「お待たせしてすいませんでした」
手紙を持ってどこかに行ってしまった看護士が娯楽室に戻って来るなりコウヘイに謝った。
けれどコウヘイの視線は、彼女が連れてきた年配の婦人にあった。
「こちら、オカザキさん。ここで配膳係りを長くされている方です」
すると婦人は、もう一度名乗ってから、コウヘイの顔を見た。
「柏原サキちゃんのことですよね?」
「そうです。ご存じですか?」
コウヘイの問い掛けに婦人はゆっくりと頷いた。
「オカザキさんも座ったら?」
看護士はそう婦人に告げて、自分は邪魔にならないように静かに席を外した。
「よく知っています。サキちゃんが来たのは……」
オカザキと名乗った婦人は、小首を傾げながら何かを思い出そうとしていた。
「そうそう。高校生の時。制服がよく似合っていて……。サキちゃんは、美人だから」
婦人はコウヘイに同意を求めるように微笑んだ。
「写真とかは無いんでしょうか?」
「写真?残念だけど」
何かを言いかけた婦人だったが、ちょうどさっきの看護士がお茶を運んで来た。
「サキちゃんの写真って無いわよね?」
看護士はお茶を出して、オカザキの隣に腰掛けた。
「ここには治療を目的に人が集まるんです。そんな関係で、患者さん達との写真はこちらでも控えているんです」
明るく答えた看護士だったが、やはり此処はれっきとした医療機関に違いなかった。
手紙を持ってどこかに行ってしまった看護士が娯楽室に戻って来るなりコウヘイに謝った。
けれどコウヘイの視線は、彼女が連れてきた年配の婦人にあった。
「こちら、オカザキさん。ここで配膳係りを長くされている方です」
すると婦人は、もう一度名乗ってから、コウヘイの顔を見た。
「柏原サキちゃんのことですよね?」
「そうです。ご存じですか?」
コウヘイの問い掛けに婦人はゆっくりと頷いた。
「オカザキさんも座ったら?」
看護士はそう婦人に告げて、自分は邪魔にならないように静かに席を外した。
「よく知っています。サキちゃんが来たのは……」
オカザキと名乗った婦人は、小首を傾げながら何かを思い出そうとしていた。
「そうそう。高校生の時。制服がよく似合っていて……。サキちゃんは、美人だから」
婦人はコウヘイに同意を求めるように微笑んだ。
「写真とかは無いんでしょうか?」
「写真?残念だけど」
何かを言いかけた婦人だったが、ちょうどさっきの看護士がお茶を運んで来た。
「サキちゃんの写真って無いわよね?」
看護士はお茶を出して、オカザキの隣に腰掛けた。
「ここには治療を目的に人が集まるんです。そんな関係で、患者さん達との写真はこちらでも控えているんです」
明るく答えた看護士だったが、やはり此処はれっきとした医療機関に違いなかった。


