「道徳性の起源 ボノボが教えてくれること」

フランス・ドゥ・ヴァール著



道徳性は上(神)から押しつけられたものでも

人間の理性から導かれた原理に由来するものでもなく

進化の過程で下(哺乳類が送る社会生活の必然から)生じた

霊長類の社会的知能研究における第一人者が

豊富な図版とともに動物たちの驚きのエピソードを紹介しながら、道徳性の由来に切り込む




初めてボノボの存在を知ったのは

数年前に読んだ読売新聞の記事でした

それ以来ずっとボノボに興味があります

ボノボに関する書籍は十数冊読みましたが

この作品は秀逸です



ボノボはアフリカ中部コンゴ共和国にだけ棲む

チンパンジーです

人間と遺伝子が98.5%同じです

わずか1.5%しか違いませんが

研究者によってはその1.5%ほどが決定的に違うとも言えると主張されてる方もいます

なによりも平和を愛し

セックスが大好きなチンパンジーであるボノボ

群れ内のもめ事やトラブルはセックスで解決しようとします

ちなみに地球上の動物で、正常位でセックスするのは

人類とこのボノボだけとも言われています

当然のように同性愛のボノボも普通にいます


チンパンジーやオラウータン、ゴリラなどは

もめ事やトラブルを極端に嫌います

そこには必ず暴力が存在するからです

暴力は死や負傷がともないます

ジャングルの中では当然病院などありません

なにかトラブルに巻き込まれて、傷を負ったりしたら死に直結するかもしれません

傷口からの破傷風やウィルスの混入を恐れているからです

侵入者を見つけるとゴリラは両手で胸を叩き

威嚇します

ただ威嚇するだけです

暴力をふるって相手を倒したとしても

自分も傷つく可能性があるからです



人類に最も近い存在の類人猿ボノボ

学ぶべき生態がそこにはあると思います



北朝鮮問題などもそのひとつかもしれません