変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。
中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていくが……。
綾野が狂児を演じ、聡実役にはオーディションで選ばれた新星・齋藤潤を抜てき。「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘監督がメガホンをとり、テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の野木亜紀子が脚本を手がける。
カラオケ行こ!
2024/日本
配給:KADOKAWA eiga.comより
感想
いろいろ鑑賞リストに題名が溜まってきているのに、なんでこれやねん!?と言われそうですが、Netflixの配信に上がっていたし、集中のいる作品を観られる心境ではなかったので、あまり期待もせずに見始めました。
舞台は大阪で、中学校の合唱部が出てくるのですが、まずとってもネガティブな気分モリモリになってしまったのが…
これ、大阪弁?関西弁やないし。えー。ずっとこんな調子?
と思いつつも、途中でやめずに観ていました。
綾野剛は額が真ん中で分けた髪の間から見えると、皺があって、気に入ってみていたテレビドラマ「MIU404」の時より年取ってる。
…なんていう感じであまり入れ込まずに観ていたのですが、そうは言っても綾野剛が好きなんです。
なぜか自分の音域に合わない「紅」に思い入れのある狂児(綾野剛)なんですが、この歌がクライマックスでなかなかな効果を作品に与えることになるとは!
淡々と続く練習シーンの2人のやりとりが、なんとなくジャパニーズ・オフビートな雰囲気を醸しだす綾野剛と指導を引き受けた聡実くんとの近づき方が不自然でなくて、わりとリアリズムにこだわる私だけれど、この創作を知らぬ間に受け入れてしまっていました。
聡実くんが合唱部以外に、幽霊部員となっている映画部で、古いビデオをだった1人のこれまた独特な孤立感のある正部員と共に観ている挿入部分もいい感じなんです。
あと、私が常々、ヤクザやそれに類する境遇に陥る人々の中には、中身が悪いだけでなく、生まれ育った環境や、なんらかのボタンの掛け違えから、そんな境遇になっていく人もいるんではないかなと考えていますが、狂児の場合は、その実名をつけられた時にそのきっかけがあったのかという、軽いエピソードも描かれていて、全く重くはならないながらも、それに原作の意図は全く知らないけど、彼に関しては、十分他の生き方もできたのになぁと、少し哀しくなりました。
合唱部と親分の誕生日のカラオケ大会の日が同じで、声変わりして、合唱の大会に出ずにカラオケ大会の場に行くことになる聡実が、途中で見た事故で狂児が死んだと思い、ヤクザの世界に憤りながら彼のために「紅」を熱唱する姿を観ていて、劇中の親分(北村一輝)が目頭を押さえたのと同様に、私もうるうるしました。
なんでここまで、この作品に入り込んでしまったのか…。
この時にはもう、エセ大阪弁も気にならなくなっていました。
少しばかりのスッキリ感を自分の内面にもたらしてくれる作品でした。
全くの個人的受け取り方の感想でした。
❤︎