■「奇跡の教室」伊藤氏貴さん著を読了。
この本は、「銀の匙」を一冊で中学の3年間授業を行った橋本武さんの教育について書いた本です。
橋本さんの教え子には、東大総長・副総長、最高裁事務総長、神奈川県知事等々そうそうたる顔ぶれが揃っています。
実は、この本を読む前に「銀の匙」を読みました。
銀の匙は、一人の少年のこころの動きや感覚・捕らえ方・感じたことを書いた本です。
読み終えて、どうやったらこの本一冊で3年間授業をするのか?と疑問に思ったのが正直な感想でしたが、
■「奇跡の教室」読み進めていくうちに、なるほどと関心させられ、このような勉強はとても重要なことだと感じましたね。
その勉強方法は一言でいうと、スローリーディング。
現代社会は、スピード重視です。
橋本先生が教壇にたったのは、昭和9年です。
今から70年以上も前の話。
当時は今ほどスピードを重視していなかったでしょうが、
本一冊で3年間教壇に立つなんて型破りもいいとこですよね。
ちなみに、橋本先生が赴任した学校は、灘中学校。
当時の私立は、公立の格下とみられていたらしいです。
でも今や、東大合格率が高くて有名ですよね。
■橋本先生は、銀の匙を教科書としながら常に横道にそれて行きました。
そして、横道にある物事を徹底的に調べる。
卒業生談の中にこんなことが書いてありましす。
「書いたもの、集めたものを編集する作業によって、過去の自分自身との対話をするわけですから、自分の個性というものに気づいていきます。個性というのは持続する関心である。と定義できるからです。」
個性とは持続する関心
なるほどです。
■それでも、一冊の本で3年間授業をすることに疑問を持つ生徒がいても不思議ではありません。
ある時、一人の生徒が先生に疑問を投げかけました。
「先生、このペースだと200ページ、終わらないんじゃないですか」
それに対して、先生は
「スピードが大事なんじゃない」
「たとえば、急いで読み進めていったとして、君たちに何が残りますか?
(中略)
関心を持ったところから自分で横道にそれていってほしいと思っています。
どんどん調べて行って自分の世界を深めてほしい。・・・」
「すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなります。」
■すぐに役立つこととは、表面的な知識をいっているのでしょうね。
例えば、試験前に即席で憶えた単語とか数式とか。
数日間どころか場合によっては数時間で忘れてしまう。
そんな経験ってあると思います。
知識は、反復して憶える。
反復するためには、興味をもって時間をかけてじっくり自分で調べることが大切なのでしょう。
実は、とても遠回りをしているような橋本先生の授業。
ところが、スローリーディングこそが、物事を考える基礎を作り、探究心を養うことが出来るのかも。
そして、これらをベースとして更なる発展や応用が出来るようになるのでしょうね。
■今、このような授業をしたら親からも生徒からも非難ごうごうになるのは間違いありません。
なぜなら、すぐに成果が見えないのだから。
急ぎすぎて大きなものを取り逃がすより、ゆっくり考えて進めていくことが大切な時もあると思います。
大きなものとは人それぞれ違いますが、
何がつかめるか?
何をつかめるか?
それは、自分次第ですよね。
自分の幅を広げることで、より多くのチャンスを捉えることができる。
そう信じています。
No.453