1221 内田百閒「臨時停車」 | 文学つぶやきアーカイブスPART2

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その日手に取った本の、印象に残った文章を書き留めています

丹那を越して沼津を出て富士を出て、馴染みの由比が近くなつた。浜辺の防波堤が段段に完成して波打際を眺める邪魔になる。天気がよく波が綺麗で、繁吹きをかぶる渚の黒い岩が防波堤の切れた所から露見する。(内田百閒「臨時停車」中公文庫)