久保田崇さん。
初めてお会いしたのは2年前くらいでしょうか。
当時は内閣府参事官補佐。京都大学出身、ケンブリッジ大学でMBAを取得したバリバリのエリートです。
というと、ちょっと近づきがたいイメージを持ちますが、人格者の見本みたいな人です。
震災の直後、廃墟になった陸前高田市にボランティアで行ったのが縁で、現在は陸前高田市副市長をされてます。

その久保田さんの3冊目。
「私が官僚1年目で知っておきたかったこと」(かんき出版)
「なんか怒られてばかりいる」
「上司とうまくいかない」
「職場になじめない」
そんな方や、将来自分がやりたい事を自由にできるようになりたい人は、読むと大きな気づきがあるでしょう。

上司とうまくいかない、というのにはそれなりの理由があります
原因を克服しなかったら、他の職場に行っても同じ悩みを抱えることになります。
官僚1年目のために書いた本ですが、若手は必読です。

読んで気になったポイントをピックアップしてみました。
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・転職経験者が、前の会社をやめた理由の1位は「上司との人間関係」。
 でも理想の上司なるものに出会うことばまれ。
 理想ではない上司とうまくやる方法を見つける方が得策。
 平均的な上司像は、部下が「ちょっと苦手だな」ぐらいに思うもの。

・癖の強い上司とも何とかやれるようになったのは、
 「なぜこの人は、自分に対してこのような理不尽な態度をとるのだろう」
 という理由が知りたくて、上司を詳しく観察しているうちに、
 対処方法を見つけることができたから。

・気難しい理詰めタイプの上司や先輩こそ、学ぶ点がとても多い。

・面倒を見て食えない上司に対する3つの仕組みづくり。
 1,チョックリストを作り、不備がないかを確かめる。
 2,問い合わせの想定問答メモを用意。
 3,一人で抱えない。

・上手くやるポイントは、上司になるべく気持ちよく仕事をしてもらうことに尽きる。
 自分の作った文章を直されるというのは慣れないうちは、気分のいいものではないでしょう。
 自分を否定されるような気分になるかも知れません。
 でも、あなたが書いている文章はエッセイではなく、
 あくまで組織の文章。組織の多くの人のてが入ることで、よりよい文章になる。

・秩序や年功を重んじるところでは、ちょっとした確認や挨拶ができない人に対して、厳しい目で見られます。
 仕事ができても、認めてもらえなくなります。

・上司の指示に対して、メモをきっちり摂る部下は高く評価されます。
 上司と話をするときには必要がなくても、メモ帳とペンを持参しましょう。
 メモ取りは、想像以上に上司の信頼を得る方法です。
 さらに、手書きのメモをメールして、課内の関係者に送信する。

・仕事は全て段取りしだい。
 まずは必要な業務を全てリストアップする。
 業務の順番を決める。など。

・責任が取れない案件は、すべてホウレンソウすること。

・歓送迎会は段取りと気配りの力が問われる。

・スピーチの方を覚えておく。 その型とは?

・英語、会計、ITの知識は必須。

・官僚の仕事の基礎は、まず「文章を読むこと」。
 1本の法律を作るごとに100冊単位の書籍や資料を読み込む。
 つまり、官僚は「知識」が勝負の職業。
 ポジションが高い人ほど読書家である傾向が強い。
 読書はもっとも費用対効果の高い自己投資。
 著者が人生をかけて獲得した経験や知識が凝縮されたものが、わずかな金額で入手できる。

・本は大人買いしてとにかくたくさん読むこと。
 ある知識を身につけたいと思ったら、数冊~10冊くらい大人買いをする。
 レビューを見ずに、タイトル、内容紹介、目次の3つを見て、気になったらすぐに買う。
 迷ってる時間がもったいないからです。
 ただし、読んでみて面白くない、役に立ちそうにないと感じたら、すぐに読むのをやめる。
 一行でも人生に役立つヒントが貰えたら、充分に元は取れると割り切っています。

・人脈を広める3つのコツ。
 ひとつは、名刺交換したら、翌日までにフェイスブックの友だち申請をしたり、メールを送る、など。

・お気に入りのカフェをマイ勉強部屋、マイ図書館にする。

・出勤前に勉強しよう。
 私は出社前にスターバックスで30~1時間くらい勉強をするのを習慣にしていました。

・これからはジリ貧。
 今のうちから20~30代の若手は、他でもつぶしが利くように準備したり、専門性を高めたりしておくべき。

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この本は、新人官僚のために書かれたようですが、一般の会社の20~30代にも、とても役に立つと思います。
また公務員がどんな仕事をしているのかも知ることができて、興味深かったです。
なによりも、将来頭角をあらわす人は、この本に書いているとおりだな~と納得。

あと、上司とうまくいかない人は、観察が足りないのは間違いないですね。
私自身部下の時には、「自分をわかってほしい!」というばかりで、上司の観察が足りませんでした。お客さんに対しても同じ。

また、細かい上司は仕えている間は正直疲れますね。
でもその上司のもとを離れた時に、その上司のおかげでレベルが上がっていることに気づくものです。

この本には「リストアップ」が何度か出てきますが、漏れ、ミスを無くすためには不可欠なんですね。頭の中で考えて、リスト化しない私ですので、ミスが多い理由がわかりました(笑)

いろんな人と仕事をしていて思うのは、やっぱりできる人はまめに報告、連絡、相談をしてくれます。自分を尊重されていると感じます。
確認や相談なく、事後報告ばかりの人は、「なんで一言でもいいからメールをくれないんだろう」と不満が残ります。それで大きな損をしていますね。

勉強方法に関しては、久保田さんは大学受験のときに徹底的に研究したそうです。
久保田さんと対談したときに、そうおっしゃっていました。
勉強法と書いてある本を片っ端から読んで勉強法を確立したそうです。
この本ではその一部が垣間見れます。

できる人、成功している人達とお話させていただくと、間違いなく読書家ばかりです。
昔読んだ本に、「何か勉強したいと思ったら、その分野の本を100冊読め」
私もそれ以来、何か勉強するときには数十冊単位で買うようにしていますので、久保田さんの「本の大人買い」には心から賛同します。

◆総論
上司との人間関係、仕事術、勉強術の大事なポイントが詰まった本です。
将来、出すぎても打たれない杭になりたい人こそ、この本で土台をしっかり作るといいでしょう。