉

Wilco(3月8日、なんばHatch)

Olivia Rodrigo(9月28日、有明アリーナ)

〈フェスティバル〉

Beth Gibbons(フジロック、7月27日)グリーンステージ

The Last Dinner Party(フジロック、7月27日)グリーンステージ

Nothing But Thieves(サマーソニック、8月17日)マウンテンステージ

Yves Tumor(サマーソニック、8月18日)ソニックステージ