私(母)の治療経過①もご覧ください。
※治療後の経過は個人差があります。あくまで体験談の一つとして参考になさってください。

○学生時代
幼稚園(2年)、小中高大学と、ごく普通に通いました。視力は矯正なしで0.7〜1.0程度を行ったり来たりという感じ。
放射線治療は後遺症として白内障の発症率が上がります。遅くとも数年後には、と言われていましたが、私が白内障になったのは23歳の頃でした。

物心つくまで、見たいものをしっかり見る時に目を細める癖がありました。なので、小さい頃、記念写真を撮る時の顔は全てしかめっ面(笑)。よくカメラ見てーと言われるので、遠くのカメラをよく見ようと目を細めた結果と思われます。自分で写真を見るようになって、なんか怒った顔で写ってるなーと思って、自然とやめた記憶があります。

これは今でもですが、見える右目の方に首を傾けて見る癖があります。左が見えないなら中央に目を置くために左に傾きそうですが。これは、腫瘍の位置も関係しているのかもしれません。目の上側・目尻側よりも、目の下側・眉間側の方が見やすいため、上手く見えるよう無意識にやっている感じです。お子さんが特徴的なものの見方をする場合は、それを尊重してあげてください。

おそらく、幼稚園は入学前に面談を。小学校も、入学時か、途中で一度引っ越して転校した時の新しい学校かで、校長だか教頭だかと面談した記憶がうっすらあります。もしかしたら診断書やらなにやら出したのかもしれない。今よりはゆるい時代でしたので、そんなに揉めたという記憶はありません。

転校時には、担任の先生が紹介をしてくれる時に、目についてクラスの子に説明されたと思います。親にも何か通達が行ったのかはわかりませんが、さらっとした説明でした。
小学校の担任には比較的恵まれて、今でも交流がある先生もいます。おそらく、陰でたくさん見守ってもらっていたのだと思います。

義眼になったお子さんがまだ小さい親御さんは、子供への告知や、学校生活でトラブルやいじめがないか、悩むと思います。

私、自分の目について親から告知!って感じで宣言されたことを覚えていません。なかったかも。子供は(私が、という意味では決してなく)大人が思っているより賢く、周りを見て察する能力も高いので、自然と違いを認識していくものかもしれません。

子供の頃悲しかったのは、雑誌の付録の、青と赤のセロハンが貼られた眼鏡で見ると、見え方が変わる、というあれがよく分からなかったこと(笑)。今で言えば3Dですが、世の中、3Dを意識するのは映画館に行くときくらいでしょうか。

子供は素直なので、大人になった今でも、じーっと見られるのは子供が多いです。子供同士の間でおかしいと言われたりしても、それに悪気はなく、都度丁寧に説明すれば済む話だと思います。
本人がひどく気にしたり落ち込んだり、隠したりするなら、その時は絶対的な味方として守ってあげればいいと思います。

もともと負けん気の強い性格のせいか、クラスの男子と喧嘩をしてからかわれたこともありましたが、例えば背の小さい子を「ちびちびー」とか、太ってる子を「でぶでぶー」とか、天パの子を「ちりちりー」とか(笑)そういうからかいと同列のものでした。それが正しいとは言いませんが、子供が育っていく過程で身体的特徴がからかいの的になることは、一定の通過儀礼だと思います。

義眼を理由に出来なかった授業はありません。多分。
顕微鏡とか、片目で観察しながら描くとかあったかなー。あまり覚えていません。プールも体育も、特別な配慮をされたことはありません。
遠近感が掴みにくいので球技は苦手でした。特にテニスとバドミントンは空振ります。脚は速く、跳び箱も得意でしたが、カナヅチでした。水泳と球技に関してはただのセンスの可能性もあり、同じ病気で球技も特に問題なかった、という方にもあったことがあります。

中学高校に至っては、事前に面談をした記憶もありません。健康調査は申し送りされるはずなので、入学時に親と学校の間でやり取りがあったかもしれませんが、新学期に担任から特に周知がある、ということもありませんでした。
席替えの時に、後ろだと黒板が見にくいので前の方にしてもらったことはあります。中高とも部活は音楽系。中学では学級委員をやったこともありましたし、高校では赤点を取ってみたり、スカート短くして怒られたり、ごく普通の生活でした。


小学校より、思春期の中高生以降になってからの方が、自分の病気について悩む子は多いかもしれません。

中学以降、面と向かって、目のことを中傷された記憶はありません。義眼ですか?と聞かれて「そうなんです」と答えたことはあります。
大抵の友達は、義眼について説明すると「そうなんだ」で終わってしまいました。特に付き合いが変わるわけでもなく、突っ込んで根掘り葉掘り聞かれたこともありません。こちらは聞かれたら答えるというスタンスでいましたが、おそらく向こうも話したいなら聞くけど、という感じだったのではないでしょうか。

もしかしたら、見た目を奇妙に思って敬遠していた子もいるかもしれません。それはそれで、本人に危害が及ばないなら放っておけばいいと思います。
例えば、勝手に向こうに避けられたからといって、こちらも嫌わねばならない必要はないし、義眼になった理由を知った上で誹謗や揶揄するような人であれば、そんな人との付き合いはこちらから願い下げです。

受け入れる学校側との関係も、子供同士の関係も、つまるところ人と人のコミュニケーションである、ということに尽きると思います。周りの環境も個性も違うので、こうすれば大丈夫という定型はないし。
それに、おそらく、親が心配するよりずっと周りは温かい目で見てもらえていると思います。