「頼りになる人」というと、どんな人を思い浮かべますか?


会議などでバンバン発言をして、みんなを先導する人。
頭の回転が速く、論理的で、話の上手な人。
物怖じせず、どんなときでも堂々と自分の意見を貫く人。


テレビの取材やドラマなどでは、
こういったイメージの人がよくリーダーとして出てきます。

上の人にも物怖じすることなく、堂々と意見や反論を述べて、
みんなを先導していくリーダー。

かっこいいですよね。

ゆえに、現実に管理職の人や、
新しく管理職に抜擢された方などは、
そういうイメージに近づこうと、がんばります。


コンサルティングをしていても、

「どうしたらもっと頼りがいのある人と思ってもらえますかね?」
「もっとリーダーシップを発揮したいんですけど、 どうしたらいいでしょう?」

という相談をよく受けます。


ですが、テレビなどで見かけるこうした
“パフォーマンスの高い”“派手な”リーダーというのは、

そうしたほうが番組が盛り上がるから、

話が進みやすくなるから、

という理由で、
メディアによって作り上げられている場合が多いのです。

いわゆる「ステレオタイプ」のほうが視聴者に受け入れやすいからです。

お金持ちなら、大豪邸に、外車、金ピカの時計といったふうに。


でも、現実の「頼りになる人」というのは、
メディアによって日々放送されているイメージのリーダーとは
ちょっと違うようです。



有名な歴史上の人物、聖徳太子は、
「豊聡耳」といわれていたのを
知っていましたか?

「豊聡耳」(とよとみみ)とは、
「豊かな耳を持つ」=「人の話を聞き分けて理解することに優れている」
という意味です。

聖徳太子は村人からとても頼りにされていて、
一度に10人もの人から相談を受けた、という話は有名ですよね。

実際は10人から一度に相談を受けて答えを出したわけではなく、
10人全ての話を聞いた後に、的確な助言を残したという説が有力なようです。

そのことから聖徳太子は、
尊敬の念を込めて「豊聡耳」といわれるようになったそうです。

はるか昔の日本の歴史からも、
話を聞くことの大切さが分かりますね。


人望のある人物というのは、
例外なく、「聞き上手」であると、私は思います。

人の意見を聞かないで、自分の意見ばかり押し通す人より、
こちらの話をきちんと聞いてくれる人のほうが
頼りになるし、なんでも相談しようという気持ちになるのではないでしょうか。

私自身、会社員の時代に様々なタイプの上司と出会いました。

思い起こすと、聞く耳を持っている上司は、
いろんな人から頼りにされていましたし、
そういった上司の下では
私自身も安心して仕事に打ち込むことができていたように思います。


皆を先導していく力強さも時には必要ですが、
真のリーダーシップは、
話を聞くことで発揮されていくものだと思います。

リーダーシップを発揮するのに、
派手なパフォーマンスや、勢いのよさや、話のうまさは
いったん脇に置きましょう。

まずは「聞く耳」を持って、部下の話を受け取る心を大事にしましょう。
それが一番大切なことだと、私は思います。