0306 河村季里「旅と食卓」 | 文学つぶやきアーカイブスPART2

文学つぶやきアーカイブスPART2

その日手に取った本の、印象に残った文章を書き留めています

テラス席に座る。すぐそこが港で、生温かい風に潮の匂いが混じる。時々小舟の下でたぷりと波の音がする。港が黄昏始め空の雲が濃い赤に染まる。街灯が灯り、散策の人出が多くなる。白いテーブルクロスの上で、丸いガラスの容器に入ったキャンドルの灯が揺らぐ。(河村季里「旅と食卓」「ランティエ4月号」角川春樹事務所)