■ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則

最近ハマってるのがこの本。スタート時期には大差がなかったが、大きく飛躍した11の会社と、その後買収されたりするまでに凋落の一途をたどった会社との違いは何か?
研究の結果いくつかの法則が発見され、それをまとめたものだ。
ストックデールの逆説という項目が響いた。

これはジム・ストックデール将軍に因んだ言葉。
ベトナム戦争の最盛期に『ハノイヒルトン』という捕虜収容所で最高位のアメリカ軍人だった人物だ。
8年間の捕虜生活で、20回以上にわたって拷問を受け、捕虜の権利を認められず、いつ釈放されるのかもわからない。そんな状況を生き抜いた。
捕虜の責任者の地位を引き受け、できる限り多数の捕虜が生き残れる状況を作り出し、捕虜同士のモールス信号を作り出し、拷問を受けた際にはある段階までしゃべっていいという規則を定めた。
8年後アメリカの英雄になった人物だ。

そのストックデールに筆者がインタビューであったときに質問した。
「生きて帰れるかどうかわからない状況で、一体どのようにして逆境に対処したのか?」
『結末に対して確信を失うことはなかった。ここから出られるだけでなく、最後には必ず勝利を収める。そして、この経験を人生の決定的な出来事にする。あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにするという確信を。』

「耐えられなかったのは、どういう人ですか?」
『楽観主義者だ。』
「楽観主義者ですか?意味がわからないんですが?」
先ほどの答えとはまったく違う話じゃないかどういう意味だろう?

『楽観主義者だ。そう、クリスマスまでには出られると考える人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。
そうすると復活祭まで出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。
次は感謝祭。そして次はクリスマス。失望が重なって死んでいく。』

しばらくの沈黙の後、言葉を続けた。
『これはきわめて重要な教訓だ。最後には必ず勝つという確信を失ってはいけない。しかし同時に、自分が置かれている現実の中で、最も厳しい事実を直視しなければならない』

偉大になった会社は全てこのストックデールの逆説的な姿勢を持っていた。落ちていく企業はクリスマスには出られると考えると楽観主義者に似ている。

■トップセールスマンの姿勢
この文を読んで、どう感じただろうか?
まず、逆境に対しては「この逆境がのちに、あれほどの貴重な体験はなかったと言えるようにする」という言葉は、成功者に共通する捉え方だ。この言葉をいつも携えよう。
私の場合、「今のこの逆境は、将来部下を指導するときのいいネタになるだろう。『私も君のようにスランプでセールスは向かないと思ってやめようと考えたことがあったよ。でもね・・・・』といえる時がくるに違いない」
こう自分を励ましていたことが多かった。

しかし「だいじょうぶ!なんとかなるさ!」と楽観的な人。
前向きで、積極的な心構えはとても大事だ。自分は目標数字をやれる確信がある!という気持ちは必要だ。
だがその一方で、現実を直視する必要もある。集客が落ちている、アポの質が落ちている、契約率が下がっている、などにすばやく敏感に気づき、最悪の結果だったらどうなるのかを受け入れる必要もあるということ。
たいした仕事量をかけていないのにホントに運のいい契約があったときなど、「しっぺ返しがきたら怖いからやらなきゃ」と、思える状態。

成績が安定しない人は、偏った楽観主義が多く、事実から目をそむけている。
トップセールスは、「何もそこまでやらなくていいのに」「まだ月初が始まったばかりなのに追われるように今からそんなにやらなくても」などといわれても、コンスタントにやる。
それは、最悪のことを考えると不安だからだ。

大きく成長する会社と、トップセールスの姿勢は似ている。
平凡な人が言う「そこまでしなくても」という言葉に耳を貸してはいけない。
しかし片方だけに目を向けてはいけない。自分はやれるという確信も必要だ。
この二重性を身につけることでトップセールスへの道は開ける。


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