文学つぶやきアーカイブスPART2

文学つぶやきアーカイブスPART2

その日手に取った本の、印象に残った文章を書き留めています

古本屋の目録で昭和二十四年刊の「譚海」を見出して早速取り寄せてみた。包装紙を拡げて中身を手にした私は自分の目を疑った。記憶(中略)にある雑誌と現物はまるで違うのである。粗末な紙、劣悪な印刷、絵は稚拙だし、子供の頃に耽読した雑誌と同一とは到底思えなかった。(野呂邦暢「私のシェヘラザードたち」文春文庫)
わたしの読書は現在も乱読である。寝る前の二、三時間が最も楽しい読書時間だ。ベッドの脇に贈られた新刊、欲しくて買った本、借りた本まで山のように積み上げてある。その日の気分に適したものを中から選り分け、電気スタンドを付ける時の気分は何ものにも替えがたい。(杉本苑子「子供のころの読書体験」文春文庫)
最近は古本屋さんとも知り合いになって、頼んで本を捜してもらうことも多いが、作家業に入ってから随分長いこと、私は闇雲に歩いて古本を捜し回ったものだ。そうして何軒も捜したあげく、ようやっと目指す本と巡り会えた時の喜び。図書館にもない本を私はかなりの数、そうして集めた。(北杜夫「少年時代の読書」文春文庫)