高校の夏休みに、部活を午前休ませてもらって工芸の補習をしに行った。

コロナ禍の公立の部活は制限がありそもそも練習が思ったように出来ないが、

顧問の先生が

「お前たちは野球をやる以前に学生だ」

と口酸っぱく言い、テストの点数など授業中寝ると、担当の先生からチクリが入るので真面目に学生を全うしていた。

学生は補習があれば、受けなければいけないので、ここぞとばかりに学生を全うした。


友達と工芸室に行くと、コロナ禍に見た

「僕らはみんな河合荘」のヒロイン河合律先輩に似た人がいた。

窓から日差しが彼女を照らし、その人は先生が来るまで本を読んでいた。

私は河合律にハマっていたこともあり、一目惚れしてしまった。


友達と先生に、一目惚れしたと言うことを伝えた。

どうにか2人で工芸をする時間を作って欲しいとお願いし、2人は協力してくれて、幸せな時間が訪れた。


話を聞くと、彼女はひとつ上の先輩で、

表情がとにかく穏やかで優しそうな人だった。

そして何よりも可愛かった。

太陽の光が差し込むクーラーが効いた工芸室

窓からは花壇が見え花が咲いている。

そんな最高の空間に、最高の人間が目の前にいて、気持ちを押えられる訳もなく、

「一目惚れしたので今度デートしてください」

と話を遮り、言ってしまった。

びっくりした顔で笑われた。

そんな顔もとても可愛かった。

その日に、インスタを交換し、その日の夜に通話をすることも約束できた。

そして、頻繁に通話する仲になり、

体育祭の日に告白して付き合えた。


彼女が進学するタイミングでどんどん疎遠になり別れてしまったが、私にとっては最高の恋だった。

部活が忙しく、中々デートが出来なかったが、

私の部活が終わるまで彼女は待ってくれていて

大好きなチョコスティックパンを買って待っててくれてた。2人で食べながらいっぱい笑った。

「このパンが、ビーチフラッグの旗だったら、

ボルトにも勝てる自信がある」

と言ったら、

「ジャマイカを舐めたらあかんジャナイカ」

と言われた。

今でも意味が分からないが、2人で笑った。



工芸室から始まった恋は、アニメよりアニメしていた。