恐るべし! S取締役 | キャンドルショップオーナーのつぶやき

恐るべし! S取締役

サラリーマン時代のお話です。


海外出張は、たいていの場合、現地でのデザイン打ち合わせがありますので、デザイナーの方と行くことが


多いのですが、たまに会社の偉いさんが同行する場合があります。


その年の出張は、私が担当していたブランド事業の事業本部長であり、本社の常務でもあったS取締役と行くこ


とに・・・・・


あまりアパレル関係の人間が海外出張などに出かけなかった時代から、腹巻に札束を入れて世界各国を


まわっていたという話を聞いていたので、気を使わなくていいからと安心しての出発でした。



ところがまずトランジットで降り立ったアムステルダムのスキポール空港で事件が・・・・・・・


乗換に時間があったので、二人で広い空港内を歩いていると、突然彼が、「おい。ロンドンでの打ち合わせは月


曜日やろ。アムステルダムで一泊していかへんか?」と言い出したのです。チケットも、ロンドンのホテルも


予約済みですからと反論したのですが、「ええから交渉して来い!」と・・・


とりあえずチケットカウターらしき所へ向かうと、十数人の方が並んでいました。仕方なく10分ほど並んでいたの


ですが、なかなか前に進まない。すると今度は待ちくたびれたのか「もうええわ。やっぱりロンドンへいこ!」


【えっ!なにいっとんじゃあこのおっさん!】と心の中で叫びながら、「はい。わかりました。」


「トイレ行ってくるから、先に搭乗口にいっとけ!」とおっしゃるので、一人搭乗口へ。



出発まで1時間以上あったので、何があったところで間に合うだろうと思っていたのですが、ところがところが・・・


出発10分前になっても現れない。刻々と時間が過ぎ、もうあかん係員の方に呼び出してもらおうかと思っている


ところに登場。あわてる様子もなく「すまん。すまん。ちょっと友達におうたんや。」


【うそつけよ!このばかでかいスキポール空港で日本の友達にあうわけないやろ!】とまたまた心で悪態つきな


がら、「へえ。よかったですね。とりあえず急ぎましょ。」



ロンドン・ヒースロー空港には現地の商社駐在員の方が、私だけのときにはあり得ないのですが、お迎えに


来ていただき、そのまま直行。チェックインも、その夜のディナーも全てまかせっきりでしたので助かりました。


お腹も一杯になり、部屋の前で「お休みなさい。」 これでようやく一人になれると思っていると一言。


「明日の朝、朝飯行く時誘いに来てくれ。一人じゃうまくないから。出張中は毎朝頼むぞ!」


「・・・・・・・・はい。」



月曜の朝、取引先の方が迎えに来てくれ、予定していたヨークシャーに向かうことに。ところが出発直前、


今度は「ロンドンで急用ができた。お前一人で行って来い。先方にはよろしくな!」


その後も、ダービシャーでのニット工場での打ち合わせでも、日本人サイズに変更して作らなければならないの


に、「このニットええやないか。買え!」



その出張以降、彼とは二度と海外出張に行くことはありませんでした。


その後彼と同行した人間に話を聞くと、ホテルのバスにお湯を入れっぱなしにして、寝てしまい大ごとに


なったとか、帰国予定日に戻らす、何も連絡がないので、調べたらロンドン、アムステルダムの時差を


計算に入れておらず、乗り遅れ、南回りの飛行機に乗ったとか・・・・・・


結局、当時の大阪国際空港(今の伊丹空港)まで迎えに行かされました。



そんな彼も、私が会社を辞める時、すでに顧問職につていたのですが、わざわざ来てくれ「長い間ありがとう」


と握手してくれました。



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