0609 久世光彦「落ち着かない」 | 文学つぶやきアーカイブスPART2

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その日手に取った本の、印象に残った文章を書き留めています

伊集院静という男もしたたかな洒落者である。いつも程々に草臥れた紺のスーツを着て、その下の白のワイシャツは、これまた程々に皺がある。だが決して汚れてはいない。女がふと手を差し伸べて襟元を直してやりたくなる破れ方を承知しているのだ。(久世光彦「落ち着かない」新潮社)