宇宙の法則に従う者は栄え、

逆らう者は滅びる。

 

これは易経の開元一心先生から

學んだ宇宙の真理です。

 

ですから大いなる宇宙から

自分に吹く風を感じ取ったならば、

もはやそれに逆らうことはできません。

 

 

そこで北海道から戻った僕は、

小さな舟で大海に漕ぎだすような

ある大きな決断をしたのです。

 

ところがその決断は

これまで自分の大切にしてきたものとの

決別の先にあるもので。

いざ現実のものとして対峙してみると

やはり心を締め付けられるような

吐きたくなる程の痛みを伴うものでした。

 

 

ビタースウィートスプリング。

桜咲く春うららかなこの日、

僕は自分の中のファイナルアンサーを求めて

太秦にある広隆寺を朝一番に訪れました。

 

 

広隆寺霊宝殿。

ここは仏さまのお心の中であり、

自らの心の中でもあります。

(『僕らの秘密基地 〜太秦広隆寺』)

 

弥勒菩薩半跏思惟像の前に座し、

僕がファイナルアンサーとして求めるべきは、

この弥勒の世にどのような形で

社会と関わり、貢献していきたいか、

ただその一点を見据えることでした。

 

 

誰にどのようにジャッジされようとも

答えは必ず自分の中にあります。

 

感謝してもし切れないお陰様のこと。

子を持たぬなら持たぬなりの

この胸いっぱいの不器用な愛を

社会にお返ししていきたいという想い。

愛から発した言葉でさえ

時に人を遠ざけてしまう未熟さや、

自分のような凡人に何ができようかという不安。

 

それらひとつひとつを

物言わぬ弥勒菩薩と向き合い、

僕は心の中で問答していきました。

 

美しいそのお顔には

当初、宇宙の果てまでも繋がるような

凛とした冷たさを感じる自分でしたが、

問答を繰り返すうち、

弥勒菩薩が仄かに微笑みを

湛えてらっしゃることに気付いてゆきました。

 

 

僕の一人語りのような心の問答を

弥勒菩薩は微笑みながら

お聞きくださっているように感じられたのです。

 

それでも僕の心は

まだ迷いの中にありました。

 

その微笑みの意図するところが、

 

「お前のやりたいようにおやりなさい。」

 

とも

 

「そのような浅はかな考えはおやめなさい。」

 

にも感じられたのです。

 

物言わぬ弥勒菩薩との心の問答は

その後もしばらく続きました。

 

40分程、座して問答していたでしょうか。

その瞬間は不意に訪れました。

 

仄かに微笑まれる視線を落とす先…。

 

「っ!!!」

 

 

いや〜ん、そういうことですか。(◍´ಲ`◍)

 

答えはいつもシンプルで、

またシンプルであるが故に

心にストンと落ちるもの。

 

 

今はとても胸が痛むけれど、

この痛みすら明日への力に変えて。

 

僕は自分だけのファイナルアンサーを

見付けたのでした。

 

秦基博 / 泣き笑いのエピソード

 

弥勒菩薩半跏思惟像の画像はネットよりお借りしました。