私は、ブログで自分の人生について書くような人間では無い。
自分の人生を書く人は、きっと素敵な人だ。
素敵じゃなくとも普通の人である。
そう、私は普通の人間に憧れている。
自分が普通以下の人間だから、せめて普通の人になりたいと願っている。
頭がいい訳でもない、笑ってもらえるほど馬鹿でもない。かといって普通でもない。
常に中途半端の位置にいる人間が私である。
主人公じゃなくてもいい。
物語で名前を与えて貰えない、村人Bで十分だ。
そんな取り柄もない私が、ブログに人生を書こうと思ったきっかけは、
ピースの又吉さんの著書「東京百景」を読み
自分の人生も書いてみたいと思った。
東京百景の中には地面を這いつくばっている又吉さんがいる。
私には輝いて見えた。
手を伸ばして欲しくなるような青春に見えた。
東京百景の中に出てくる又吉さんの仲間が私も欲しいと思った。
つくづく思う、私には何も無い。
人は私に、
「あなたも普通の人間だよ」
と言うが、そんなわけは無い。
自分のことは1番自分をわかっている。
常に普通を憧憬し、演じ、無理している。
芸人という世界は、きっと苦しみ日々の繰り返しだと思う。その側面を見ず羨んでしまう。
帰りの列車で感傷的になっているのか、
ふと、私も芸人になろうと思った。
意図して人を笑わせたことはない。
私は面白くない人間だ。
芸人の世界を舐めてる訳でもない。
腐った自分を変えるために行動しなきゃ行けないと思った。
満員列車から見える夜景は私を鼓舞した。
決意を胸に、新たな門出だ。
と改札は出た途端、足元に動く黒い物体が目に入った。
ゴキブリだった。
驚いて情けない声を発し、尻もちをつき、周りを見たらニヤニヤと笑われていた。
私には人に笑われる勇気がない事を知った。
またこれか。
決意した事も一瞬で揺らぐ。
イヤホンからヨルシカの「忘れてください」
が流れた。
時に決意したがる私の中にいるもう1人が
そう言っているように思える。
普通に憧れる人生は、まだ続くらしい。