0210 内田百閒「湖南の扇」 | 文学つぶやきアーカイブスPART2

文学つぶやきアーカイブスPART2

その日手に取った本の、印象に残った文章を書き留めています

芥川の死後、ふと気がついて見ると、私はいつでも煙草をつける時、燐寸を振っていた。以前はそんな癖はなかったのである。又、芥川の真似をした覚えもない。(中略)矢張り歳月は感傷を癒やすもので、何年振りかに、燐寸を振って、煙草に火をつけて、一服しようと思う。(内田百閒「湖南の扇」福武文庫)