「つまをめとらば」 青山文平著
2016年 第154回直木三十五賞受賞
女が映し出す男の無様
そして真価
太平の世に行き場を失い
人生に惑う武家の男たち
身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか
時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集
大手古本屋チェーン店で108円で売っていた
出版からわずか3年ほどで108円
いいのか悪いのか、自分にはわからない
帯もあり破れもなく、未読の美本だった
内容もまさに美本だった
小学生の頃に読んだ吉川英治の『三国志』以来
ずっと歴史時代小説は読み続けている
自分の中ではトップ10に入る秀作
江戸中期のゴリゴリの封建(男性中心)社会
武家の男たちを手玉にとる女たち
したたかに生きる女性たちの物語
これまでの歴史時代小説には存在しなかった
女性像
大体にして
いくら現代より野蛮な時代であったとしても
女の生きるか死ぬかは男次第
レイプされるかされないかも男次第
金を根こそぎ奪われるか奪われないかも男次第
なんてずっと疑問に思っていた
したたかに生きる女たちは現代も存在する
いまの方がさらに研ぎ澄まされている
ペットショップと結託して
スケベじじい客たちから高額ペットを買ってもらい
何度も何度も回し売りしたり
アフターに客を系列のバーへ連れ込み
マージンを受けとるやり手のキャバ嬢
逃げた元カレの子どもを出産し
その後、複数の既婚男性と不倫関係に持ち込み
少額の養育費と生活保護で生きる女
せちがらい世の中、そんな女たちはいくらでもいる
彼女たちは加害者かもしれないけど
ある意味被害者なのかもしれない
騙されていることはわかっていながら
あえて騙されるのも大人の男のカッコよさかも
やっぱり自分は甘いのかな
