オカザキにもらった写真は三枚あって、その内の二枚はコウヘイにも馴染みのある景色が写っていた。
「私が持っていても仕方ありませんから」
 その言葉には、大切な何かが含まれているようにコウヘイは感じ取った。
「確かに、お預かりします」
 今はなき三ツ葉町の懐かしい海辺と公園の風景だった。
 特に公園の写真は、サキとコウヘイが並んで写っていた。
 いつ、こんな写真を撮影したのかコウヘイはすっかり忘れていた。なのにサキはこの写真を大切にとっていてくれた。
「なのに……」
 コウヘイはふと疑問が浮かんだ。それまで大切に持っていたはずの写真を、サキがいくら信頼していたとは言え、施設の職員に預けたのはなぜだろう。そう考えた時に、サキがもうこの世にはいないのではないかと疑った。
「だから生死も言えなかったんじゃないだろうか?」
 コウヘイは妙に胸の辺りがモヤモヤとしていた。
 そしてまた写真に視線を注いだ。残り一枚の見慣れない何処の写真。だけどそれは初めて見たようには思えなかった。
 コウヘイは駅までたどり着いた。電車に乗ってからも、その場所が何処なのか思い出せなかった。

 自宅に戻ってみると、庭先でヒトミが待っていた。
「お帰りなさい。何か分かった?」
 微笑みながら出迎えるヒトミだったが、すぐにコウヘイの冴えない表情に気づいて顔を曇らせた。