これが、昨年の秋に起こった駅前の警官射殺事件の全貌です。


1周忌を向かえ、テレビでの報道が激化していた。


先ほどの目の前の光景がテレビの画面に映し出されていた。


クスブリの逮捕劇は派手に報じられた。




あれ以来、野見山もSCREAM3代目のトオルも姿を消していた。


そして今、いわば、その片割れである野見山が私の目の前に、いる。



『おい、一体どうなってやがる。何故俺は捕まらず、あのクスブリ野郎がパクられる?』


野見山は私の家の居間まで上がり、信じられない顔で画面を見つめていた。



『久しぶり・・・。元気にしてた?』


私にだって分からない。殺人を犯して逃亡してた男が目の前でキレている。


逃亡生活を経験した彼であったが、全くもってマルくなった気配はない。


このような心無く、当たり障りのない会話から始めることとなった。



『よぉ、お前なんか変わったなぁ。』


野見山がそう言いながらテレビから視線を外し、急に近づいてきた。


私の髪の毛の束を手でいじり出し、クスっと笑っているようにも見えた。


彼が知っている時の私の髪の毛はほぼ真っ黒だったが、今は堂々とミルクティーカラーで


明るくなっていた。




怖くて震えた。


ふと視線を上げると彼の目線は私の頭部にはなく、それを越えたもっと奥の方に向けられていた。


まるで邪魔扱いするように平手で真横に私の頭を押しのけた。


野見山の目がヤラしく部屋中を嗅ぎまわしている。



テレビの中でリポーターのテンションがじょじょに上がってきている。


声のトーンが一段と大きくなり、絶叫に変わりつつある。


野見山がフスマを開け出し、床の物を蹴り払い出した。



『出せや。』


野見山は私の顔を見て、少しイライラしながらそう言った。



『てか何を? 何なのもう?』


意味が分からなかった。



野見山はうなずいた。彼は腰をかがめて、私が座っているソファーを力ずくでひっくり返した。


私はそのまま転げ落ち、家中に大きな音が響いてしまった。



私は無抵抗に転がった姿勢のままテレビの画面に吸い寄せられた。


甲高いリポーターの声が枯れそうになってきている。


何度も同じ言葉を連呼しているのだ。


クスブリを乗せた車がついに、拘置所に入ったのだ。



『チャカ出せや!』


野見山の声も、レポーターの声に比例するように大きくなっていた。