「お待たせしてすいませんでした」
 手紙を持ってどこかに行ってしまった看護士が娯楽室に戻って来るなりコウヘイに謝った。
 けれどコウヘイの視線は、彼女が連れてきた年配の婦人にあった。
「こちら、オカザキさん。ここで配膳係りを長くされている方です」
 すると婦人は、もう一度名乗ってから、コウヘイの顔を見た。
「柏原サキちゃんのことですよね?」
「そうです。ご存じですか?」
 コウヘイの問い掛けに婦人はゆっくりと頷いた。
「オカザキさんも座ったら?」
 看護士はそう婦人に告げて、自分は邪魔にならないように静かに席を外した。
「よく知っています。サキちゃんが来たのは……」
 オカザキと名乗った婦人は、小首を傾げながら何かを思い出そうとしていた。
「そうそう。高校生の時。制服がよく似合っていて……。サキちゃんは、美人だから」
 婦人はコウヘイに同意を求めるように微笑んだ。
「写真とかは無いんでしょうか?」
「写真?残念だけど」
 何かを言いかけた婦人だったが、ちょうどさっきの看護士がお茶を運んで来た。
「サキちゃんの写真って無いわよね?」
 看護士はお茶を出して、オカザキの隣に腰掛けた。
「ここには治療を目的に人が集まるんです。そんな関係で、患者さん達との写真はこちらでも控えているんです」
 明るく答えた看護士だったが、やはり此処はれっきとした医療機関に違いなかった。
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私は大人になりたかった 派!


特にね。大人になることに憧れていたというのはない。

だけどね。五年後、今の自分を見た時にどう思うかなって考えていた。


例えば、中学生のとき。

人間関係も小学生のときとは違う。


楽しいという感情だけでは毎日が過ごせなくて、窮屈な世界で生きていることもよく分かっていた。

だけどそれが中学生の僕には全てで、あと五年、その時にどんな風に感じるだろうと想像した。


そんな思いは高校でも続く。

誰かを好きになって、恋愛と結婚の違いを考えた。


好きって気持ちと一緒に生きていくってこと。そこにどんな違いがあるのかなって。

だから高校生になった僕は、一方で大人と変わらなくて、またもう一方では全く大人ではないと思っていた。


そんな狭間にいたから、五年後のどんな風に感じるだろうと想像したことがあった。

今になって思えば、大人と子供の違いはほとんどないように思う。


違うのはその時々に立っている場所で、何を大切にしているのかが変化するだけ。

ある日、急に大人になるのではなくて、段々と大人になっていくんだと思う。


好きなことだけでは生きていけない。生きているだけではその意味を見失う。生きるためにもう一度好きになる。

そんなことを何度も何度も繰り返して来た人が大人なのだと思う。


だけど子供もだって同じだよね。

ただ、昨日があって今日。今日があって明日。


僕たちはみんな、そうやって年を重ねていく。

年上を尊敬するのは、その繰り返しを称えることでもあるんだろうな。

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