「季節で何が好き?」

と聞かれてると、暑いのが苦手な私は、

「秋」と答えている。

次の夏まで1番遠いからだ。

逆に夏に近い春は嫌いかと言われると、嫌いでは無い、理由は単純で桜が好きだからだ。


桜は美しいし、出会いの季節でもあり、桜を見ると胸が踊る。別れの季節でもある。桜を見ると切なくもなる。

風が吹けば考えが変わるような人間だ。


今日は帰り道に、咲く桜を見ていた。

これぞ満開と言わんばかりに咲き誇っていた。

自意識過剰な私は、周りの目線が集まるのを恐れ、一度周りを見て、誰もいないことを確認すると立ち止まり桜を見つめる。


桜が私に、語りかけているようだったが声は聞こえなかった。会話したい気持ちを抑えて、見つめた。

すると、風に負け、花びらが私の方へ落ちてきた。

その瞬間、桜が泣いているようだった。

きっとこの桜は、まだ家族と一緒にいたいはずなのに、一人先に旅立つ切なさを訴えていると感じた同時に、新たな居場所を求め私に抱きつこうとしているのと思った。

私は彼の家族の代わりになれるだろうか。

心の穴を埋められるだろうか。

私にはそんな自信は到底なく、近づいてきた桜を避けてしまい、再び歩き出した。


来年には受け止められるような強い人間になれるだろうか。きっと弱いままだ。弱い私に人は言う。


「風ニモマケズ、桜ヲウケメヨ。」