人気のTVシリーズから、1本の映画が生まれる。
このパターンは過去にも数多くあったが、もともとのシリーズのファンは映画でのバージョンアップに期待するし、
映画化ということで初めて観ようと思う人も続出する。
つまり一石二鳥のプロジェクト。
両サイドをどこまで満足させるかが、成功のカギになるわけだ。この『刑事ジョン・ルーサー』は2010年からイギリスのBBCで放映され、シーズン5まで続いているシリーズ。
日本でも配信やNHK BSの放映などで密かな人気を保つ刑事モノだが、サイコパス的な事件を多く扱い、衝撃度も高い。主人公であるロンドン警察の警部ジョン・ルーサーも、ちょっと精神的に不安定なキャラで、その部分がサスペンス感を盛り上げたりする。待望の映画版は、描かれる事件もかなりショッキング。
無差別とも思われる連続殺人が発生し、しかもその犯行方法が狂気そのもの。
ルーサーは刑務所に収容されるも、なんとか事件を解決すべく脱獄を図ろうとする。ルーサーを演じるイドリス・エルバは一時、次のジェームズ・ボンド役に名前が挙がっただけあって、パワフルな存在感。
そこに人間味あふれる演技、アウトローの危うさを加えて観る者を魅了する。
目を疑う脱獄劇や、ロンドンの観光スポットでの緊迫の激闘では、エルバのアクションの才能も冴えわたる。
このルーサーを映画で初めて観る人も、俳優と役の最高レベルの合体を確信できるはず。そして本作で最大のポイントとなるのは、捜査に行き詰まる警察が、ルーサーを“利用”して凶悪犯に接近する流れ。
それぞれの思惑が入り乱れ、さらなる衝撃の犯行も起こったりして、スリリングな空気はラストまで充満。
犯人がターゲットにするのが、周囲に言えない秘密を抱える人たちだが、それがどう選ばれるか……。
観ているこちらも思わず“明日は我が身?”と実感してしまうのも、本作の怖さ!
『刑事ジョン・ルーサー フォールン・サン』ネットフリックスで配信中
原作・製作・脚本/ニール・クロス 監督/ジェイミー・ペイン 出演/イドリス・エルバ、シンシア・エリボ、アンディ・サーキス 2023年/イギリス/視聴時間130分
(SAFARI ON LINE から)
この手のドラマで、秀逸で劇場版が公開されたものには、ドラマ「SPOOKS MI5 英国機密情報部」の「SPOOPS THE GREATER GOOD」(「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン主演)があって、こちらは、ドラマがハラハラドキドキしどうしの超優秀ドラマだったので、映画版は、若干期待を裏切られた感もありました。
なので「刑事ジョン・ルーサー」の映画版をNetflixで…と言われても、まあ、去年からずっと楽しみにはしていましたが、過大な期待をしないようにと心がけていました。
何しろ、テレビシリーズが渋い&面白すぎる上えに、シーズン5で、この作品の興味深さの4割くらいを担っていたアリス(ルース・ウィルソン)
があんなことになって、しかもジョン・ルーサー(イドリス・エルバ)
の今までの捜査・取り調べの行き過ぎが刑事事件に値するという幕切れだったので、
どんな展開になるのか?
サイコパスなのにルーサーと懇意になり、ルーサーを愛してしまうアリスなしで、私の興奮は喚起されるのか?
とドキドキしながら公開を待っていました。
多分こちらの映画版だけでもミステリーやサスペンス、刑事ドラマがお好きな方なら、満足できる仕上がりでした。
まあ、もちろん映画仕様なので、派手目で、大仰な部分もあるし、リアリティを追求したらツッコミたくなるところもあるのですが、
佳境に入って登場する人数が絞られてきたあたりから、シーズン1からの熱烈なファンからみても、充分及第点は上回っているかなと思います。
ルーサーとは信頼関係にあった安定した渋さのある元シェンク警部(ダーモット・マクローリー)
も相変わらずいい雰囲気の協力者として出演していて嬉しかったです。
初めからわかるのでネタバレにはならないと思いますが、一応下げます。
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そして今回の敵役デイヴィッド・ロビー(アンディ・サーキス)も、ドラマシーズン内の悪役に負けずに上手いサイコ系犯人を演じていました。
今回の犯罪の核は、誰もが持つ明かしたくない恥部を隠すという習性でした。
秘密を握られた人間は弱いものです。
そういう点では、多くの人々に何らかの事件に巻き込まれる可能性があることを示唆しています。
これでもうドラマは二度とないのかな〜?
だとすると寂しくなります。
ジーズン1から全部録画は残してあるので、また折々に見返したいと思います。
Netflixに加入なさってない方で、これだけご覧になりたい方は、無料視聴期間が2020年からなくなったので、1ヶ月だけ加入して、解約するしかないですかね…
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