通っていた中学校の傍を久しぶりに歩き、中学2年生の夏のことを思い出した。


初めて出来た彼女と別れて、学校行くか悩んだが

席替えがあることを思い出し、学校へ向かった。

くじ引きを引くと6番と書かれていた。

華の窓側の1番後ろの席を引いたのだ。

最高の気分だ。

 

嫌なことがあると、嬉しいこともあるのだと思った。

そして席を異動している最中に嫌な予感がした。

昨日別れた彼女がこちらに机と椅子を持って向かってくる。

まさかだった、別れた彼女が隣だった。

しかも別れたことを唯一言った親友が前の席だった


仮に別れていなかったら最高の席だった。

青春真っ只中の夏、クーラーの効いた教室で彼女が隣、前に親友。

ただ昨日別れてしまったことで、最悪の席になった

別れた彼女に、それを知っている親友がいる


案の定、親友は大笑いしていじってくる

「カップルでお隣なんて贅沢だな」

親友に肩を組んで耳のそばで、

「お前マジで黙れよ」

と注意した。


そして授業が再開し、窓の外を見ると体育の授業でリレーをしている。


ピンクチームが1位だったら、

隣にいる元カノに話しかけよう。

黄色チームが1位だったら、

次の休み時間、いじってくる友達に盛大につっこんで笑いにしてやろう。

緑チームが1位だったら、

チャイムがなった瞬間トイレに行こう。

赤チームが1位だったら、

元カノを俺がいじってやろう。

と1人で賭けた。


勝ったのは赤チームだった。

あぁ嫌なことしかない、最悪だと思った

でも自分の中で勝手に賭けた事だし、守らなくても誰も文句言わないよなと、思った。


チャイムが鳴った瞬間に、前にいる親友が

「お前ら授業中にいちゃつくなよ」

と心無いいじりをしてきたので、

「授業中にキスするのは格別やな」

と元カノの方に言った。

私なりに、元カノをいじった。


「デリカシーないから振られたんだよ」

と笑顔なんて1ミリもない、仏の顔で言われたのだ。




やはりいじるのは間違いだったし、なぜ彼女を話に巻き込んだかも分からなかった。


成人式に久しぶりに再開し、その後の同窓会で2人少し話した。

あの時元カノを巻き込んだことが心に引っかかっていたので、もう忘れていただろうと思いながらも謝った。

元カノも覚えていて、

私こそごめん。と言ってくれた。

当時別れた理由は私がデリカシーがない事だと思っていたが、本当の理由を数年越しに教えてくれた。


元カノはデリカシーがないなんて言って、傷つけたことを後悔してるとまで言ってくれた。

やはり自称世界でいちばん優しい私が愛した人は優しいなと思った。


大学生になり席替えという概念も消え、

あの独特な緊張感と高揚感は、席替えしかない。

席替えは青春の代名詞でもある。