新人研修のオファーがいくつか入ってきています。

私が社会に出て2ヶ月目、今思えば軽いうつ症でした。

いわゆる五月病。


やる気をなくして無気力になった経験は多くの人があるでしょう。

その状態で医者に行くと、ほぼ間違い無く「軽うつ症」と診断される。


デビット・バーンズという心理学者はうつ病の克服について世界的に有名な人です。


彼の言葉を借りると、長い間、うつ病は情緒障害とされてきました。

しかし認知心理学という分野から言うと、誤った考え方がうつ病を引き起こし、悪化させているという。

彼の本から抜粋して紹介します。

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うつ病にかかると自分が無価値な存在だと確信してしまう。

その自己イメージは、4つのDで表すことができる。


・Defeated   (打ち負かされた)

・DefectiveD  (欠陥がある)

・Deserted    (見捨てられた)

・Deprived  (剥奪された)


自分に対して自信が持てなくなり、明晰な思考する能力を失ってしまう。



よく自分の感情を信じなさいといわれる。

ところが、感情の土台になる考え方が非合理だったり、

誤解や偏見がある場合、感情をそのまま信じることは非常に危険だ。


こんなたとえがある。

「生まれたばかりのヒヨコが、母アヒルの後をついて歩くように、

気分は考え方の後をついていくのです。


ヒヨコが後をついていくからといって、

母アヒルの進む方向が正しいとは限らないのです。」



感情を信じるのは最後の段階でいい。


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部下や同僚が落ち込んでいるとき、「がんばれ!がんばれ!」

と励ます人は多いと思う。


ただ、見るからに「うつかな?」と思うくらい沈んでいる状態の時は、

自信喪失しているわけだから、自己イメージを取り戻すまで見守るしかない。


しっかり相手の話を受け取ることが必要なんです。


特に、


「がんばれ!」

この言葉は実は禁句です。


追い討ちをかけることになります。


ではどうしたらいいか?


管理職としては、かなり勇気が入りますが、

今の仕事だけが自分の価値を決めるわけでないということを伝える。



数字だけが人間の価値を決めるような世界に身を置いている場合は、

逆に開き直ってもらう必要がある。

私の場合、「ダメならいつでもクビしてくれていいよ」

こんな開き直りの精神で、16年やっていた気がします。



あなたが管理職なら、部下が元々力がある人間なら、

必ず立ち直ることを期待して、

目先の数字でつぶれないようにする。



指導するほうとしては、忍耐の要る厳しい選択ですが、

チームメンバ、全員一人残らず、常に目標達成してもらおうというのは、

長く続かないと考えています。



調子のいい人間に、その分がんばってもらえばいいでしょう。




うつについて、更に知りたい方は、

バーンズの「いやな気分よ、さようなら」を読んでください。

参考になりますよ。