相手が何か悩み事があって、
それ打ち明けてきた際、

「なんだか最近、お先真っ暗という感じで…」
「霧の中を歩いているような気分で…」

という表現を使って話をした場合。


これらは、視覚に関する要素が含まれていますね。
このような言葉を使う人は、視覚タイプです。


このような視覚タイプの人の打ち明け話に対して、
「それは重い気分になるよね」
というように体感覚の言葉を使って答えるとずれてしまうし、


「お前なんかできるわけない、
っていう心の声が響いている状態なんだね」
と、聴覚の言葉を使っても、相手にはいまいちピンとこないでしょう。


この場合、まずは
「お先真っ暗という感じなんだね」
「そうなんだ、霧の中を歩いてるような気分なんだ」
というように、いったんオウム返しをしてから、


「真っ暗な景色に、一筋の光があるとしたら、なんだろう?」
「霧の先が晴れているとしたら、どんな景色が見える?」

と、同じ視覚的な言葉を使って対話をしましょう。


今見えているものの先にあるものに焦点を当てる話をするのです。

そうすることで、
解決策を自ら見つけだす手助けをすることができます。



聴覚タイプの人は、
頭の中で響く声が、感情を大きく揺るがしています。


悩み事を抱えてネガティブになっているときは、
自分の否定的な言葉や
他人から言われた一言が

頭の中で大きくなったり小さくなったり
こだましているような状態です。


聴覚タイプの場合、そのマイナスの言葉や声を
消したり小さくするイメージの言葉をかけてあげることで、
感情を変えることができます。


「お前にできるわけがない、
と昔に親から言われた声が
頭にこびりついて離れないんです…」


と言われた場合、まずは

「そうか、お前にはできるわけがないという言葉が
頭から離れないんだね」
とオウム返しをして受け取った後、


「じゃあ、その親御さんからの声のボリュームを
小さく絞ってみよう。
ところで、応援してくれる声が聞こえるとしたら
どんな声?どんな言葉?」

と提案してみましょう。


すると相手から
「大丈夫、きっとうまくいく!という自分の声が聞こえます」
という言葉が出てくるかもしれません。


そしたら、
「じゃあ、その声のボリュームを
ちょっとずつ大きくしてみてくれる?」
と聴覚を刺激する言葉を使い、話を進めることで、
マイナスからプラスへと感情を変化させることができるということです。



体感覚タイプの人は、
「身体がずっしり重い感じで…、ヤル気が出ないんです」
などのように、身体の感覚にアクセスする言葉を使います。


この場合もやはり、まずはオウム返しをして、
いったん感情を受け取ること。


また、ヤル気が出ない理由もできれば聞いてあげた後、

「じゃあ今の状態がどうなったら、
体は軽い感じになるだろうか?」
と、身体の感覚を使った言葉で返してあげましょう。



他人とのラポールを築きたい場合、
相手の優先感覚を見極めて、
それに合った対応をすることで
相手との心の距離はぐんと縮まります。


悩み事などの話や、部下などの教育の際は、
普通の話よりデリケートな会話になりますから
相手の優先感覚に注意して話をすると
きっとよりラポールが築きやすくなると思います。